100年前の人はどうやって海底ケーブル埋めたの?

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このモノクロ写真は1906年の海底ケーブル敷設工事の模様。...なんか今のケーブル・アンド・ワイヤレス(C&W)やアルカテル・ルーセントとそんなに大きくは変わらないですよね?

ケーブルの話題は最新Android携帯ほど注目度ないですけど、個人的にはこれ非常に面白いと思いました。150年間ほぼ同じ、というところが。

最初のケーブルは電報に使われる程度でしたが、やがて電話にも使われるようになり、光ファイバーケーブルが生まれインターネットで世界が繋がる時代となりました。

海底ケーブルの敷設が始まったのは1800年代のことですが、今も海の深さに応じ様々なサイズのケーブルが埋められています。この下の写真はアルカテル・ルーセントの海底ケーブル敷設船内に展示されている現代のケーブルですよ。

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Photo by David Meyer/ZDNet UK (Cnet via Giz

「ええっ」と思っちゃいますけど、この太くて強いケーブルは浅瀬用なんです! これは深海のサメよりも、浅い海で人が投げる船のアンカー(錨)や漁業用の網で受ける損傷の方が怖いため。逆に一番上の軽量なケーブルは...そうですね、一番深い海に埋めるケーブルです。

ケーブルの重要性と価値については、敷設に関わる企業・国の多くが認めるところ。例えばオーストラリア政府では「国家経済の死活に関わる事業」という認識のもと大事なケーブル様に傷がつかぬよう、ケーブル周辺には保護区域を設けています。

今日存在する海底ケーブルシステムは世界各地に約250。ケーブルが最初敷設された1800年代半ばから、その数は飛躍的に増え、今では極寒の孤島・南極大陸(衛星通信頼み)を除く世界中の大陸が海底の動脈でひとつに繋がっているのです。

 

 

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史上初めて大西洋横断電信ケーブルが通ったのは1858年8月5日のことでした。その苦難の歴史はWikipediaに詳しく、なかなか一気に読ませる内容ですよ。おすすめ。

因みに最初に送ったメッセージは「Glory to God in the highest; on earth, peace and good will toward men(天のいと高きところには神に栄光あれ、地には平和、人に善意の心を」(ルカ福音書)。その後16日に英ヴィクトリア女王が米ブキャナン大統領に祝電を打ったのですが、たった98ワード送るのに16時間以上もかかったそうですよ!?

その後スピードは改善されましたが、それでも1870年当時トルストイの「戦争と平和」を全文送ろうと思ったら37日かかったとか。それが今や毎秒推定15万冊送れるんですから、いやはやなんとも~。そんな超スピードで「戦争と平和」送ってこられても読む暇ないよ、と嬉しい悲鳴なわけです。

あと笑えるのがロープ。今はケーブル本体より、ケーブル除去の際に吊り上げるロープ(端に引っ掛けフックがついてるやつ)の方が高いんだって! これぞ「money for old rope(ボロい商売)*」...。

以上の原稿公開後、何人かの読者さんから「この古い写真の撮影場所はどこ?」と質問が寄せられました。イギリスの読者さんたちの読み通り、これは英コーンウォール州随一の名勝ポースカーノ・ビーチ(Porthcurno Beach)ですね。撮影日は1906年8月6日。この海岸から大西洋に浮かぶアゾレス諸島までケーブルを引く敷設船Colonia号が着いたシーンを撮ったものです!

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*money for old rope:昔イギリスで首吊り処刑人が使用済みの縄を保管・再利用する義務を怠り、金に糸目をつけない野次馬に切り売りして荒稼ぎしたことに由来する英語表現

関連:大西洋横断電信ケーブル - Wikipediaケルビン郷の発見(pdf)

Kat Hannaford(原文/satomi)