【Giz Explains】携帯電話の謎に迫る...よく通話が途切れたり、つながりにくい場所があるのはなぜ?

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その原因はあなただったりするのかもしれません...

テクノロジー分野のふとした疑問に、ギズなりのシンプルなアプローチで分かりやすく答えてきた「Giz Explains」シリーズですけど、今回は毎日もうボクらにとって絶対に欠かせない存在となっている携帯電話について考えてみたいと思います。都会に住んでいるギズ読者の皆さまほど、とりわけ多いのかもしれませんが、ほら、あのいきなりプツッと通話が途切れちゃう腑に落ちない疑問に迫っていきますよ!

別に普通にアンテナも立ってて圏外でもなんでもないのに、なぜか電話がかからなかったり、通話中に突然切れちゃったりすることってありませんか? あれれれ、いったい何が原因なのでしょうか? この携帯電話の謎を解明すべく、米GIZMODO編集チームが通信業界で働くエンジニアの皆さまへ突撃インタビューを繰り返し、難解な技術用語は抜きにして、ググンと易しい解説を試みてみましたので、どうぞチェックしてみてくださいね。もしかすると通話のストレス解消に少しは役立つかもしれないですよ~

 

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産業革命以前の時代にはなかったものとして、やたらと各地にそびえ立つ電柱や鉄塔の存在があるのではないでしょうか。都市部のみならず、人里離れた山間部にだって電線がのびてきているのを見て驚かされることがありますよね。ここ最近は、携帯電話ネットワークをカバーするためのアンテナ基地局なんかも、実に様々な場所に設置されるようになってきました。よくよく注意して見てみないと、日頃はどこに携帯電話の電波を飛ばすアンテナがあるのかなんて気づきもしないですけどね。自然環境に優しいナチュラル仕様へカモフラージュを遂げたものだって登場してきてますし...

で、その携帯電話基地局のアンテナから発される電波のカバーエリアなんですけど、これはそのアンテナごとにまちまちになっているようです。特に遮るもののない、田舎の見通しのいい場所に設置されたものだと、数キロメートルの広いエリアをカバーできたりする反面、都市部では500メートル以内の狭いカバーエリアしか持たないアンテナがほとんどだそうですね。ただし、決して未カバーのエリアが生じることのないように、それぞれのアンテナのカバーエリアはオーバーラップし、たとえ1つのアンテナの電波エリアから離れても、通常は必ず他のアンテナの電波エリアにすぐに入れるようになっていますよ。

だから、原理的にはよほどの圏外地域にでも行かない限りは、複数のアンテナでカバーされた都会で携帯電話を使っている以上、そんなに簡単に通話不能の状態に陥ってしまうことはないはずなんですけど、ここに落とし穴があるんですよね。一般的に「Cell Breathing」と呼ばれる現象によって、実はアンテナ基地局のカバーエリアは、常に状況によって広がったり狭まったり変化してしまうことがあるんですって!

あくまでも分かりやすく考えるという意味で、室内にて交わされる会話を想像してみてください。部屋に2人しかいない時とは異なり、いろんな国の言葉を話す人たちが多数入ってきたとします。互いに会話する言語は異なっているので、同時に様々な会話が飛び交ったとしても、自分の話している言葉の会話を聞き逃すことは少ないかもしれません。でも、もし狭い室内に大勢がギュウギュウ詰めになって会話しないといけない場合はどうでしょうか? なんとか自分の会話が通じるようにと、それぞれが大きな声で話し始めますよね? 声の大きい人ほど話が通じやすくなり、弱々しい声しか出せないと何を言っているのか分からなくなってしまいます。

技術的に難しいことは一切抜きにして、非常に簡単に物事を説明してしまうならば、どうやら携帯電話のアンテナ基地局のカバーエリアという室内でも、同じような現象が生じるようですよ。同じ周波数の電波を複数の携帯電話ユーザーが使ったとしても、まるで互いに使う言葉が違うかのように信号のコードが異なるので、通話が乱れ混じってしまうことはないように工夫されています。でも、もし非常に多くの携帯電話ユーザーがエリア内で一斉に接続してきたらどうなるでしょうか? 大きな声で話さないといけなくなるように、いわゆる各携帯電話が基地局に要求するパワーが大きくなってしまい、その結果、アンテナは一時的に要求に応じるためにカバーエリアが狭まる現象を生むんだそうですよ。

まるで呼吸しているかのごとく、基地局アンテナのカバーエリアがエリア内ユーザーの接続状況に応じて収縮するため、Cell Breathingと名付けられたとのことですが、要は1つのアンテナに携帯電話ユーザーが集中すると、そのカバーエリアが縮まってしまうということみたいですね。なるほど、だからやたらと皆が携帯電話をかけまくっている場所なんかに行けば、急に通話の途切れちゃうことが増えたりするというわけですかね!

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まぁ、豊かな自然の中で人ごみから離れて暮らしつつ携帯電話を使ってますという場合はともかく、大抵の携帯電話ユーザーは都会で毎日忙しい生活を送りながら使っているので、そんなことを言えば、Cell Breathingのせいで頻繁に携帯電話が役に立たなくなっちゃうんじゃない? 思わずそんな不満が口をついて出てきそうですが、すでにそこは各携帯電話キャリアのほうでも十分に承知済みでして、常に携帯電話ユーザーの動向をチェックしつつ、大きなパワーを必要とするエリアには複数のアンテナ基地局をオーバーラップさせるなど、電波の改善や増強には余念がありませんよ。だから、たとえCell Breathingの影響で一気にカバーエリアが狭まったとしても、それでも十分にカバーしきれる電波を供給する対策が施されているため、よほどのユーザー集中でもない限りは理論的に言って簡単に通話が途切れたりするはずはないのですが~

ただ、ここで興味深いのは、まるで個性があるかのように、各基地局のアンテナのカバーエリアは千差万別であり、一概に基地局を中心に半径○○○メートルをカバー可能なんて言うことができない点がありますね。その設置場所や高さ、形状、周辺の状況に加えまして、中でも厄介なのは電磁波の磁場との関係があったりもするそうです。エリア内にそびえる建物の形、どんな材料で建物が造られているのか、そこに張り巡らされている電線のコードの様子は...などなど、さまざまな複雑な要素が絡み合って、カバーエリアの中にもどういうわけか電波の相性の悪いウィークスポットやデッドスポットがどうしても都会では出現してきてしまうみたいですね。

しかも、こうした地域の環境的な要素に加えまして、その中を動き回る乗り物や稼動している電気製品、もっと言うならば人間や動物の動きに合わせても、電波の状況は目まぐるしく変化しています。基本的に携帯電話と完全に同じ周波数帯を使う電気製品は勝手な使用が許可されてはいないはずなんですけど、たとえ異なる周波数からでも微妙に電波の干渉問題が生じてきちゃうことがあるんだとか。あるいは、目の前をバスが横切っただけで、携帯電話に届くはずの信号強度が50%も低下してしまったり、極めつけは自分の首を傾げただけでも電波の受信を妨げてしまい、やはり50%の信号強度のカットにつながる場合すらあるんだって!

まさに携帯電話の電波も生き物のように、常に届きやすいエリアと届きにくいエリアが入れ替わって形成されていってるのかもしれませんね。たまたまいろいろな状況が絡み合って、ちょうど基地局アンテナから受信している電波が非常に弱くなった時に、運悪く他のアンテナからもカバーされているエリア内ではなくなってしまっていたなんて場合は、あのプツリと通話が切れてしまう状況に陥りやすいみたいですよ。

まぁ、いまだに究極の解決方法なんて見つかっていないと言えるのかもしれませんけど、理想を述べるならば、基地局アンテナに間近なエリアで使う強みは否めないかもしれませんね。あと他に同じアンテナに接続してくる携帯電話ユーザーが少なくって、周辺で電波を遮りかねない変化の生じにくい場所にじっととどまって使えば使うほど通話品質はよいのかも...。移動中の乗り物の中や通りを歩きながら話すなんてことは、もっとも携帯電話の電波的にはチャレンジングな状況を強いるという意味でしょうか?

えっ、でも、このお勧め利用法なんかじゃ、持ち歩いて使う携帯電話の意味がないんじゃね? そんな結論にもなっちゃいそうですよね。携帯電話である以上は、たまに途切れたりつながりにくかったりするストレスとも常に隣り合わせで避けられないということなんでしょうかね~

John Herrman(米版/湯木進悟)