DVDを「焼く」と、実は「凍って」た!? 仕組みをスパコンで解明

DVDを「焼く」と、実は「凍って」た!? 仕組みをスパコンで解明 1

よくわからないけど、使えてるからまあいいか、ってよくありますよね。

DVDはまさにそんな状態だったそうで、最近やっと、DVDに書き込む仕組みの詳細が研究によって明らかになったのです。何がわかったんでしょうか?

 光ディスクの合金にレーザーをあてると、膨大なデータを保存できるストレージ媒体となります。これはもう何十年も知られていることでしたが、実際にレーザーが合金にあたったときに何が起きているのか、正確には把握されていませんでした。

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そこで、ドイツを拠点とする国際的研究グループがこの問題について数年間かけて取り組んできました。彼らは世界最大級のスーパーコンピューターJUGENE(ユージーン)を使って、DVD表面にレーザーがあたったときに何が起こるかをシミュレートしました。640の原子数百ピコ秒(ピコは1兆分の1です)にどのように動くかをシミュレートしたそうですよ。

直近の実験において、研究グループはDVD-RWの素材にもっともよく使われる合金、AISTに着目しました。AISTはその原料である(元素記号Ag)、インジウム(同In)、アンチモン(同Sb)、テルル(同Te)にちなんだ呼び名です。上の画像がアンチモンですが、AISTを構成するこれらの元素は同様の光沢があるため、DVD特有のキラキラが生まれるのです。

これらの金属には、キラキラ以外にも共通した特殊な性質があります。AIST合金は、最初は物理学者がいうところの「アモルファス」、言い換えると無秩序な構造になっています。下の図の左下が、AISTのアモルファス構造です。でもこれにレーザーをあてると、AISTの分子は瞬時に結晶格子状(図の右下)になります。研究では、アンチモン元素が分子の結びつきを非常に速くスイッチしていることがわかりました。図の右上・左上が、レーザーがあたった際の高速スイッチの図です。

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自然界では、こうした相変化は日常的に見られます。たとえば水が氷になったりするのが相変化で、無秩序な液体から結晶化された固体に変化します。AISTが特殊なのは、ある固体の状態から、別の固体の状態に変化するということです。DVDを「焼く」と、その表面はアモルファスな固体から結晶化された固体に変化するわけです。いわばレーザーの熱で、DVDが「凍りつく」のです。

その仕組みが明らかになっただけでもすごいことですが、研究グループの仕事はまだ始まったばかりだそうです。参加している研究者によれば、この研究はBlu-Rayの素材にも応用でき、さらにはより良い光学ストレージ媒体を作り出すことにもつながるということです。つまり、より長持ちし、容量が大きく、読み込みが早いストレージの可能性が出てくるのです。

十分便利に使い慣れているものでも、深く掘り下げていくことでもっと良いものができていくんですね。

冒頭のDVD画像はFilipe La Rottaさんによるものです。

[Nature Materials via Julich solid-state research]

Annalee Newitz(原文/miho)