なぜこのアフガニスタンの村は消えたのか?

なぜこのアフガニスタンの村は消えたのか? 1

左が昨年10月にタリバンと米軍がくる前、右がきた後。場所はアフガニスタンのArghandab Riverバレーの小村「Tarok Kolache」です。

何故こんなことに? この村にいったい何が起こったんでしょう?

ウェストポイント陸軍士官学校を出た軍事ライターPamela Broadwell女史が評論家Tom Rick氏のForeign Policyブログに寄せた記事によると、まずタリバンが「村人を追い出す威圧行動を起こした」らしいんですね。

合同・統合任務部隊第1-320砲兵大隊はタリバン戦闘員と仕掛け爆弾(IED)の「多数の着弾痕」に「恐れをなし」、「恐怖の余り地雷原に戻って撤去作業を続行できなくなった」。2度攻撃するも失敗。米・アフガン双方に甚大な被害が出た後、とうとうDavid Flynn中佐が「勢力を維持する唯一の手段は村を木っ端微塵爆破することだ」と最終判断を下した、とのことです。

あるチームが戦闘前哨基地のひとつからTarok Kalache村まで600mの道をMICLIC(地雷爆破装置)でクリアにしてやる計画だったが、「それが私が部下に作業に戻る自信をつけてやるためにできる唯一のことだった」

10月6日、Flynn中佐の部隊はHIMARS(高機動ロケット砲システム)と戦略爆撃機B-1A-10攻撃機の使用を認め、4万9200lbs(22.3トン)相当の武器をTarok Kalache村のタリバン戦闘基地に投下した。結果は「NO CIVCAS」。

Babur、Khosrow Sofla、Charqolba Soflaその他の村々の地雷撤去作業は7日に始まり、USSF(米特殊部隊)、ABP(アフガン国境警備隊)、B/1-22歩兵大隊がそれを支援した。

「NO CIVCAS」は「no civilian casualties(負傷した民間人はいない)」の意ですが、このBroadwell女史の記事はちょっとおかしいんじゃないかと、ワイヤードのSpencer Ackerman記者は書いています

 

 

Broadwell女史...というか1-320砲兵大隊はなぜ、Tarok Kolache村に25トン近い爆弾・ロケット砲を投下しながら民間人をひとりも殺さなかったと断言できるのか、理解に苦しむ。ロケット砲だけでも爆発の衝撃は半径約50メートル(164フィート)に及ぶ。従って1個1個弾が落ちるたびに付近の人に当たった確率は高い。

女史は自分のFacebookのウォール(ページ)でのやり取りで、『司令官は、その廃村には地雷を撤去する価値がないと評価した。KIA(戦死者)が何人か出ても、その判断は変わらなかっただろう』と明記している。でもTarok Kolache村に踏み込んで地雷撤去もしてないのに、なぜ米国やアフガン軍は民間人がゼロと言い切れたのだろう?

確かにおかしいですよね! 100%民間人じゃないかもしれないけど、アフガン人のある村人は「爆破後、自分の人生は台無しになった」とFlynn中佐を非難しています。彼ひとりじゃないでしょう。アルガンダブはカルザイよりタリバンの方が人気なこともあり、アフガン人の間ではアルガンダブ駐留NATO軍の印象は最悪なのですが、これでさらに反感に油を注いだことになります。

幸い、ペトレアス司令官が復興予算として最大100万ドル(8286万円) 出すことを承認し、Flynn中佐と部下は急ピッチで村の再建を進めるそうですけど、木っ端微塵爆破したばかりの村をまた元通り再建するのにこんなに膨大なリソース(人・物・金)がとられてしまうんじゃ、最初言ってた「勢力」維持の大義名分は一体なに? って思ってしまいますよね。

それに今さら再建しても手遅れという気も...。Ackerman記者が取材した独立系アナリストも同じ懸念を口にし、このTarok Kolache村襲撃でせっかくこれまで米国の兵士が築き上げてきた善意も台なしになりかねない、と仰ってたそうです。

「村を丸ごと破壊するなんて、米国指揮下の兵士の規範を逸脱する行為だ」とAckerman記者はドライに書いてますよ。なぜかは写真を見れば分かりますよね...。

[Wired; Foreign Policy]

Max Read(原文/satomi)