WindowsとOfficeの海賊版が多数...人はなぜ、どこで海賊版ソフトを手に入れるのか?

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イケないことだと分かってはいても...

ついつい人は出来心から違法コピーや海賊版ソフトを入手してしまうのかもしれませんけれど、その代償は非常に高くついちゃうことを決して忘れてはいけません。今回は、その犯罪を追う側と、なんとか網の目をくぐり抜けて精巧に進化した海賊版ソフトウェアの提供に挑む側との仁義なきイタチゴッコの戦いを紹介してみたいと思います。特に最近は以前と異なるシナリオが描かれるようになっていたりして、なかなか取り締まる側も複雑だったりするみたいですよ。

ではでは、世界ではびこるPCソフトの海賊版の販売実態と入手ルートの数々を、それらを取り巻く微妙な賛否両論ともども合わせまして、今回は一挙にご紹介することにいたしましょう。マイクロソフト帝国ならではの悩みなんかもあったりするのかもしれません。

 

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そもそも「海賊」版という言葉の響きからして、なんだかどこか遠い異国の犯罪事情みたいな印象を抱きがちではありますけど、なんのなんの実は非常に身近なところでも海賊版ソフトウェアの取引きは頻繁に起きているんだそうですよ。たとえば、これはあくまでもマイクロソフト社内の機密情報なので詳細は明らかにできないとのことですが、米国はニューヨーク市内に限っても、過去1年間にマイクロソフトから「海賊版ソフトウェアの販売を中止するように」との警告レターを送付された販売業者が数百を超えており、闇市でやり取りされるものを含めたりすれば、もう枚挙にいとまがないんですって。意外と日本でも似たような状況が起きてたりもするのかな?

あと、eBayを始めとするオンラインオークションにも、違法コピーソフトが続々と出品されており、多くの普通の学生とか主婦までが海賊版の販売から得られる不正な利益に味を占めてしまってもいるみたい! シマンテックのセキュリティー対策ソフトやアドビのPhotoshopシリーズ、さらにはXboxを始めとする各種ゲームソフトなどなどの海賊版が多数取引きされている中で、圧倒的に他を上回る人気を見せているのは、マイクロソフトのWindowsならびにOfficeソフトを不正にコピーした製品群とのことですね。

ただし、やっぱり海賊行為の本場は、いくつか特定の非常に盛んな地域もありまして、マイクロソフトの不正ライセンス対策チームを率いるデービッドさんによれば、もっともひどいのは中国、南米、東欧、ロシアが目立っています。ちょっと街角を探せば、いまでも簡単に海賊版ソフトが買えちゃう実態が見られるようですよ。

当然ながら、違法コピーソフトの取り締まりは世界的に厳しくなっていて、マイクロソフトでも世界の有名情報機関出身の優秀な人材を採用し、こうした地域へと送り込んでは、捜査当局の協力を仰ぎながら摘発に努めているとのことではありますが、敵もさる者であります。本物そっくりにホログラムを作成し、まるでメーカーから出されたかのような違法コピーを禁じる文面まで載せたパッケージまで用意しつつ、正規品とは比べ物にならない超格安で海賊版ソフトが売り上げられているのは当然のこととして、マイクロソフトのアクティベーションコードによる認証もクリアーできるように、最近では独自のオンライン認証システムまで提供しちゃってる違法ショップまで出てきているみたいですよ。きっと購入者は、自分が海賊版のソフトを買わされていることに最後まで気づかないんじゃないでしょうかね...

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さらに、このところ最大人気を集めている海賊版ソフトの入手ルートは、わざわざ怪しげなショップまで出向かずとも、自宅にいながらにして購入できてしまうオンラインのダウンロードリンクです。マイクロソフトのWindowsやOfficeを激安でゲットできるという触れ込みで、海賊版をダウンロード提供しているサイトの摘発は、数年前までは月に1万件ほどだったのが、現在では毎月80万件を優に上回るペースで推移する大人気の様相を呈しているそうですよ。摘発しきれていないものまで含めれば、その数は増えに増えまくっているということでしょうね。凄まじいのは、一見すると怪しげなサイトには思えない作り込みようで、もっともらしく購入後にカスタマーサポートまで提供しているケースも多々あるみたいです!

ただし、こういうオンラインで入手できる海賊版ソフトの特徴といたしまして、知らないうちに危険な仕掛けを自分のパソコンの中にセットアップされてしまう点が挙げられますね。たとえば、マイクロソフトの調査によれば、一般的に裏では人気のある海賊版ソフトのオンライン販売サイトからおとり捜査で購入してみたソフトウェアのうち、その約4割に有害なコードが含まれていたことが判明していますよ。いつの間にか、そのソフトをインストールしたパソコンから大切な個人情報を抜き出されたり、ウイルスやスパム送信の温床として乗っ取られちゃったりすることも少なくないそうです。

とりわけ厄介なのは、昔は麻薬の密売が専らビジネスの中心だったはずの闇のカルテルが、大々的な組織犯罪として海賊版ソフトの製造販売に乗り出してきていることにありますね。バックから潤沢に供給される金額が並大抵の規模じゃありませんから、どんどんと進化する精巧な海賊版ソフトが登場してきており、おまけに購入時にクレジットカード番号を入力させるフィッシング詐欺との組み合わせが大ヒットしたりするもんですから、ますます手元に入ってくるお金も潤って、本物のソフトウェアメーカーは売り上げの減少に苦しんでいるのに、海賊版ソフト事業だと儲かりまくってしまうという歪んだ構図ができちゃってるみたいですね。これにはもうマイクロソフトだってたまったものではありませんよ。

ただ、ここまでの話は、主にマイクロソフトサイドから提供された情報がベースです。決して海賊行為を擁護するわけではありませんけど、マイクロソフトへの批判や反論も存在しているという複雑な事情も浮かび上がってきています。

「マイクロソフトはWindowsとOfficeの売上げで巨万の富を築き上げてきた。先進国では、それでもよかったのかもしれない。だが、とてもではないが、こうしたソフトウェアを正規の値段で購入することなど考えられず、まったく手の届かない世界で生活している大勢の人たちのことも考えてみてほしい」

「海賊行為の多発地域と、WindowsやOfficeの正規の販売価格が所得に占める割合が非常に高くなってしまう地域とは重なってくる。つまり、WindowsもOfficeも、一般の人々にとっては高すぎる商品でしかないということだ」

「本当にマイクロソフトが海賊版ソフトの販売をやめさせたければ、もっとWindowsやOfficeの価格を下げればよい。これこそが最善の解決策となるであろう」

海賊行為の蔓延の陰で、実はこういった声も日増しに高まってきているというのが現状でもあるみたいですよ。

もし世界中の人々がウチの会社のソフトウェアを盗んででも使いたいようだったら、私はそれを奨励してでも広めたいというのが本音でしょうかね。とにかく多くの人に使ってもらって、まずは市場で最大シェアを確保しないといけない。ところが、自社のソフトウェアが市場で絶対的多数を握った途端、今度は売上げを確保するためにも、厳しい海賊行為対策に方針を大きく転換しないといけなくなるんですよ。マイクロソフトがその良い例です。

かなり激しい意見ですけど、スマートフォンやタブレットでのシェア確保を狙っている、あるソフトウェア会社の最高経営責任者は、こんな興味深い話をしてくれましたね。そもそもマイクロソフトも、このサジ加減を心得ているようでもあり、あんまり海賊版ソフトの使用がはびこっている地域で、正規のライセンスを使用していない企業へとドシドシと踏み込んでいっては摘発なんてしようものならば、ことごとくビジネスパートナーが消えていってしまうことを恐れて、そう強くは出られないケースも少なくないなんて指摘されています。

最後に興味深いコメントとして、なにかとマイクロソフトのWindowsとは張り合う立場にあるLinux Foundationのエグゼクティブ・ディレクターのジム・ゼムリンさんの鋭い考察も紹介しておきましょう。

Linuxとしては、もっとマイクロソフトにドシドシと海賊版ソフトの取り締まりを厳しくしていってほしいと心から望んでいる。Linux陣営が最大の理想として掲げるのは、すべてのWindowsユーザーが高いコストを払ってWindowsを使うしかない世界だ。そうすれば、Linuxの最大の魅力ともなるコスト面でのアドバンテージが、とりわけ現在は海賊版ソフトの使用のはびこる地域で十分に発揮されてくるようになる。

なにがなんでも海賊行為は撲滅したいというのが理想のマイクロソフトなんでしょうけど、でも、世界には非常に複雑な事情も多々あって、ここが悩みどころでもあるみたいです。このところWindowsやOfficeなどなどの販売が爆発的に増えているわけではないマイクロソフトとしては、とりわけ今後もかなり頭の痛い問題になるでしょうね...

NY Times

Casey Chan(米版/湯木進悟)