FacebookはネットをAOL化している

FacebookはネットをAOL化している 1

既視感ありますよね...。

メグ・ライアンとトム・ハンクスが「You've Got Mail」の着信音でトキめいていた1998年、AOLは若者に絶大な人気を誇っていました。ユビキタスでパワフル。AOLのHOMEページに行きさえすればそこでなんでも事足りた時代がありましたよねー。

でも今思えば、タイム・ワーナーがすごい評価額でAOLを買収し「米史上最大の合併」と騒がれた2000年がブームの絶頂でした...。その後バブルは崩壊。買収のわずか3年後には途方もない赤字を計上し、やがて分社化...。時代の趨勢に加えデザイン上の欠陥もあって、栄華は長続きしませんでした。

2007年には社員約2000人、2009年には同約700人を解雇し、今月もまた先週金曜までに米国で約200人、インドで約700人が解雇通告を渡されたそうですよ。

でも56kモデムのヒンデンブルク号(AOL)爆発はなんの教訓も残さなかったようです。今またあのデススターをせっせとこしらえてる人たちがいるのです。

ワーナー・ブラザーズが「ダークナイト」を皮切りにFacebookで映画レンタル開始! Rovioの「Angry Birds」、次なる舞台はFacebook! ニュースは毎日フェイスブック一色です。3ドル払って48時間映画借りれる! Angry Birdsがフェイスブックでも遊べる! ...まあそりゃ便利には違いないけど、こうも世の中なんでもかんでもフェイスブックになっちゃうなんて一体だれが予想したでしょう...!

今のフェイスブックにないものはありません。IMもメールも写真共有もアプリもロケーション・チェックインもTwitterもどきのステータス更新もあります。フェイスブックが手をつけなくても、そこはデベロッパーが代わりに埋めてくれる。よって手を広げっぱなし。

結果どうなったか?

ウェブポータルが廃れて10余年。「フェイスブックはAOL2.0」なんて声も巷では囁かれているんですよ。

 AOLの経営は10年かけてゆっくり内側から崩壊してきました。その内破の10年にAOLが突入し、時代に取り残されていく一方、残された肥沃な泥土では真のインターネットが雨後の筍のように芽生えてきました。AOLが血まみれのボクサーのように大赤字を出し続ける中、残りの僕らはネットの便利なツールに夢中で、死体が腐りかけているのにさえ誰も気付かなかったのです。

IM、メール、動画、サイト、ゲーム--どれもAOLの発明品ではないのだけれど、AOLはこれをひとつに束ねて(ダイヤル回線のある人なら)誰でも便利に使えるようにし、90年代のメッカとなりましたよね。簡単! 遅...! でも親しみ易くて居心地が良くて多少息苦しくもあったAOL。AOLが考えるオンライン世界とは即ち、この壁に囲われた装飾庭園に置くべき価値のあるものでした。その庭はクローズドで、厳重に鍵が掛けられていました。緊密に統合化はなされているものの、後から思うと誠に凡庸でもあったのです。

ここまで読んで「フェイスブックはAOLと違う。大きな違いが最低2つある」と言う人もいると思います。もちろんそうですよね、我々もなにもこの2つが全く同じだと言ってるんじゃありません。

第一、フェイスブックはソーシャルです。僕らもソーシャルなネットの可能性は信じてます。やっぱり友だちのコンテンツやおすすめは誤魔化せません。それがフェイスブック成長の機動力でもあります。

第二に、フェイスブックは昔のAOLほどクローズドでもありません。他社でも自由に使えるプラットフォームです。

AOLにはそのどちらもなかった。

でもだからってフェイスブックが凡庸であることに変わりはないと思ってしまうんですよね...。凡庸なもの(例:ダークナイトのレンタル)をどっと大量にアウトソースしながら、一部インハウスにキープ(基本、フェイスブックのメッセージサービスとか現在社内で開発中の人気サービスのクローンは全部これ?)してたって、友だちが次世代のスーパー・ポーク(ちょっかいツール)でスパム攻撃してきたって凡庸なものは凡庸なんです。

あとフェイスブックは全教科満点採ろうとしちゃうところが凡庸です。オンライン企業でそれは無理。それやろうとすると必ず先細りです。そこがインターネットのすごさなのだけど...。選ぶのは自分。。動画を1兆本観たいならYouTube! ゴージャスなミュージックビデオと短編ドキュメンタリー観たいならVimeo! あらゆるボックス・端末で映画が観たい人にはNetflix最高! という風にサイトも「餅は餅屋」で特徴が出せるところがネットの魅力です。

でもFacebookにはそれがないんです。人類史上最悪に衰えている現代人の全集中力のうち1日ちょこっと割いてもらえると気づいたばかりにFacebookは今なんでもやりたくてしょうがない段階のようです。Netflixにもなりたいし、Xboxにもなりたい、Foursquareにもなりたい、Gmailにもなりたい----こうして見てると「ひょっとしてFacebookはインターネットになってしまいたいんじゃあるまいか」と思ってしまいますよ。みんなはそれでいいんだろうか?

イラスト by Sam SprattFacebook Artist's PageTwitter

Sam Biddle(原文/satomi)