なぜアップルは「iPad 2」発表会にジョブズCEOを起用したのか? 貴重なジョブズ語録から判明した5つの秘密...

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王者のアップルとしても悩んでいる...。

なんだか発売前からボクらの期待度をドカンと押し上げてくれる出来栄えという「iPad 2」ですけど、今回のアップルが特別に開催したメディアイベントには、一部の予想をいい意味で裏切って、まさかの病気療養中のスティーブ・ジョブズCEOが壇上に現われて発表ステージを盛り上げまくってくれましたよね。正直に言ってうれしかったというギズ読者の皆さまも少なくないのでは?

それにしても、過去においては、病気療養のためにアップルを離れている間のジョブズは徹底して表には姿を現わさず、完全復帰するまではわざわざこうしてアップルを代表して公式の場に立つだなんてことはしませんでしたから、なんだか逆に異例なことのようにも思えちゃいます。いろいろと今回のiPad 2発表イベントでジョブズが語った言葉を分析していくと、なんだか知られざるアップルのビジョンなんかも見えてくるような気がしたりするんですよね。

ではでは、いまかいまかと日本国内でのiPad 2発売を待ちわびながら、病を押してでもアップルのためにステージへと上がって飛び出してきた貴重なジョブズ語録から明らかになった5つのポイントを、改めて振り返ってみることにいたしましょう~。

 

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1. 病状を心配してくれている人たちを安心させたかったのか

一部では深刻な病に苦しんでいるとのスクープ報道まで飛び出してきたり、なにかと周囲も気をもむ状況が続いてはいましたけど、わりと今回のステージ上での様子を見ていると元気そうでしたし、まずは一安心というところでしょうかね。

iPadの新製品の開発に深く関わってきた自分としても、やはりこの発表の場を逃したくはなかったんだ。

そう語るジョブズを、サプライズと喜びに包まれたメディアイベント会場は総立ちのスタンディングオベーションで迎えましたよ。いろいろとアップルの社内で進む新製品の開発プロジェクトにも、決して身を引くことなく深く関与しているジョブズの姿勢に安心したという人も多かったのではないでしょうか。ぜひまた元気な姿を見せてくださいね!

2. iPadの最大の秘密は販売価格にあるらしい

よくアップルでは「iPadって魔法だよね」って言い合っているんだけど、それを耳にする多くの人は笑って済ませようとするんだよね。でも、よくよく考えてみてほしい。これは本当に魔法以外の何物でもないよ。だって、このiPadが信じられないような値段で販売されているだろう? 店頭で他社メーカーのタブレットと十分に比較してみてくれよ。

まさか「魔法」なんてファンタジーな言葉まで使ってジョブズが饒舌にまくし立ててくるとは意外でもあったかもしれませんけど、確かにiPadの成功の秘密は販売価格にあるというのは事実でしょうかね。いろいろと他にも主にOSにはAndroidを起用したタブレットが市場へ次々と投入されてはきましたけど、結局のところはiPadとそんなに値段の差がないというケースがほとんどなんですよね。iPadのパフォーマンスと実際に市場へ提供する時の価格のバランス感覚を、最も巧みにわきまえて急スピードの普及を進めようとしているアップルの戦略が如実に示された一面だったようにも思えましたよ...

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3. だれよりも実は非常に他社メーカーのタブレットの動向を気にしているらしい

基本的にアップルは「10インチサイズの液晶ディスプレイを装備したiPad」というデザインスタイルにこだわっていますけど、実は他のサイズも含めた多彩なタブレットの新製品が次々とリリースされている様子を、じっと指をくわえて見守っているなんてことはなく、非常に敏感に市場での反響などをチェックしては対応策を練っていってるみたいですね。

たとえば、日本でもNTTドコモから発売された、iPadよりコンパクトサイズの7インチの液晶ディスプレイで強力な対抗馬になると評判の韓国サムスン製の「GALAXY Tab」投入後の市場の反応なんかにも十分に通じようとしていて、どれほど世界でGALAXY Tabは売れているのかといったデータの入手にも余念がないことをジョブズ自ら明らかにしていましたよ。

どこもかしこもタブレットだらけで、2011年はiPadのまがい物のようなコピー製品だけが市場を席巻する1年となってしまうのだろうか。もし我々がなんら手を打たなければ、きっとそうなっていたことだろう。だが、決してアップルはそんな時代を望んではいない。

そう語ってiPad 2のリリースへと踏み切った経緯を説明したジョブズですけど、今回の主なアップデートポイントとなるカメラの搭載ですとかは、iPadを猛追しようと各メーカーから争って投入された他のタブレットラインナップからのプッシュという圧力要因がなければ、もしかすると実現しなかったことかもしれませんよね。とすると、ボクらユーザーの側からすれば、いろいろとiPad以外にも世にタブレットの新製品があふれ、iPadにはない魅惑の新機能なんかで話題を作ってもらえばもらうほど、アップルもiPadの次世代モデルへの採用を検討せざるを得なくなる状況が生じていいってことでもあるんでしょうかね~

4. あくまでもハイスペックでの勝利は狙っていないらしい

ところで、確かに今回発表されたiPad 2のスペックアップには目ざましいものがあるかもしれませんけど、でも、このアップルの最新タブレットと比較してみても、すでに余裕でスペック的には上を行ってるAndroidタブレットも多数そろいつつありますよね。たとえば、早くもiPad 2の最大の弱点になっちゃうのではないかとの指摘まで出てましたけど、1GBのRAMを搭載するAndroidタブレットさえ珍しくなくなりつつある現時点でも、もしかするとiPad 2のRAMは256MBどまりなのかもしれないみたいですよ...

何度も繰り返すようだが、やはり今回も強調しておきたい。つまりアップルは「なにがなんでもテクノロジーがすべてだ」というような考え方をDNAに持つ企業ではないという点だ。

iPadのアプローチを説明するならば、これはポストPCの時代を見つめた製品であり、ライバル他社が考えているようなネクストPCを狙った製品では決してない。次なるPC分野での新製品を狙っていくアプローチが成功のカギではないのだ。もはやPCではない、PCとは一線を画したシンプルで直感的に使用できる新たなデバイスが主眼に置かれているからだ。

現在でもアップルはiPadで実現する最高に快適な楽しいユーザーエクスペリエンスこそ最重要であると考えており、単にスペック的に優れたタブレットを完成させては新発売するという開発姿勢を評価したりはしていないということのようですね。そして、この「ポストPC」という言葉でジョブズが表現したアプローチでも重大なカギを握っているのは、タブレットのスペックよりも価格であるとの先に取り上げたポイントが改めて繰り返されていましたよ。

これほど発表後にスピーディーに販売へと踏み切れるのは、すべて我々の小売店網のおかげであることも付け加えておきたい。いまや世界には何百店ものアップルストアーがあり、その存在なしにiPadの成功はあり得ない。

確かにアップルの販売ルートには、ウォルマートやベストバイなどの流通網に乗せてもらうためのマージンを大きくカットできる、アップルストアーからダイレクトにガンガン販売していける強みがありますよね。これがなければ、やっぱりiPadの販売価格は、どうしてももっと高くならざるを得ないと思うんですよ。そして、アップルがリリースするタブレットにこの利点がある以上は、なかなか現状では価格面で際立った違いを見せつけにくい他のAndroid陣営などのタブレットは苦戦を強いられて、すぐにはiPadを超える成功を望みづらい状況も存在しているでしょうかね...

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5. 音楽の世界を変えようとしているらしい

iPad 2のリリースと同時に公開される新アプリ「GarageBand」の発表もありましたけど、もはや楽器を弾くのもiPad、曲作りもiPadだけで済んじゃう時代になろうとしていますね。

まだ実際にリリースされていないのでなんとも言えないが、これからのティーンエイジャーはGarageBandだけで何時間も過ごして曲を作っちゃうんだろうね。

う~ん、でもやっぱり本物の楽器には一切手を触れることなくデジタルの環境だけで曲が誕生しちゃうのが今後は主流になっていくのだとしたら、なんとも寂しい気もしますけどね~

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いかがでしたか? やっぱりアップルの新製品発表におけるジョブズのプレゼンって、本当に様になりますよね。今回はそれが見れてよかったなぁ。いろいろiPadを追うタブレットのリリースが続いてアップルも悩みつつも、まだまだ現状ではiPadの快進撃が続いていきそうな感じでしょうかね...

Brian Barrett(米版/湯木進悟)