どんな型にもブロー成形できる新合金が登場(イェール大)

どんな型にもブロー成形できる新合金が登場(イェール大) 1
スチールより強くて、プラスティックほど多用でき、あらゆるかたちに姿を変える金属を想像してみてください。次に、それで作れるガジェットを思い浮かべてみてください。

―AppleのユニボディのMacなんて目じゃないですよね!

これはイェール大学のJan Schroers氏=写真=率いるチームが開発した新素材です。氏のチームは「バルク金属ガラス(bulk metallic glasses:BMG)」の研究に取り組んできたのですが、ついに熱可塑性物質のように毎日の暮らしに欠かせない万能素材の実現となりました。

金属の原子は基本的に結晶構造で、金属の原子は固体の時はかなり規則的な配列になっていますよね。ダイヤモンドの炭素原子みたいにきれいな列・レイヤーを成している。

ガラスは長い繊維状分子です。液状の時は互いに絡まってますが、冷えると絡まった繊維状の構造のまま、その場で固まります(プラスティックに非常によく似ている、分子が違うだけで)。

こういった素材の特徴の違いから、日常生活の様々な状況における行動にも違いが生まれます。例えば金属(とプラスティック)は柔軟で延性があって加工も可能ですけど、ガラスは強いけど簡単に割れる、という具合に。

その点、バルク金属ガラスは金属の合金で、構造はランダムな配列...つまりガラスの素材がもつ強さと伝統的な金属がもつ強さをそれぞれ少しずつ兼ね備えているんですね。

 イェール大で作ったのはブロー成形できる新種のBMG(ジルコニウム、ニッケル、チタン、銅などの金属を合わせたものでできている)です。ブロー成形はプラスティックやガラスなら簡単にできますが、本来、普通の金属ではできないものです。

新素材は強度に優れ、衝撃抵抗力があり、金属ならではの耐久性を備えています。

AppleがメタルのユニボディのMacを組み立てるとき使う最先端のメタル加工処理でも成形・接合・加工は必須ですが、 新技術ではそれさえも必要ないんですね。製造工程の全ステップが一度にできるので、「普通」の金属より製造はぐっとスピーディーです

その秘密は新素材を使い、低温・低圧力で柔らかくし、合金が成形する間も「フロー(循環)」できる状態に保つことにあります。こうすると、普通の金属みたいに結晶化しないんですね。

これでチームは、継ぎ目のない金属製ボトル、共振器、生体移植用の型を作ることに成功しました。

この新素材。普通のスチールより固く、値段は高級スチール製品と同じぐらいお高いんですが、製品のかたちに成形する部分はプラスティックの熱押し出し成形と同じぐらい安価にできるんですよ。なんだか楽しみですね!

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本稿は規定概念を打ち破りビジネスの未来を創世するイノベーターのためのマガジン「Fast Company」のゲスト寄稿です。

Kit Eaton - FastCompany原文/satomi)