もう原発は作られない? コスト上昇と支持低下で(動画あり)

もう原発は作られない? コスト上昇と支持低下で(動画あり) 1

今回の福島第一原発の事故を受けて、これからの原発建設・運営は大きく見直されていきそうです。でもFast Companyのシュワルツ記者は、今回の事故以前からもそのような見通しがされていたと指摘しています。

どういうことでしょうか? 以下、シュワルツ記者のレポートです。

 福島第一原子力発電所は現在も予断を許さない状況にあり、今後新たな原子力発電所が建設される可能性は非常に低いのではないかと考えられます。が、事故に対しての反応だけがその理由ではありません。福島の事故が起こる前から、原子力をめぐる経済状態は厳しいものだったのです。

表面的には、そのようには見えません。昨年の世論調査では米国民の62パーセントが原子力エネルギーを支持しているという結果でしたし、オバマ大統領は原子力発電所建設に542億ドル(約4兆4300億円)をつぎこもうとしていました(その計画は今問題視されていますが)。でも、少なくともある専門家によれば、原子力産業にはそもそも成功の見込みがなかったのです。

その専門家とは、バーモント・ロースクールのエネルギー・環境研究所の経済分析上級フェロー、マーク・クーパー氏です。彼はカナダ下院議会の天然資源常任委員会において証言し、原子力エネルギーの経済性について次のような見解を述べました。

クーパー氏によれば、原子力産業はバブルの終焉期にあります。まず2001年から2005年にかけて「プロモーション的熱狂」の時期があり、当時のブッシュ大統領は185億ドル(約1兆5100億円)の融資保証プログラムを制定しました。その後2006年から2008年にかけて、融資保証と認可の申請による金利上昇が見られました。そして想定されるプロモーションコストを調達できないという認識があり、2009年から2010年の経済情勢に押されてバブルの崩壊が起こったのです。特に天然ガス価格の低下や需要減少、低炭素エネルギーのコストダウンなどがあり、最終的には原子炉建設の延期や中止を招くことになりました。日本の原発事故は、すでに力を失っていた原子力産業にとどめを刺したに過ぎないのです。

さらに福島の事故以降、原子炉建設コストは急激に増加すると考えられます。クーパー氏はその理由について、投資家が原子力施設建設が困難だと考え、他のエネルギー手段(たとえば天然ガス、石炭、風力、太陽エネルギー)に比べて魅力的でないと考えるためだとしています。また原子力は公共設備に対して非常に大きなリスクを与える存在と見られるようになるでしょう。

米国原子力規制委員会(NRC)の存在も、原子力に対する安心感にはつながっていません。憂慮する科学者同盟に所属する原子力の専門家、デヴィッド・ロックバウム氏は、以下のように発言しています。

NRCの原子炉監視プロセスは、改善されています...NRCが現在使っている原子炉監視手順は、10年前の2000年に採用されたものです。その工程は、2000年以前に使われていたものよりは改善されているんです。なので状況はよくなってはいると思います。

でもそうは言っても、新しい原子炉監視手順は絶対確実なものではありません。たとえば2002年には、その手順でデイヴィス・ベッシー発電所を評価し、ほぼオールAという最高評価を与えていました。でもその後、デイヴィス・ベッシーでは1979年のスリーマイル島の事故以来の事故をあやうく起こすところだったことが発覚しました。そんな風に良い状態と悪い状態の区別をつけられない内は、まだ対処すべきことがあるんです。

と言っても、米国で今後新しい原子力発電所が二度とできないということではありません。でも、現在稼働している104基の原子力発電設備はすべて、1974年以前に建設が開始されたものです。新たな発電所建設が3ヵ所で進行中ですが、完成まではまだ遠く、サウスカロライナ州のものが着工されたばかりです。

放射性物質放出に伴う市民の不安感情が高まる中、近い将来市民からの原発支持が回復するとは考えにくいです。そうした不安感は、日本においては当然と考えられます。憂慮する科学者同盟では、福島第一原発周辺の退避指示対象地域における累積放射線量が、1年間に許容できる放射線量の国際基準(年間100ミリレム=1ミリシーベルト)を間もなく超えるだろうとしています(訳注:一部地域ではすでに超えています)。

でも、米国内の不安感は、米国にいる人が日本の事故の影響で浴びるであろう放射線量がごく微量であるにもかかわらず、コントロールを失っています。たとえば以下の動画では、番組ホストのナンシー・グレースが男性お天気キャスターに「アメリカにも放射能来てるわよね?」と執拗に詰め寄っています。

[Fast Company]

Ariel Schwartz(原文/miho)