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人間はどの程度の爆発に耐えられる? どうしたら生き残れる?

もちろん、そんな爆発、起こらないのが一番いいんですが...。
でも、もしどこかに爆弾が仕掛けられていて、それが爆発したとしたら、人間の肉体ではどこまで耐えられるんでしょう? 爆発によって実際どんなダメージがあるのか、生き延びられるのはどんなケースかを調べてみました。
たいていの映画やテレビ番組では、爆発によって何が起こるのか、細かいところは描かれません。我々もたいていの場合、「爆発シーン」にリアリズムを求めているわけではありません。だから主人公が爆発するバスからバイクで脱出して、さらにそのバイクも爆発するんだけどスケートボードに飛び乗って難を逃れる、みたいなシーンを見ても、「いくらなんでもそりゃないだろ」とクレームをつけたりはしません。
でも映画などを見ていると、あまりに都合がいい描写がときどきあります。たとえば人間が爆風より速く走って逃げるとか、爆風から素早く身をかわすとか、果てには爆発に見向きもせず、クールに立ち去ることだってあります。でも、現実はもっともっと恐ろしいものなんです。
・爆発すると何が危険か

映画における爆発シーンは、火炎がスローモーションで湧き起こって、爆弾の破片がくるくると空中に飛んでいくというのがありがちで、昨今はそれが3Dだったりします。ともあれ、火と、何かしら高速で飛んで行く物体というのが「爆発」の基本的な描き方になっています。でも、爆発の怖さは、火や爆弾片だけでなく、目に見えないところにもあります。
もちろん、火や爆弾片によるダメージもあります。でも、爆発の破壊力の大部分は、おそらく爆風にあるのです。爆発が起こると、その周りの大量の空気にものすごい圧力がかかります。通常、空気の存在はあまり意識されることはないですが、爆発によって押された空気は巨大な圧力をもって周囲を破壊します。
・人間はどれくらいの圧力に耐えられる?
空気は普段から人間に圧力をかけているんですが、その大きさは1気圧、つまり1013ヘクトパスカルです。人間はそのレベルの圧力には耐えるように進化してきていますし、むしろそれがなければ生きるのが難しいくらいになっています。
でも、圧力が急激に変化すると、人体にとっては脅威となります。爆発が起こると、その周辺では圧力の変化が2回起こり、被害をもたらします。
最初の圧力変化は、爆風が爆発した地点から外側に向かって球状に空気が押され、圧縮することで起こります。その次に、空気が押されたあと、元の空気が存在していた空間には新しい空気が入り込めず、部分的な真空状態ができます。つまり、人間の近くで爆発が起こった場合、その人はまず爆風による圧力を受けた直後に、真空に近い状態にさらされることになります。
人間の体は、驚くほどタフです。もし圧力が、体が適応できる程度にゆっくりと変化するのであれば、3万ヘクトパスカル(通常の気圧の約30倍)近い圧力に耐えられます。でも、圧力が急激に変化する場合は、耐えられる範囲がもっと小さくなってしまいます。圧力変化のスピード次第で、1400~2800ヘクトパスカルくらいの圧力でも命取りになりえます。
圧力が非常に高くなると、人体はばらばらになってしまいます。肉や骨に与える損傷はものすごいです。低レベルな爆発であれば死に至らずに済む場合もありますが、それでも体内に損傷を及ぼします。
まず、耳が一番気圧変化に敏感です。これは、耳が気圧の微妙な変化を音としてすぐに感じとれるようにできているためで、長時間圧力がかかるとダメージは確実になります。0.3ミリ秒以下の圧力であっても、鼓膜は適応できず破けてしまいます。これは350ヘクトパスカルくらいの変化でも起こりえます。次に、肺が変化に反応します。肺には空気の入った小さな袋がたくさんあるので、過剰な圧力が急激にかけられるとそれらが破裂し、出血します。腸も破壊されます。爆発で腸が損傷を受けるのはイメージしにくいかもしれませんが、圧力変化には敏感な臓器なんです。腸の中には液体とガスが満たされているので、急に圧力が変化すると腸が急に伸縮して、裂けてしまうのです。
・圧力のさらなる危険性

圧力変化そのものも危険ですが、圧力変化によって起こる危険がさらにあります。真空状態ができると、その周りから空気が真空を埋めようと押し寄せてきます。つまり風です。ものすごい風です。
350ヘクトパスカルの圧力変化で、時速256kmの風が吹きます。1400ヘクトパスカル変化すると、風は時速752kmになります。ここまで強い風は、人間をなぎ倒すどころか、体を持ち上げてしまいます。そして、まるで電車が人間を轢くように地面を引きずるか、建物の外に吹き飛ばして地面にたたきつけるか、といったことになります。かりに爆風に耐えられたとしても、その後起こる風によって周りの物に叩きつけられて命を落とす可能性が高いのです。
・物陰に隠れてもだめ

映画では、壁の後ろに隠れたり、トンネルに入ったり、角を曲がったりして(映画『インディペンデンス・デイ』とか)爆発から逃れる場面が出てきます。でも、爆発による圧力変化は、そんな風に隠れたところで免れられるようなものではないんです。建物や車が風に揺れる経験は多くの人が持っていると思われますが、爆発の場合も同じです。空気の波は逃れられても、力そのものは生きていて、建物などにぶつかってくるのです。
さらに、通路を走り抜けたり、狭い場所に逃げ込んだりする場面もよくありますが、これは実際には危険性を高めてしまうかもしれません。たとえばホースからちょろちょろ出ている程度の水でも、ホースの先を押して細くすると強い勢いで噴き出してくるのと同じです。圧力の出口を狭くすると、勢いは増してしまいます。なので、より狭いところへと逃げていくと、場所にもよりますが、より強い風を受けることになりうるのです。(ちなみに、物陰に隠れることにはメリットが全くないわけではなく、爆弾片から身を守る効果はあります。)
何かの中に入って身を守ろうとする場合、その場所の堅牢さも大事です。この点は映画でもちゃんと描かれています。建物が壊れそうなときはそこから脱出する、その通りです。
多くの建物は雪や風には耐えられるようになっています。雪の重量や風の圧力もそれなりにありますし、通常建物は頑丈になっていますが、屋根は大体1平方メートルあたり45kgの雪、壁は時速160kmくらいにしか耐えられません。建物は350~1400ヘクトパスカルの圧力で壊れてしまいます。人間にとっての致命的な圧力が1400~2800ヘクトパスカルであることに比べると、人間よりももろいのです。なので、爆発そのものより、それによって建物が崩れてくることの方が危険かもしれないのです。
・どうすれば助かるの?
一般に、助かろうとするのは無理です。少なくとも映画に出てくるような、画面中が火炎に覆われるような大爆発では無理です。車とか人間とかが、間近で起きた爆発で吹き飛ばされて、なお人間が生きているなんてシーンもありますが(映画『Long Kiss Goodnight』がすごかった)、実際はありえません。軍事レベルの爆薬はものすごい圧力を発生するので、爆発すれば近くにあるものはすべて破壊されると考えていいです。
もっと控えめな爆発だったとしても、最善策はとにかく遠くに逃げることです。爆発による力は遠くに行くほど弱くなるので、とにかく力の限り走ることです。100メートルもダッシュすれば、爆薬1kg分からは逃げられます。1km離れれば、爆薬1トンが爆発しても大丈夫です。逃げながら頭と、特に耳を保護できればベターですが、そのために逃げ遅れるようなことがあってはいけません。とにかく遠くへ、遠くへ逃げましょう。
[Gexcon、How Stuff Works、Fire Engineering、CDC、Global Security、JEPHC、AusSurvivalist]
Esther Inglis-Arkell(原文/miho)
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