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太っ腹!? GoogleがAndroidで築き上げる新たなデジタル城下町

この世はデジタル戦国時代! 世界各地で新たなプロダクトやビジネスが生まれ、めまぐるしく世界をアップデートしていきます。あぁ、ついていくのもひと苦労。
企業にとって、この戦国の世を生き抜くための強さの秘訣とは何でしょう?
投資家のウォーレン・バフェットさんはこんなことを言っていました。
私は投資先を選ぶ際に、突破不可能な<堀>に囲まれた<経済的な城>を探します。
「経済的な城」は巨大なビジネスを指し、「突破不可能な堀」は新規参入の障壁を高める戦略や市場の仕組みのことです。企業にとって、昔の武将のように大きな城を築き、守り抜くことは決して容易なことではありません。現代において、こうしたビジネスは実現し得るのでしょうか。
ネットビジネス界で最も大きな城のひとつであるGoogleの戦略に再び注目が集まっています。その注目の的となっているのが皆さんよくご存知のAndroidです。Androidはいままでのビジネスの常識をひっくり返しています。
ウォールストリートでトップランクのリサーチアナリストとして活躍していたビル・ガーリーさんは、AndroidこそがGoogleという城を守るための「突破不可能な堀」にたとえることができると主張しています。いったいどういうことなのでしょうか? 以下詳細です。
Googleの難攻不落な城
Googleの経済的な城とはAdWordsに支えられた検索ビジネスを指します。ネットへの明確な効果と、優れた価格決定の仕組み(顧客入札プロセス)を備えたこのビジネスはとても大きな城です。そんな城の仕組みを最も的確に説明しているのはGoogleの社員であるジョナサン・ローゼンベルグさんのブログ投稿「The Meaning of Open(オープンの意味)」です。彼は何度も何度もオープンシステムが末端の顧客にとってベストなのだと主張しています。ただし、唯一の例外があります。それが検索・広告プロダクトのコードです。これを公開してしまうと逆にユーザーのためにはならないと彼は述べています。
AdWordsはいわば「Google城の本丸」なので、Googleはその周囲を「突破不可能な堀」で囲む方法をいつも考えています。その際、GoogleのDNAとも言える共通戦略は「本丸」を守るために、それ以外のものを全てオープンにするというものです。その結果、ウォーレン・バフェットさんもGoogleがなかなか優れた堀を構えていると認めるほどの完成度を誇っています。しかし、Google城を脅かす存在は決して皆無ではありません。
基本的にGoogleとユーザーの間に入るもので、検索サイトを選択できるものは何でも脅威と成り得ます。とても分かりやすい例がFirefoxです。多くのブラウザがそうであるように、Firefoxは右上の角に検索ボックスが備え付けてあります。ここの検索エンジンの初期設定に採用されることで多くのユーザーを獲得できるため、GoogleはFirefoxに莫大な資金を支払うことでその貴重な場所をゲットしています。米TechCrunchの記事によると、Firefoxの開発元であるMozilla(モジラ)に対してGoogleは年間5,700万ドルも支払っているそうです。Googleはそれほどこの場所を死守したいと思っているのです。しかし、この契約は数年毎に交渉されるため、FirefoxはGoogleからBingなどの他の検索エンジンに乗り換える可能性も十分あり得ます。もしそれが起こったらGoogleにとっては大きな痛手となります。
他にもスマートフォンやケータイを扱う会社の選択にもGoogleは影響を受けます。実際に数年前、米通信事業者大手のVerizon(ベライゾン)がBlackBerryの検索ボックスにGoogleの代わりにBingを採用しました。堀の突破は絶対的に不可能というわけではないようです。
そこで、Androidの出番となるわけです!
Androidでつくる鉄壁の守備
Androidはこれまでのビジネスの概念でいうところの「製品」ではありません。それのみで「経済的な城」を建てる計画はないからです。Google本陣の巨大な城の資源をもとに開発されている、とても高価で野心的な「お堀」なんです。つまり、AndroidにおけるGoogleの狙いは実は攻撃にではなく守備にあるのです。Androidで利益を出すつもりはありません。Googleは自分たちとユーザーの間にあるものを取り除き、全て無料にしようとしているのです。それでは足らず、Androidを使ってくれる会社には広告枠のサービスまでしているみたいです。もはや無料以下ですね! Googleとユーザーの間にあるソフトウェアには一切変動費がかからないので、これはとても効果的な守備戦略と言えるのではないでしょうか。そしてGoogleはこの守備戦略を的確に実行しています。Androidを使用する通信事業者やメーカーには「AppStore」という市場を通してビジネスができる機会を与えています。
フリーソフトが必ず勝つ!
ソフトウェアがビジネスとして成り立つようになったとき、それは夢のような話でした。変動費ゼロなので、ひとつ売るごとにほぼ100%の利益を生むことができたからです。しかし、逆に考えればこうも言えます。もし他の誰かが似たようなものを作ることができれば、その人の意思によってそのソフトを無料で提供することもできるわけです。まさに完全競争の概念ですね。
これは何か規制した方がいいんじゃないかという人もいるかもしれませんが、忘れてはならないのが、消費者にとって不都合なことは何も起こっていないということです。消費者は素晴らしいソフトウェアを無料という最も安い価格でゲットできるのです。完全競争という理想モデルにようやく市場が近づいてきたと肯定的に捉えることができるのではないでしょうか。
最近、デジタル革命によって影響を受けている新聞、音楽、映画などの業界に注目が集まっていますが、もしかすると、これらアナログビジネスだけの問題ではなくなってきたのかもしれません。デジタルは既存のデジタルビジネスをも大きく変革していくことでしょう。
以上がビルの主張でしたがいかがだったでしょうか。
AndroidはGoogle城を囲む突破不可能な堀に例えた意見はわかりやすいですね。でもお堀より「城下町」とした方が、より彼が主張しているイメージに近づくのではないかと私は思うのです。お堀だと外部を一切排除することで城を守るというイメージですが、寧ろGoogleはオープン戦略を実行することで多くの人々を巻き込みながら城を守っています。それは防衛や排除ではなく、味方を増やして周囲を囲む共存スタイルの生態系を作ってしまうというなんとも巧みな戦略ではありませんか! しかもそれは完全競争という理想でしか描かれたことのない概念を呼び起こす事態にまで発展しています。ビルが述べている無料以下の戦略は、資金を提供してまでAndroidを使ってもらおうという大胆なやり方であり、一気に多くの人々を呼び込んで城下町を築こうというものです。殿様が商人に対して「自分の城下町の土地をタダで分け与えるから住め」と言い、「商売もわれわれが支援する」と言っているようなものです。だとすれば商人は大喜びでそこへやってくることでしょう。今年はGoogle城のAndroid城下町が爆発的に規模を拡大する年になる予感がしているのは私だけではないようです。Google城の殿様も最近変わったことですし、ギズモードとしてもこれまで以上に今後の動向に注目していきます。
参考記事(英語)
[The Meaning of Open(オープンの意味)ーGoogle公式ブログ]
[Googleが優れた堀を構えているとバフェット氏が認めたーMarketwatch.com]
[MozillaとGoogleの関係ーTechCrunch]
[VerizonがBlackBerryの検索ボックスにGoogleの代わりにBingを採用ーGigaom.com]
[Googleの無料以下戦略についてーabovethecrowd.com]
Bill Gurley(米版/丸山裕貴)
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