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なぜロシアが撮る地球の写真はこうも美しく、NASAと違う? NASAに聞いてみました
ほお...と思わず溜め息。
なるほど、NASAが撮った地球の高解像度画像「Blue Marble」とはだいぶ趣が異なりますね。
詩情豊かで、静謐が支配する世界。もっと精緻・鮮明...もしかしてロシアの方が写真は上なんじゃ...と思ってしまいますが、実際のところどうなんでしょう?
NASAに尋ねてみました。
ロシア、宇宙開発レースに復帰
その前に解説を少々。この写真を撮ったのはロシアの新気象観測衛星「エテクトロL(Elektro-L)」。今年1月20日(米時間)にゼニットロケットを搭載してバイコヌール宇宙センターから打ち上げられ、赤道3万6000km上空の静止軌道を周回中のものです。
ロシアで全部開発した宇宙船はソ連崩壊後初。ロシア連邦宇宙局の発注でNPOのラーボチキン(Lavochkin)社が開発しました。ここ20年は(それなりに良いところもあった)ソビエト体制の過去の栄光の影に生き、これと言って新しいものを開発できなかったロシア宇宙産業にとっては大きな飛躍の一歩を記す衛星です。
Elektro-Lは1620kgの重量級ボディ。出力1.7kWのソーラーパネルで生成する電力を700Wも消費します。デザインはモジュール式で、「Navigator」と呼ばれるサービス部、気象監視機材を収めた観測機器部から成るみたいですね。将来打ち上げる宇宙望遠鏡「Spektr-R」の衛星でも基礎モジュールは同じものを使い、観測機器部は別のものにする予定。
気になるElektro-Lの観測機器ですが、これは可視画像解像度が1ピクセル1km、赤外1ピクセル4kmのカメラです。画像は30分ごとに、衛星と地上管制室を繋ぐ2.56~16.36 Mbpsの接続を通して送信しています。緊急時には周波数を上げ、画像1枚あたり10分に転送速度を速めることも可能だそうですよ。
なぜNASAと違う?
技術的にその程度でも、美しさは圧倒的ですよね。トップの画像は紅海にかかる月。この左のはアフリカ、アラビア、インドの超精密画像です。
ロシアの人、どんなInstagramフィルタ使ったのかわかんないけど、そのサチュレーション(彩度)の低い絵にはどことなく人の気持ちを吸い寄せるものがあります。
NASAの写真よりリアルに思えるんですが、実際には、そうじゃないんです。ゴダード宇宙飛行センターNASA地球観測所の科学者Robert Simmon氏によると、このロシアの写真はNASAより上でも下でもなく、単に別のデータセットを基に生成した別の現実可視化に過ぎないんだそうですよ?
Elektro-Lは「GOES」(毎晩のニュースでおなじみの雲の写真を提供する衛星)に似たロシアの衛星です。Gizmodoが掲載した画像は可視-近赤外領域波長を合体させたものなので、人間の目で見る姿とは異なる地球の姿なのです(例えば植物が赤く見える)。NASAの画像より良くも悪くもなく、単に別のものを目に見えるかたちで表現しているんですよ。
なるほどねー。
Elektro-Lが似てるという衛星「GOES」は「地球の赤道上~54度東を周回する静止気象衛星」で、Robertさんによると「類似の静止衛星は米国も東海岸と西海岸の上空に1機ずつ打ち上げて運転しているし、EUMETSATは欧州とインド洋の上空に1機ずつ、日本も太平洋西方の上空に1機抱えている」んだそうな。こうした衛星とElektro-Lが違うのは、後者では反射光内で3つの波長―赤の波長と近赤外の波長2つ―を使っていることです。一方NASAのGOESの場合、近赤外は測定してないんですね。
ゴダードのGOESプロジェクト担当科学者Dennis Chestersさんは、ロシアの画像処理をこう説明しています。
反射光の3つの波長を使うと、伝統的な赤・緑・青のカラー写真をシミュレートできるんですよ。植物は近赤外も緑も反射するので、近赤外線チャンネルは植生のバロメーターになります。
Elektro-Lの10チャンネル撮像装置「Multichannel Scanning Unit (MSU)」の基礎的特徴についてはこちら。
まあ、似てるとは言ってもNASAのGOESで生成する写真も白黒です。複数の赤外波長で捉えたイメージなので、みなさんが想像できるどの写真とも違います。それが最終的には「可視光線と熱赤外、ブルーマーブル(地球)を合体して」カラー写真になるんですね。
精度はどっちが上?
NASAのブルー・マーブルは赤・緑・青を組み合わせて3Dプログラムで3次元化した本当のカラー写真。人間の目で見る姿はこちらです。一方、ロシアの衛星はもっとリアルに思えるんだけど、実はそうじゃなく、NASAとは異なるアプローチということですね。
精度はどっちのアプローチも甲乙つけ難いですね。別の波長で地球を眺めることで科学者が得られる別の情報もありますから。ブルー・マーブルは本物の色なので、偽の色の写真より、専門外の人にも解釈が容易でしょうね。しかし、何日もかけて貯まったデータを組み合わせて生成したものなので、これ1枚だけ取り出して比べると同じ解像度の写真ほど精密には見えないかも。ある時点における画像ですね。あとブルー・マーブルは全球ですが、Elektro-Lは正面の半球だけの写真です。
ハッブルのフォトショップ技を彷彿とさせるプロセスですねー。僕は使う波長なんて関係ないな。どれも同じぐらい美しく、感動的です。
[Russian Space Web via Facebook]
Jesus Diaz(原文/satomi)
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