「気が散りやすい」人は脳が「大きすぎる」? 集中力向上の最終手段開発なるか...!?

「気が散りやすい」人は脳が「大きすぎる」? 集中力向上の最終手段開発なるか...!? 1

集中力、上げられるもんなら上げたいですねー。

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの金井良太博士の研究チームが、すぐに気が散ってしまう人においては脳のある部位にある灰白質が平均より多いことを発見しました。つまり、集中力のない人は脳(の一部ですが)が大きいということです。

どうしてそんなことがわかったんでしょうか? どんな風に調べたんでしょうか?

まず研究チームでは、被験者の「気の散りやすさ」をスコアリングして、さらにそれぞれの人の脳を比較しました。

まず、「気の散りやすさ」をどうスコアリングしたかが気になるところですね。その方法としては、「信号に気づかない」とか「スーパーに買い物に行ったのに何を買いに行ったかを忘れた」といったことがどれくらいの頻度で起こるかを質問して、それらのスコアの高い人ほど気が散りやすい、としたそうです。

次に「脳の比較」ですが、これは具体的には被験者の脳をMRIスキャナで画像化することで行いました。比較したところ、「気の散りやすさ」調査で一番高いスコアだった人と低いスコアだった人の間の違いでもっともはっきりしていたのは、脳の左上頭頂小葉という部分の灰白質の量でした。気が散りやすい人たちはこの部分の灰白質の量が相対的に多い傾向が確認されたのです。

・経頭蓋磁気刺激法(TMS)での検証

さらに研究チームでは、左上頭頂小葉が集中力に関して一定の役割を果たすことを確認するため、経頭蓋磁気刺激法(TMS)を使いました。TMSとは、被験者の頭部にコイルを近づけ、コイルに電流を流すことで磁場を発生させて、被験者の脳のコイルに近い部分に刺激を与えるものです。その影響はおよそ30分ほど持続します。この実験では、脳の一部の活動を抑えるために使われました。

まず研究チームは15人の被験者に対してあるタスクを与え、「気が散った場合」(TMSを使った場合)と「散らなかった場合」それぞれでかかった時間を測定しました。それぞれ場合でかかった時間の差が、気の散りやすさの指標となる、と金井博士は言います。

実験の結果、同じ人が左上頭頂小葉へのTMS使用後にあるタスクを行った場合、所要時間はTMSを使用しない場合に比べて平均4分の1ほど増加したんだそうです。

「この結果は、左上頭頂小葉が集中力のコントロールに関わっていることを示唆している」と金井博士は言います。

・脳が未熟?

上のふたつの実験をまとめると、左上頭頂小葉は気が散るのを防ぐ働きをしていることと、左上頭頂小葉が大きい人は気が散りやすいことが言えます。

なぜ左上頭頂小葉の大きいと気が散りやすいのかはよくわかりません。が、金井博士によれば、我々の脳では成長につれて効率よく活動できるように脳の灰白質が「刈り込み」されていくことと関係するかもしれないということです。

言い換えると「灰白質の量が多い」ということは脳が未成熟だということかもしれず、それは発達上の軽い機能不全を反映したものかもしれないんだそうです。「この仮説は、子供が大人より簡単に気が散ってしまうという観察と符合します」と金井博士は説明しています。

・集中力をコントロールする手法

この研究は、気の散りやすさのメカニズム解明にとどまらず、その改善にまで踏み込もうとしています。金井博士のチームは、集中力を改善する方法をテストし始めています。経頭蓋直流電気刺激(tDCS)という方法で、頭部に電極を付けて、気付かないほど弱い電流を流し、左上頭頂小葉を刺激する手法をとっています。

金井博士が左上頭頂小葉の近くへのtDCSを行った感触では、「集中力を調整できそうな兆候が見られます」とのことです。もし有効性が確認できれば、この手法は集中力のないことが問題になるようなケース、たとえばADHD(注意欠陥・多動性障害)の治療などに役立てられるかもしれません。

そのうち、テスト前には脳にこっそり電流を流しちゃったりするようになるんでしょうか...。

Journal reference:Journal of Neuroscience、DOI: 10.1523/jneurosci.5864-10.2011

Image Credit:Shutterstock/iDesign

Jessica Hamzelou - New Scientist(原文/miho)