脳構造が複雑だと新種が生まれやすい...ってことは、人間にも新種が!?

脳構造が複雑だと新種が生まれやすい...ってことは、人間にも新種が!? 1

脳の構造種分化のカギ...って、どういうことでしょう?

アフリカなどの川に生息するエレファントフィッシュを研究している人たちが、「種分化」、つまり生物のある種が別の種に分化していく過程についてのカギをつかんだようです。そしてそのカギとは、その種における感覚の発達にあるというのです。

エレファントフィッシュは濁って視界の悪い水の中に住んでいるため、弱い電気信号を出して仲間の魚とコミュニケーションを取っています。エレファントフィッシュの体には、信号の受発信のための特殊な器官が備わっていて、視界がゼロでも、仲間を探し出すことができます。

ワシントン大学の生物学者ブルース・カールソン氏は、この種の魚をざっと200種、長年研究しており、エレファントフィッシュの脳の構造と彼らの進化の早さに関連性があるかどうかを探ってきました。そして彼は、脳の構造が複雑であることが魚の進化と多様化を早める原因になっているようだと結論づけました。そして脳の構造を複雑にしている要因は、エレファントフィッシュの感覚処理能力にあるのです。

この研究に関する声明では、以下のように書かれています。

濁った、泥水の環境では、魚は自分の種の電気信号を認識し、かつ他の種による電気信号は無視する必要があります。研究者らはそれを踏まえ、そうした信号の処理にあたる中脳exterolateral nucleus(EL)という領域を26の種に関して調査しました。すると、ELの発達が信号検知能力の改善と、エレファントフィッシュの種の分化を促進していました。一方、姉妹種であっても、ELの発達の前に分岐した種は信号検知能力が低減し、多様化もしませんでした。

つまり、いろいろな電気信号を認知できた魚は、そうでない種に比べてより複雑な感覚器官を持っていたのです。

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上の画像は、エレファントフィッシュのさまざまな種の一部をイラストにしたものです。これについてカールソン氏らがScience誌に書いています。

上の方のグループの、Paramoryrops属複雑な信号を処理できる脳を持っています。彼らの信号は急速に変化していき、非常にさまざまな信号が近い種の間で起こるようになりました。一方、下の方のグループ、Petrocephalus属では中脳はもっと簡単な構造で、その種全部が同じような信号を出していました。

それぞれの種の違いは、上のグループでは信号空間を広げるための組織、たとえば異なる信号を出すための組織や、信号の小さな違いを認識するための感覚・分析能力を持っていたということです。

カールソン氏は言います。

進化の研究においては、あることが別の何かのトリガーとか原因になったと言うことは難しいんです。でもこのケースでは、種が急増する前に、複雑な信号処理できる脳が発達していたことが示せたと思います。急激に分化した種では信号のバリエーションが豊富で、信号の微妙な違いを識別できたのに対し、分化しなかった種ではそれができなかったのです。それらをまとめると、脳の発達が種の分岐のトリガーになったという強い裏付けになるのです。

この研究が示唆しているのは、脳が非常に早く発達している種が、新しい種を生み出しやすいということです。エレファントフィッシュが分化していくカギは、脳が感覚刺激を取捨選択する能力がどんどん発達しているということです。

脳が複雑に発達している...といえば、それって人間のこと? と思ってしまいます。しかも人間の脳が今でも進化中だとする研究結果もあります。ということは人間もこれからどんどん新しい種に分化していくんでしょうか!? Wikipediaによれば「人種」は「種」ではないそうなので、人種の違い以上に違う、まったく新しいタイプの「ヒト」がこれから生まれてきてもおかしくないのかもしれません。

Illustration by imredesiuk/Shutterstock

[ScienceWikipedia]

Annalee Newitz(原文/miho)