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Lionについて分かっていること&これが最後のMac OS Xだと思う理由

2011.06.06 12:30 [0] [0]

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WWDCで間もなく発表になるMac OS X新バージョンが、今ある形でのAppleデスクトップOSの最終形かもしれませんね。理由をご説明しましょう。

Mac OS Xはとても成熟したOSで、手堅いベースと堅牢なコア技術、速さ、安定性、99%のユーザーが欲しがるサービスすべてを備えています。が、UIレベルではもっと格段にベター、シンプル、パワフルなものに改善できる余地があります。これはMicrosoftも同じ問題意識を持ってるようで、Windows 8ではデスクトップからタブレットに至るまで各種端末を網羅する従来と全く異なるユーザーエクスペリエンスを備えた新モデルに脱皮を図っていますよね。

これはアップルが先取りしている部分もあり、例えばMac OS XとiOSはアーキテクチャが共通なので、デベロッパーは両対応のアプリを超簡単に書くことができます。

Lionの目標は、デスクトップとタッチ両方のユーザーエクスペリエンスをひとつに統合することですが、これまで我々が見てきたところではまだ最終ゴールではない節もあるんですね。新モデルに移行し、ユーザーをスムーズに馴染ませるためにも、もう1世代時間が必要なんでは?

その意味でもLionは過渡期のOSであると同時に、ひとつの物語の終焉と見ることができるのです。


ネコ科シリーズ最終形にして百獣の王

Mac OS Xはチーターに始まり百獣の王で終わる。Lionと呼ぶのは、偶然ではありません。

[歴代ネコ科シリーズ]
Cheetah(チーター)
Puma(ピューマ)
Jaguar (ジャガー)
Panther (黒豹)
Tiger (虎)
Leopard(豹)
Snow Leopard(雪豹)
Lion(ライオン)

Appleはあんまり意味のないブランディングはしませんからね。ライオンでネコ科シリーズは最終回で、これが最後のOSとなり、あとは中身が同じで新しいユーザーエクスペリエンスを備えた新世代OSの登場を待つばかりになるかもしれません。

LionではUIが変わります。これはさらに大きな転換に向けた下地ですが、従来と全く異なる新種のハードウェアの予兆と見ることもできます。それは新iPhoto'11のデザインを見ると一目瞭然ですが。斬新な新手法のタッチに対応した新種のiMacとMacBookが登場しても驚きじゃない、という感じですね。

と言っても、デスクトップOSが消えるってことではないですよ。Mac OS X Lionは昔ラスキンが提唱したビジョンを今に復活させた「モーダル・コンピューティング」という次なるコンピュータ・インターフェイスにパラダイムシフトする転換点に位置するOSです。そこにiOSで一番成功した要素 ―アプリ自動インストール機能を備えたApp Storeやspringboard(LionではLaunchpadに改称)など― を投入し、さらにモーダル・インターフェイスの弱点を補佐するMission Controlなんかの新しいUIエレメントが加わっているのが特徴です。

タッチもデスクトップにぐんと接近しますよ。これはハードウェアのMagic Trackpadから始まった動きですが。

すべてのピースがようやくひとつに繋がります。
 

フルスクリーンモード&モーダル・コンピューティング

 


個人的に新OSで最も重要だと思うのが、このフルスクリーンモード。アプリはすべてフルスクリーン表示できます。ウィンドウ表示が(まだ)消えるってわけじゃないですが、これは明らかにモーダルコンピューティングに向かう大きな一歩ですね。iLife'11のUIを見てもその方向性が色濃く現れています。

iLife'11では、ある特定の機能をいじるとき全画面表示になるのみならず、ロールインのエレメント(テキストスタイル変更に使えるコンテキストに応じたパレットがインラインに表示されたり)も入ってるんですね。これはパレットがフロートするのを避けるため考案されたエレメントですね。もちろんこうした新UIエレメントも、Mac OS X Lionのアプリ開発ツールには含まれていると見るのが妥当でしょう。

110603LionUI.pngこのUIのアプローチだと、パソコンの利用も格段にシンプルになります。窓を何個も開いてゴチャゴチャすることもないし。最近、一般消費者にもパワーユーザーにもブラウザのタブが好評なのも、同じ理由ですよね、あれも言うなれば「モーダル」ウェブですから。iPhone(とその類似製品)、iPod touch、iPad利用者の95%はモーダルなユーザーエクスペリエンスが好きで使ってると思うのですが、Lionではあれと同じものにもっと近づく、というわけです。

今よりコンピュター操作がパワフルでなくなるというんじゃなく、逆にタスクはもっと効率良くこなせるようになると思いますよ。


プロの間では既に使われている
実際、Final Cut Proのようなハイエンドのプロ仕様のアプリでも同じ動作が確認できるはずです。ある特定のタスクをこなそうとすると、ソフトが全画面表示になって、別窓が浮いたりしないんですね。窓は全部一緒にドックされ、UIの面がひとつだけになるんです。こうして見てくるとウィンドウっていうのはそのうち完全に駆逐されちゃうのかな、Photoshopみたいなアプリまで。

モーダルコンピューティングにも問題はあります。タスク切り替え。これは素早く、混乱抜きでタスク切り替えできる効率的手法を用意できないとダメなんですね。昨年10月のデモではアップルがエレガントな手法に辿り着いたという印象を受けましたけどね。つまりモーダルのアプリならびに複数ウィンドウ開いて使うアプリの両方を管理できる「Mission Control」に、タッチジェスチャーを合体させる、という手法ですね。


長所: ユーザーが集中している作業中のタスクを中心に据え、コンピューティングエクスペリエンスをシンプルに。複数の窓を開いて生まれるゴチャゴチャも減らせる。完全なるタッチコンピューティングへの道を拓く。

短所:特に思いつかないです。アップルは、フルスクリーンコンピューティングで生じそうな問題は回避する手立てもちゃんと打ってるようですし。


Mission Control

「Mission Control」は宇宙管制センターの意...ですが、早い話、今のExposeが新しくなったものですね。Dock、Dashboard、開いている全アプリのビュー(ウィンドウとフルスクリーンの両方)が一括で表示できます。デモで見た感じは、すごくストレートで分り易い印象です。

この新しいセットアップで大事なのは、ユーザーが3つのタイプのアプリ(ウィジェット、複数窓が開くアプリ、全画面表示のアプリ)を同時に管理するってところですよね。まあ、今はそうでも、そのうちフルスクリーン・モデルに移行するアプリが増える(それ専用の業域が生まれる)につれ、Mission Controlもさらにシンプルになり、元のExposeのルーツに回帰するんじゃないでしょうか。


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長所: 複数の窓、複数のアプリ種別のシステムが混在しながらも、互いに譲り合える優れたソリューションに思えます。
短所:使いこなせないユーザーもいそうです(あいにくExposeはパワーユーザー専用ツールと見なされているので)。 その辺はアップルもExpose/Mission Controlのことをもっと噛み砕いてユーザーに説明し、デフォルトでオンにする必要がありそう。

Launchpad

Launchpad、これも使い方はiPadそのまんま。コンピュータにインストールしたアプリケーションを全部表示してくれます。で、アプリの管理はApp Storeで行います。スワイプのジェスチャー入力とフォルダーを使って複数のページをナビして回れますよ。

Launchpadはもはや説明不要ですよね。iPad並みにシンプルです。このアプローチの長所は沢山思いつきますよ。モーダルコンピューティングもそうですが、これも複雑なファイルシステムを管理するようデザインされたシステムではなくタスクそのものを軸に据え、周辺のコンピューティングエクスペリエンスに注力しているところが大きなポイントです。ただしそうなると「FinderはMac OS Xから消えるの?」、「ファイルはファイル専用ダイアログボックスに追いやられちゃうの?」という新たな疑問も生まれてきますが。

今の段階ではそれは無謀でしょうね。 だからこそドックにFinderのアイコンも出ているんじゃないかと。一番考えられるのは、まだしばらくはFinderは残る、だけどいずれは消え、ファイル管理はすべてデータベースに移行し、画像・楽曲・テキスト・PDF文書などなんでもアプリに取り込んで情報共有できる世界になる、というシナリオ。ユニバーサルな情報のスープですね、Newtonで使ったみたいな。というか、Spotlightの動作が今よりほんのちょっと速く、ほんのちょっとベターなら、フォルダーなんて全廃しても問題ないんですよね。みなさんはどうか分からないけど、僕は毎月ファイル山ほど作ってるし、それ整理する暇もないので...。

長所: シンプルになるところ。タスク完了に必要なツールが常に手の中にある。

短所: アプリはカテゴリ、サブカテゴリ、サブサブカテゴリ...に分けて整理しなきゃ気が済まない-そんな強迫性障害(OCD)のパワーユーザーはツリー状にフォルダが作れる世界が恋しくなるかも...。

Mac App Store


iOS App Storeと使い方は全く一緒です。メインのナビゲーションバーも同じなら、管理の仕方も同じ...つまり管理するまでもなく、ストアでアプリを購入すると、お手持ちのMacがそのアプリを自動的にLaunchPadにインストールしてくれるんです。さらに嬉しいのが、全アプリの全アップデートが中央にまとまっていること。これもiOSのApp Storeそっくりです。

パワーユーザーから見たら馬鹿みたいでも、普通のパソコンユーザーから見るとアプリのインストールって悪夢なんですよね...いくらMacはドラッグ&ドロップでできるって言っても。ディスクイメージをWebからダウンロードして永久に開きっ放しにしたりイジェクトしてしまう人もいるし、アプリのコピーを山とDLしてダウンロードフォルダに置きっ放しの人も。その両方やった暁には目も当てられませんものね。このMac App Storeなら普通の消費者(今やそれがAppleユーザーでは多数派なんだとか。ティム・クックCOOが市場の成長を語る中で言ってました)も簡単に使いこなせるし、デベロッパーさんにとっても、もっと効率良くアプリが販売できるストアフロントになるんでは...ま、販売中継ぎのアップルには売上げの3割を収めなきゃならないわけですけどね。

ちょっと分からない点はいろいろありますね。デベロッパーは全員このMac App Storeの門をくぐらなきゃいけなくなるのか? もしそうなら、アドビのリアクションが早く見たいところです。もしアップルにそのつもりがないなら、この新しいApp Storeはアップルがたぶん思い描いてる成功には至らないと思いますよ。

Macで売るアプリの販売窓口がMac App Storeだけになるとして(Launchpadがストアとつながってるってことはおそらくそうなるような...)、アップルが問題と見なすアダルト系やTorrentクライアントなんかのアプリは検閲されちゃうんでしょうかね?


長所: アプリをインストールして最新の状態にアップデートする最も簡単な方法。デベロッパーにとっても好ましいストアフロントになる。

短所: 全デベロッパーに義務づけられると...Macプラットフォームと検閲の手綱が今以上に厳しくなりそう。 アップルには取り分が残る。それで噛み付くデベロッパーもいるでしょうね。まあ、それを言うならiOSで彼らもいろいろ良い思いはしてるわけですけどね。

これが未来

ギャーギャー頭抱えてるパワーユーザーも沢山いますが、これがベストな方向性じゃないでしょうかね。今みんな使ってる複雑なコンピュータは、シンプルなコンピュータに置き換えられつつあります。ユーザーの仕事を速くし、目標にフォーカスできるようデザインされたタスク主導型コンピュータ。

コンピュータはコンピュータサイエンスの専門家のツールであってはならない。コンピュータは実用的道具であり、職場・スタジオの人たちの喜びの源でなくてはならないんですね。一部の人を除いて、みんなシンプルなものを求めているのだし、そういう嗜好に合わせて、年々複雑になるファイル構造やウィンドウに分かれたUIも、新しいものに変わっていかなくては。

これまで見てきたものは一端であって、完成形でもないし、完璧でもないけど、これが正しい方向に向かう第一歩かと。サルバドール・ダリの言葉を借りると、よりシンプルなマシンと可能性がひしめく未来―その未来に月曜(日本時間火曜未明)ぐんと近づきますよ。


*本稿は2010年10月に書いた「【速報】Mac OS X 10.7 Lion新機能速攻まとめ!(動画あり)」をベースにまとめました。

Jesus Diaz(原文/satomi)
 

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