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あらゆるドラッグが買えるアングラサイトと追跡不能なP2P通貨Bitcoin
大麻の売人と喋るのは嫌なものだしコカイン買ったら銃で撃たれそうだし―でも本や電球みたいにドラッグもネット売買できるとしたらどうだろう? 今や「Silk Road(シルクロード)」というサイトでそれが可能になった。
アメリカ合衆国郵便公社(USPS)の郵便配達がマークの戸口にそれを届けてくれたのは5月のこと。一見何の変哲もない封筒。開けてみると中には小さなプラスティックの袋にLSDが10粒入っていた。
「あれは開けても、探してる人でもない限り絶対見落としちゃうだろうね」
マークは電話取材でその知られざる実態を詳しく話してくれた―。

マークはソフトウェア開発者だ。オンラインのマーケットプレイス「Silk Road」でリスティング(売り広告)を見て、アシッド(LSD)を100マイクログラム発注した。サイトでは高評価のフィードバックが沢山ついてて尚且つその道に詳しそうな売り手を探し、デジタルのショッピングカートにアシッドを加えて「チェックアウト」を押す...あとは住所を入力して、売り手に50 Bitcoins払うだけ。
Bitcoin(ビットコイン)は金の流れが追跡不能なデジタル通貨だね(訳註:Satoshi Nakamotoという偽名を名乗る日本の謎のコンピュータサイエンティストが開発したP2P通貨と言われている。元々はハッカー同士のサービス売買に使われていた)。50 Bitcoinというと米ドルに直して150ドル(1.2万円)相当だ。
ポチッとやって4日後、カナダから発送されたドラッグは無事自宅に届いた。「まるで未来に迷い込んだ気分だったよ」(マーク)
Silk Roadはアングラと言っても、大半のネットユーザーの眼と鼻の先に浅く埋まってるデジタル闇市場だ。確かにサイバーパンク小説にありがちな設定かも。匿名性を徹底するテクノロジーと高度なユーザーフィードバックシステム。このふたつを組み合わせることでSilk Roadは違法な麻薬売買を、あたかも中古家電のように手軽に(&一見安全に)買えるものに変えた。もうアマゾンと変りない。精神高揚剤を売るアマゾン、だね。
Silk Roadでは340種あるアイテムから誰でも好きなものを選んで買える。今出ているアイテムから一例をあげると...アフガニスタン産ハシシ1g、「sour 13」大麻 8分の1オンス、エクスタシー14g、タールヘロイン0.1gなどなど...。中にはジェイムス・キャメロン監督映画にあやかった「アバターLSD」なんてのまであってあの青い顔ついた吸い取り紙も同梱になってる。
売り手はそれこそ世界中に散らばってるけど、突出しているのは米・カナダ。
そんなSilk Roadにも限度はある。例えば軍用グレード(核兵器に使える濃縮度)のプルトニウムは買えない。サービス規約で「盗んだクレジットカード、暗殺、大量殺戮兵器など人に害を与えたり詐欺が目的のものはすべて」販売禁止になってるんだね。
Silk Roadは普通に探しても、見つからない。URLもわざわざ記憶に残らないように考えたみたいなURLだ。因みに今のURLってとこクリックしてもムダで、これ普通のブラウザじゃ開かないんだ。玉ねぎの皮みたいに暗号化重ねた匿名化ネットワーク「TOR(トーア)」っていうの通さないと。TORは設定に若干テクニカルスキルが要求される。
なんとか辿り着くとそこには詐欺としか思えないサイトが広がっている。こんなそのものズバリのアホっぽい商品名並んでるのは普通ボーッとした奴をカモにするフェイクの「オンライン薬局」ぐらいだ。隠語も、ネット掲示板Craigslist風のコードネームも、ここには一切ない。
サイトを使う詐欺もいることはいるが、大体のリスティングは正直で、マークのアシッドも宣伝通りの効果を発揮した。 「正直言ってかなり楽しめたよ」とマーク。Silk Roadで「シルバーヘイズ(silver haze)」銘柄の大麻を試しに買ったコネチカット在住エンジニアも「ガチだった。これまで見た中で最高だった」と語っている。
Silk Roadでは、評価をベースとする取引きシステム(アマゾンやeBayの利用者にはお馴染み)を採用し、詐欺減らしに役立てている。例えばBloomingcolorというユーザーは特に信用の高い売り手で、専門はサイケデリックだ。プロフィールには満足したある客が「最高のクオリティー。梱包も連絡も。記述通りのものが届いた」と書いている。総評価は5段階評価の5。
「我々のコミュニティは素晴らしい」と、Silk Roadの匿名管理人(フォーラムでは「Silk Road」のハンドルで知られる)は取材にメールで応えてくれた。「みんな平均して頭が良く正直でフェアな人たちで、とても理解があって、お互い喜んで協力し合うからね」
売り手はこういうオープンな場でハードコアなドラッグを商うことに対し、警戒心は特に感じていないらしい。何故ならSilk Road上で行われる決済に関わる人物の身元は完全に闇の中だから。仮にSilk Roadユーザーの身元を警察が特定しようとしても、ガサ入れする場所がどこにもない。サイトではTORでユーザーの足跡は隠蔽されている。さらに売り手には荷物を「クリエイティブに偽装」し、臭いで探知されそうなドラッグは必ず真空パックで密閉するよう推奨もしている。決済に関してもSilk Roadではクレジットカード、PayPal、その他お金の流れが追跡・ブロックできる支払い方法は一切受け付けていない。ここで使っていいお金は、Bitcoinだけだ。
Bitcoinは、オンラインで現金を茶の紙袋に隠すようなものなことから、別名「crypto-currency(暗号通貨)」とも呼ばれる。Bitcoinは銀行や政府が発行する通貨ではない。P2P通貨、つまりBitcoinを持ってる他の人たちのコンピュータを束にしたネットワークで発行され、管理されている(「Bitcoin」は、このファイル共有技術の草分け「Bittorrent」に因む命名)。追跡不能と言われており、法の枠に縛られない分散型デジタル経済、金がビットのごとく自由に国境を超える世界を夢見るサイバーパンクやリバタリアン(自由主義者)、アナーキスト(無政府主義者)の間で支持が根強い。
Silk Roadで何か買うには、とりあえずBitcoinを買わないと始まらない。これは世界最大のBitcoin取引市場「Mt. Gox Bitcoin Exchange」なんかのサービスで買える。次にSilk Roadにアカウントを作って、Bitcoinを少額デポジット。これでドラッグが買える。
1Bitcoinは(原文執筆段階で)8.67ドルだが、為替レートは日々激しく変動する。8分の1オンスの大麻はSilk Roadで現在7.63ビットコイン。路上で買った方が安い気もするが、Silk Roadは便利なので、ユーザーも喜んで便利をお金で買っているというわけだ。
今年2月のオープン以来、Silk RoadはBitcoinのビジョンを最も完璧に体現する存在となった。ユーザーはBitcoinのユートピアンなギークのコミュ出身の人が多く、彼らはSilk Roadのことを単なるドラッグを買う場以上のものと見ている。
Silk Road管理者は、Agorismのアナーコ-リバタリアン(無政府自由主義)哲学の言葉を引用し、こう述べている。
「国家は暴力・弾圧・窃盗・その他ありとあらゆる形式の支配の一番の源」、「君も税金払って国に資金出すのなんかやめて自分の生産的エネルギーをブラックマーケットにつぎ込むのだ」
LSDの買い手マークも、これと似た考えの持ち主だ。「僕は自由主義のアナーキスト。暴力以外のことは犯罪にすべきじゃないと思ってるのさ」
だが、Bitcoinファンも全員が全員Silk Roadを快く思ってるわけではない。生まれて間もない若いテクノロジーなのにこんなところでドラッグと関連付けられたら汚点になるではないか、と見る人もいるし、連邦政府当局の注意をひくことを警戒する向きもある。
「Silk Roadで一番ニュースだったのは、これだけ多くの人たちが中央集中型の通貨・取引きから逃げたがってるってことですよね」―ずっとBitcoinを贔屓にしているMaiyaと名乗る人はこうチャットで言う。「我々の中にはBitcoinをリアルの通貨と見てる人もいるんです。ドラッグをバーターするトークンじゃなく」
Silk RoadとBitcoinはブラックマーケットにeコマース革命をもたらす存在かもしれない。が、匿名性は両刃の剣だ。いつなんどきDEA(米国麻薬取締局)捜査官がSilk Roadに偽アカウント立ち上げて所定の住所にLSDのかわりにSWATチームを送り込まないとも限らない。
Silk RoadはBitcoinのバブルから不可避的に溢れ出していくだろうし、そうなればドラッグをスワップして喜んでるユートピアンも、匿名化ネットワーク通したぐらいじゃボケようもない厳しい現実を思い知るだろう。
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上記公開後、Bitcoin中核開発チームのメンバーのJeff Garzik氏からメールあり。氏曰く、BitcoinはSilk Road生息者が思うほど匿名でもないらしい。なんでもBitcoinの決済はすべてパブリックログに記録が残るので、関わる人の身元は匿名になるものの、捜査当局が高度ネットワーク分析技術を駆使すれば決済フローを解析し、個々人のBitcoinユーザーを絞り込むことも可能なのだとか。
「大型の違法決済をBitcoinでやろうと思っても、捜査当局が現場で実装している既存の統計解析技術にかかったらひとたまりもありませんよ。かなり無謀な試みでしょう」(Garzik氏)
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以上の原稿公開後、これを読んだ米上院議員2名がエリック・ホルダー米司法長官にSilk RoadとBitcoinのサービス閉鎖を求める書簡を送付し、Bitcoinは大暴落しました。

(ソース:Mt.Gox、米時間6月16日翻訳段階)
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19日、Mt.Gox(リアルマネーに換金するゲートウェイのひとつ)がハックされBitcoinがまたまた大暴落。今ココ。どうなることやら...
Republished from http://gawker.com
Adrian Chen(原文/satomi)
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