29歳のスティーブ・ジョブズ、iPLAYBOYで読んでみました

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このたび、男性向け雑誌PLAYBOYからiPad向け雑誌のiPLAYBOYがローンチされました。iPLAYBOYでは、アメリカのPLAYBOYのバックナンバーが1953年の創刊号からすべて(!)閲覧できます。

たとえば1987年のバックナンバーでは、フリーのジャーナリストのデヴィッド・シェフ氏による若き日のスティーブ・ジョブズのインタビューを読めたりします。以下、その記事になります。

今回の「インタビュー」は、ある子供のバースデーパーティでジョブズに会ったとき、ほぼ終わっていました。それはニューヨークシティで行われた、セレブリティでいっぱいのパーティでした。夜が更けてきたとき、ジョブズが9歳のバースデー・ボーイにカリフォルニアから持ってきたプレゼントを渡そうとしているのに気づきました。そのプレゼントとは、Macintoshでした。

見ていると、ジョブズは少年に画像プログラムでスケッチする方法を教えていました。別のゲストが部屋に入って来て、ジョブズの肩越しにその様子を見ていました。その一人はアンディ・ウォーホルで、「うーん、何だこれ? キース、これを見て。すごい!」と言いました。もう一人のゲストはアーティストのキース・へリングで、こちらに近づいてきました。ウォーホルとへリングもMacを試してみたいと言い、私がその場から離れていくとき、ウォーホルがマウスを操作しようとして座ったところでした。「うわ!」彼は言いました。「丸が描けた!」

でももっとジョブズを理解できたのは、パーティが終わってからでした。他のゲストが帰ってしまっても、ジョブズはさっきの少年にMacの使い方を細かく教えてあげようと残っていたのです。後に私はジョブズに、なぜ少年と一緒にいるときの方が二人の大物アーティストと一緒にいるときよりも楽しそうだったのかと質問してみました。彼は用意した様子でなく、こう答えました。「大人はただ『それは何だ?』と聞いてくるけど、子供は『それで何ができるの?』って聞いてきますからね。」

Playboy(以下PB):1984年が過ぎて、コンピューターはまだ世界征服していませんね。一部の人はそれを信じていないようですが...。もし誰かコンピューターの普及に責を負っている、または立役者と言われる人がいるなら、それは29歳でコンピューター革命の父となったあなたがそれになるでしょうね。おかげであなたはものすごく裕福になり、所有している株は一時5億ドル(2011年現在では約395億円)にもなったそうですね。

スティーブ・ジョブズ(以下SJ):ていうか、株価が下がったときには僕は1年で2.5億ドル(約197億円)失くしたんです。(笑)

PB:それは笑えることなんですか?

SJ:それで人生をだめにされたくはないんです。だっておかしくないですか? この、お金に関することで僕が思うのは、考えてみるとユーモラスだなってことです。だって自分の過去10年を振り返ってみて、お金関係のことが一番勉強になったとか、価値があったとかは思えないんです。でもお金のせいで、自分が年取ったな、という感じは時々しています。たとえば大学で話をしたりすると、学生たちは僕が大金持ちだってことをすごいと思ってるんです。

僕が学校に行ってたのは60年代直後で、現実主義の波がやってくる前の時代でした。今の学生は理想主義的な言葉で考えることもないし、そんな傾向もありません。彼らはきっとビジネス系の勉強で忙しくて、哲学的問題に時間を割くつもりはないんでしょうね。でも、僕らの場合は60年代的理想主義の名残がまだあって、僕の同年代の知り合いはほとんど、自分自身の中に永遠にそれが入り込んでしまってるんです。

PB:コンピューター分野で大金持ちになったのは、興味深いことですね。あなたのような...

SJ:若造のオタクがですね。わかります。

PB:あなたとかスティーブ・ウォズニアックみたいな、10年前にガレージから出発した人たちがと言おうとしてたんです。あなたたち二人が起こしたこの革命は、何なんでしょうか?

SJ:今は100年前の、石油化学の黎明期と同じ状況です。石油化学革命によって、我々はフリーなエネルギーを手に入れました。フリーな機械エネルギーです。これによって、社会の質がいろんな意味で変わりました。今回の革命つまり情報革命も、ある意味フリーエネルギーの革命ですが、違うのはそれがフリーな知的エネルギーだということです。現在はまだ粗削りですが、我々のMacintoshは100ワット電球よりも少ない電力で動き、しかもこれを使えば1日数時間も節約できるんです。これから10年、20年、50年先にはどうなるでしょう? 今回の革命と比べると、石油化学革命が小さなものに感じられるようになると思います。我々は今、その先端にいるんです。

PB:ここであなたにとってのコンピューターの定義を聞いた方がいいかもしれないですね。コンピューターは、どんな風に動くんでしょう?

SJ:コンピューターは実はすごくシンプルなものです。僕らはここでカフェのベンチに座っています。たとえば、あなたがごく基本的な方向しか理解できないと仮定して、トイレへの行き方を聞いたとしましょう。それに対して僕はトイレに行くときの動きを細かく、正確に教えなくてはいけないでしょう。「ベンチから横に2メートル移動する。直立する。左足を上げる。左の膝が水平になるまで上げる。左足を伸ばして重心を300センチメートル前に移動する...」なんて言うかもしれません。こうした命令を他の人の100倍速くできれば、マジシャンみたいに見えるでしょう。僕の認識能力より速く、さっと走って行ってミルクシェークを手にして、テーブルに戻って指を鳴らせば、あなたがミルクシェークをぽんと出したように見えるでしょう。それがまさにコンピューターのすることです。

それはすごくシンプルな命令なんです。「数字を捕まえて、この数字に加えて、結果をここに出して、別のこっちの数字より大きいかどうかを認識する」という感じです。でも、それを毎秒100万回くらいの速さで実行するんです。毎秒100万回となると、その結果はまるで手品みたいに見えます。

これな単純な例ですが、要はコンピューターがどう動くかは、知らなくてもいいということです。たとえば普通の人は車の自動変速機がどう動いているかなんて知りませんが、運転の仕方は知っています。もしくは車の運転のために物理を勉強して運動の法則を理解する必要もありません。だからMacintoshを使うのにもどう動くかなんて知る必要はないんですが、それを質問されたんですね。(笑)

PB:あなたはコンピューターが我々個人の生活を変えると信じているようですが、それに対し懐疑的な人や、否定している人をどんなふうに説得しますか?

SJ:コンピューターは我々が見たことのあるもっともすごい道具です。たった一台で、新しい命令やソフトウェアを与えられるだけで、書くための道具になり、コミュニケーションセンターになり、スーパー計算機になり、スケジュール帳になり、文書管理ツールになり、アートの道具にもなるんです。ほかにこれだけの能力と柔軟さのある道具は他にありません。しかもコンピューターの限界は、まだわかっていません。今、コンピューターは我々の生活を楽にしてくれています。人間が数時間かけてする仕事を数秒でしてくれます。我々の生活の質を向上させてくれます。それは面倒な仕事を自動化することであったり、人間の可能性を広げるという形だったりします。これが進展していけば、コンピューターは我々に代わってもっと多くのことをしてくれるようになるでしょう。

PB:現在コンピューターを買うべき理由は、具体的には何でしょう? あなたの同業のあるエグゼクティブが最近こんなことを言っています。は「我々はコンピューターを人々に与えたが、まだそれで何をすべきかを示していない。私自身、小切手の処理をするときは手でやった方がまだ早い」ということです。そんな現時点で、なぜコンピューターを買わなくてはならないんでしょうか?

SJ:人によってその答えは違いますが、ビジネスではその答えは簡単です。文書を作るのがもっと早くなり、質も良くなるからです。オフィスでの生産性を高めるためにいろいろなことができるからです。コンピューターは人間をつまらない仕事から解放してくれると同時に、人間がクリエイティブになるのを支援してくれる道具です。大事なのは、コンピューターは道具だということです。道具とは我々が仕事をより良くできるよう助けてくれる存在です。

教育におけるコンピューターは、批判なしで無限に対話してくれる存在としては書籍以来初めてのものになるでしょう。ソクラテス的教育が難しい現代において、コンピューターは良い教師と組み合わされれば教育プロセスの本当のブレークスルーになると思います。すでにほとんどの学校で導入されています。

PB:それはビジネスや教育に関する話ですが、家庭ではどうでしょう?

SJ:ここまでのところ、家庭はリアルな市場というよりはコンセプト段階と言った方がいい状況です。家庭でコンピューターを買う主な理由は、家で仕事をしたいか、自分か子供用に削減ソフトを使いたいということくらいでしょう。他に考えられるのは、単にコンピューターを使えるようになりたいという動機くらいでしょう。「何かが起こっているのはわかっているけれども、それが何なのかはわからない、だから勉強しておきたい」ということです。でも、この状況は変わっていきます。コンピューターはほとんどの家庭において不可欠なものになると思います。

PB:何が変わるんでしょうか?

SJ:ほとんどの人がコンピューターを買う理由として一番考えられるのは、全国的なコミュニケーションネットワークにつなげられることです。現在は本当に大きなブレークスルーの最初の段階ですが、それは電話と同じくらい大事なものになります。

PB:具体的には、どんなブレークスルーなんでしょうか?

SJ:まだほんのさわりのところしか言えません。我々の業界の中ではよくあることですが、結果はよくわからないけれども、すごく大きくてすごく良い何かだってことはわかるんです。

PB:では現在、ホームコンピューターを買う人には、突き詰めれば信念を示すためだけに3000ドルをつぎ込めと言っているわけですか?

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SJ:将来的には、信念だけではなくなります。今我々が取り組んでいることの難しいところは、具体的に聞かれても答えられないということです。100年前、もし誰かがグラハム・ベルに「電話で何ができるんだ?」と聞いたとしても、ベルは電話が現在の世界に及ぼした影響までは答えられなかったでしょう。彼はみんなが電話を使って今夜上映している映画を問い合わせたり、買い物をしたり、地球の反対側にいる親戚と話したりするようになるとは知らなかったはずです。

でも、最初の電報は1844年に打たれたんです。それはコミュニケーションにおけるすごく大きなブレークスルーでした。ニューヨークからサンフランシスコにメッセージを送れたんです。みんな、アメリカ中のすべてのデスクにメッセージを送って生産性を改善することを考えましたが、それはうまくいきませんでした。電報を使うには、みんながモールス信号という呪文を覚える必要があって、それを覚えるのに40時間もかかったんです。多くの人はそんなものを覚えませんでした。

幸い、1870年代には、ベルが電話の特許を申請しました。それは基本的には電報と同じ機能でしたが、使い方はみんなにわかりました。また素晴らしかったのは、言葉でコミュニケーションができるだけでなく、歌うこともできるということでした。

PB:どういうことでしょう?

SJ:つまり、単に言葉だけではなく、意味合いによってトーンを変えられたということです。現在も同じ状況にいます。一部の人は生産性向上のためにIBM PCをアメリカ中のデスクに置くべきだと言っていますが、それはうまくいかないでしょう。IBM PCを使うのに学ばなくてはならない呪文は「スラッシュなんとか」みたいなコマンドです。一番ポピュラーなワープロソフトのWordStarのマニュアルでも、400ページもあります。小説を書くために小説を読むようなもので、しかもそれはほとんどの人にとっては謎だらけのミステリー小説です。みんながモールス信号を覚えないのと同じように、コマンドも覚えられないでしょう。

Macintoshはまさにそこに取り組んでいるんです。Macintoshは我々の業界の中で最初の「電話」的存在です。さらに僕が思う一番素晴らしいところは、Macintoshは電話と同じように「歌う」ことができるんです。単に言葉でコミュニケーションするだけでなく、独特のフォントが使えたり、絵を描いたり画像を加えたりして自分を表現できるんです。

PB:それは本当にすごいことなんですか、それともちょっと目先を変えただけなんでしょうか? Macintoshは「世界でもっとも高価なお絵かきボード」だとある批評家が言っていますが。

SJ:それは電報と電話の違いくらいすごいものです。もし自分が子供の頃に、すごく高度なお絵かきボードがあったらどうなっていたと思いますか? しかもそれはMacintoshのごく一部なんです。生産性や創造性を高められるだけでなく、言葉や数字に加えて絵やグラフを使って充実したコミュニケーションができるんです。

PB:ほとんどのコンピューターでは命令を入力するのにキーボードを使いますが、Macintoshでは「マウス」という小さな箱が机の上を転がってコンピューターのスクリーン上のポインターをガイドしています。キーボードに慣れた人たちにとっては大きな変化です。なぜマウスなんでしょうか?

SJ:たとえばもしあなたのシャツにしみがあると伝えたいとき、僕はそれを言葉で「あなたのシャツの、えりから14センチ下、ボタンから3センチ左にしみがありますよ」なんて伝えようとはしません。「ほら、そこ!」と指を差すでしょう。指を差すのは、我々みんなが知っているメタファーです。我々はマウスに関していろいろな研究や実験を行いましたが、あらゆる機能を実行するのに一番早い方法です。たとえばカットアンドペーストでも、マウスを使えば簡単だし効率が良いのです。

PB:Macintoshの開発にどれくらいの期間がかかりましたか?

SJ:コンピューターそのものに2年以上です。その前に、その基盤になるテクノロジーに数年かかりました。僕が何かにこんなに打ち込んだことはありませんが、Macintoshを作ることは人生でもっとも素晴らしい経験でした。関わった人はほとんどみんなそう言うでしょう。最後になっても、誰もリリースしたくありませんでした。まるでみんな自分の手を離れたら、自分のものではなくなってしまうことを知っているかのようでした。最後に株主向けのミーティングでプレゼンしたとき、会場にいた全員が5分間ものオベーションをしました。僕がすごく感動したのは、Macのチームが前の方の列にいるのが見えたときです。誰も本当にやりとげたことを信じられない感じでした。みんな泣き出しました。

PB:あなたのことは警告を受けています。このインタビューの前、ある人は我々が「天才ジョブズにだまされる」と言っていました。

SJ:(スマイル)僕らはただ、自分たちのやっていることに情熱を持っているだけです。

PB:でもそんな情熱とか、数百万ドルの広告キャンペーンとか、あなたのプレス掲載能力とかを勘案すると、消費者はこのハイプの実体が何なのかわかるのでしょうか?

SJ:広告キャンペーンは競争上必要です。IBMの広告はどこにでもあります。良いPRは消費者を教育できると言う意味で大事です。このビジネスでは、人をだますことはできません。製品が自ら語るのです。

PB:最近の批評では、たとえばマウスは効率が悪いとか、Macintoshのスクリーンは白黒だとかいったこともありますが、一番深刻なのはApple製品は高すぎるということではないでしょうか。これらに回答できますか?

SJ:我々は研究を行って、マウスがデータやアプリケーションを扱うのに従来の方法より早いことを証明しました。いつか我々はリーズナブルな価格でカラースクリーンを作れるでしょう。価格が高すぎるという点については、新製品のスタートアップではその後の製品よりも価格が高めになるものです。生産量を増やせれば、価格も下がっていくでしょう。

PB:まさにそこが非難されていることです。熱狂的なファンをプレミアム価格で釣っておいて、その後手のひらを返して残りの市場に低価格で売っていると。

SJ:それは事実と異なります。我々は可能な限り早期に価格を下げています。我々のコンピューターが数年前、または去年と比べても安価になったのは事実です。でもIBM PCでもそれは同じです。我々のゴールはコンピューターを数千万人の人に届けることで、それは価格を安くできればより容易になります。もしMacintoshを1000ドルにできれば、僕はうれしいです。

PB:Macintoshの前にリリースしたLisaApple IIIを買った人に関してはどうでしょう? 互換性のない、時代遅れの製品にしてしまいましたが。

SJ:それを言うなら、IBM PCとかPCjr(IBMの家庭向けコンピューター)とかのことも聞いてほしいですね。

Lisaに関しては、Macintoshにそのテクノロジーの一部が使われていて、Macintoshのソフトウェアも動かせますし、Macintoshのお兄さん的存在として見られることでしょう。最初はうまくいきませんでしたが、Lisaの売上は上がってきています。今でもApple IIが月に2000台以上売れていて、その半分以上はリピート顧客です。つまりまとめると、新しいテクノロジーは古いテクノロジーをリプレースするわけではありません。ただし、時代遅れにはしてしまいます。定義上、そうなります。そして結果的には、リプレースしてしまいます。でもそれは、カラーTVが出てきたときに白黒TVを持っていた人のようなものです。最終的にその人たちも、新しいテクノロジーが金額に見合うかどうか判断したのです。

PB:現在の変化の速度だと、Mac自体が数年以内に時代遅れになりませんか?

SJ:Macintosh以前に、ふたつのスタンダードがありました。Apple IIとIBM PCです。それらは渓谷の岩を削って流れるふたつの川のようなものです。その流れを作るには何年もかかりました。Apple IIは7年、IBM PCは4年です。Macintoshに関してやったことは、まだ1年以下です。この製品の革命的な力と我々が企業として持っているマーケティング資源によって、岩を削って3つめの水流を作ったのです。3つめのスタンダードです。そんなことを今できるのは2社しかないと僕は思います。Apple、そしてIBMです。残念かもしれませんが、流れを作るのには途方もない努力が必要なので、AppleもIBMも今後3、4年は新たなスタンダードを作ろうとはしないでしょう。80年代終わりにかけて、何か新しいものも出てくるかもしれません。

PB:そして現在は?

SJ:開発のポイントはコンピューターをもっと持ち運びしやすく、ネットワーク化でき、レーザープリンターが使え、データベース共有ができ、コミュニケーション能力を高め、電話とパソコンの融合ということもあるかもしれません。

PB:Lisa部門を仕切ろうとしていましたね。でも、あなたが雇い入れてきたボスのマークラとスコットは、あなたにはそれができると思わなかったんですね。

SJ:コンセプトのフレームワークを作って、キーパーソンも見つけて、技術的なディレクションも決めました。でも、スコットが僕にはそれだけの経験がないと判断したんです。それはショックでした。

PB:Appleを失うような感じがしましたか?

SJ:多少はあったと思います。でもそれよりつらかったのは、Lisaのグループに僕らがもともと持っていたビジョンを共有していない人がたくさん雇われていったことです。Lisaグループでは、短く言うとMacintoshみたいなものを作りたい人間と、ヒューレットパッカードのような他社から引き抜かれた、法人向けの大きめのマシンを想定している人間の対立が起こりました。僕はそこから離れて自分で少人数でやってみよう、ガレージに戻ろうと思い、Macintoshを作ったんです。他の人間は我々の考えを真剣に受け取りませんでした。スコットは僕をうまくあしらおうとしていただけだと思います。

PB:でも、自分で作った会社ですよね。恨む気持ちはありませんでしたか?

SJ:自分の子供を恨むことはないでしょう。

PB:その子供に、出ていけと言われても?

SJ:恨んだりはしませんでした。悲しいとは思いますし、フラストレーションもありました。でもAppleには、僕が必要だと感じたので、ベストな人材がいました。もちろん、そうした人材がMacintoshを考えたのです。(肩をすくめて)Macを見てください。

PB:Macに関する評価はまだ決まったとはとても言えません。あなたはMacをLisaと同じように鳴り物入りでリリースしましたが、Lisaは当初失敗したんですよね。

SJ:たしかにそうです。我々はLisaにとても期待していましたが、それは間違いでした。つらかったのは、Macintoshがあるのを知っていて、しかもMacintoshはLisaへの批判をすべて克服できるようなものだったことです。会社として、我々は原点に戻ろうとしていました。企業でなく人に、コンピューターを売るということです。我々は狂ったように偉大なコンピューターを作ったのです。

PB:狂ったように偉大なものを作るには、狂ったような人が必要ですか?

SJ:実際、狂ったように偉大な製品を作るということは、価格に反映されたり、学び方や、新しいアイデアを取り入れて古い考えを捨てることに大いに関係があります。が、そうですね、Macを作った人間はある意味エッジにいる人間だと思います。

PB:狂ったように偉大なアイデアを持った人と、そういうアイデアを否定する人の違いはなんでしょう?

SJ:IBMと比較してみましょう。MacグループはなぜMacを作り、IBMの人はなぜPCjrを作ったか? 僕が思うにMacはものすごく売れると思いますが、僕らはMacを他の人のために作ったわけではありません。自分たちのために作ったのです。だから僕ら自身が、それが偉大かどうかを判断できたのです。だからマーケットリサーチも必要ありません。僕らはただ自分たちの出来る最高のものを作りたかったんです。

もし自分が大工で、美しいチェストを作ろうとしているなら、背面には合板なんて使いません。それが壁に面していて、誰も見ない場所でも、です。それがそこにあると知っているのですから、背面にも美しい木材を使います。夜にぐっすり眠るためには、美しさや品質を貫いていく必要があるんです。

PB:つまりPCjrを作った人たちは、製品にそういうプライドを持っていないということでしょうか?

SJ:もしそんなプライドがあれば、PCjrを作っていないでしょう。僕から見れば、あるマーケットのセグメント、特定のデモグラフィックの顧客をリサーチした結果に基づいてデザインされたのは明らかです。彼らはそれを作ればたくさんの人が買ってもうけられると考えたのでしょう。それは違うモチベーションです。Macグループの人間は、今までで最良のコンピューターを作ろうとしたのです。

iPLAYBOY原文/miho)