91.4テスラの世界新! 銅線が破裂するほど強い磁石、誕生(独)

91.4テスラの世界新! 銅線が破裂するほど強い磁石、誕生(独) 1

アメリカの平均的冷蔵庫が生む磁場は2分の1テスラぽっきりですが、独ドレスデンの強磁場研究所がこのほど開発した世界最強の磁石はなんとその200倍近い91.4テスラなんですってよ! 

いや~世界中の釘がドレスデン目掛けて飛んでっちゃいそうな気がしますけど、まあ、大丈夫ですよ、91.4テスラの状態は1秒も続かないので。

この磁石の名は「Pulse Cell」。大きさは塗料のバケツぐらい(高さ55cm、幅32cm)あって、重量は440ポンド(200kg)です。90テスラ超えの強い力に耐えられるよう、特殊銅合金のワイヤをカスタムデザインのケブラー繊維のコルセットに入れ、スチール製ジャケット内にぐるぐる巻きにしてこしらえました。

「100テスラになると銅の中のローレンツ力が生む圧力が海水面の大気圧力の4万倍にも達するんですよ」とは、HZDR(Helmholtz-Zentrum Dresden-Rossendorf:ドレスデン強磁場研究所)のJoachim Wosnitza所長の試算。これは銅線が充分爆発する圧力です。

 基本的に電荷が充分大きくなると、銅線を流れる電流の力とそれが生む磁場が互いに干渉し合うわけですが、その干渉があまりにも大きいと、銅線そのものが破裂してしまうんですね。

それを回避するため研究者たちが採用したのは層を2段構えにするデザインです。内側の6層巻きコイルには50テスラまでの分を、外側の12層巻き銅コイルはさらに40テスラ余分にかかる分を流すんですね。テストでは外側も.02秒間使いました。この手法のお陰で彼らが作った磁石から出る91.4テスラもなんとか押し込めることに成功、米ロスアラモス国立研究所が何年も前に打ち立てた89テスラという前世界記録を見事塗り替えた!というわけですねー。

それにしても1秒の100分の2秒しか流れない磁石の何がどうすごいんでしょ? 

この点についてWosnitza所長は「実は磁場を最大値に極めるところには我々もそれほど関心はなくて、関心があるのはむしろマテリアル科学の研究への活用の方なんですね」と説明していますよ。具体的に言うと、こうした磁場があることで次世代超電導体の開発に拍車がかかるそうなのですね。

それ以外の科学的専門分野からの引き合いが余りにも多いため、HZDRではPulse Cellと同じものを2015年までにさらに6個こしらえる計画です!

[Helmholtz-Zentrum Dresden-Rossendorf - Wired]

Andrew Tarantola(原文/satomi)