アメリカで電球バトルが勃発。エコじゃない白熱電球を使う「自由」も認められるべき?

アメリカで電球バトルが勃発。エコじゃない白熱電球を使う「自由」も認められるべき? 1

電球なだけに、熱いです...。

2007年、アメリカでエネルギー消費効率を高めるための法案「エネルギー自立・安全保障法」(Energy Independence and Security Act of 2007、EISA 2007)が可決され、それによって2012年以降は従来型の白熱電球が原則流通禁止されていくことになっています。従来の白熱電球は消費エネルギーの90パーセントが発熱に使われてしまい、効率が悪いためです。その代替品としては、従来型の白熱電球より割高にはなりますが、25パーセントほどエネルギー効率を高めた白熱電球、電球型蛍光灯、LED電球などがあります。

が、EISA 2007に対してテキサス州の共和党議員ジョー・バートン氏らが今になって異議を唱え始め、撤廃させるための議案を米国議会に提出しました。その言い分は「安い電球が買えなくなると困る人がいる」...ということではなく、「従来型の電球を買うことを規制するのは政府による個人の自由の侵害だ」というものです。古いテクノロジーを使う自由も認められるべきなのでしょうか?

AP通信によれば、問題の法律にサインしたのは共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領なので、今回のバトルは共和党・民主党の争いとは関係ありません。バートン氏を支持しているのは共和党議員の一部で、従来型電球の禁止を「大きな政府が市民に物事を強要する新たな事例」としています。共和党の次期大統領候補ミシェル・バックマン氏は「我々は政府からどの電球を買うべきか指示されている」と主張しています。

でも、実際そうなんでしょうか。白熱電球は全面禁止されたわけではなく、25~30パーセントほどエネルギー効率を高めるよう規制されているだけなんです。もちろんそれによってコストが上がり、価格も上がってしまうでしょうが、エネルギー消費を長期的に低減させることができます。ということは、長い目で見れば消費者側のコストも下がるということです。また、消費者だけでなく政府にとっても支出抑制につながります

でもバートン氏に言わせれば、これは効率性の問題でも、テクノロジーの問題でもありません。これは自由に関わる問題だと言うです。これは「単にエネルギー消費の問題ではなく、個人の自由の問題」なのだと。

でも、その主張はちょっと厳しいかもしれません。上記のバックマン氏の発言とは異なり、EISA 2007では買うべき電球を指定しているわけではありません。白熱電球(エネルギー効率の良いもの)でも、電球型蛍光灯でも、LED電球でも、何でも買えるのです。もちろんメーカーの指定も、販売店の指定もありません。また当然ながら、生き方や考え方、言論を制限するような内容でもありません。効率の悪い旧型の電球を買う自由を失うことは、たとえば炭疽菌とか絶滅危惧種の動物を買う自由がないのと同じことなのではないでしょうか。

従来型の白熱電球と同じように、失われていくものは他にもたくさんあります。でも、それが社会生活なんじゃないでしょうか。たとえば車の排気ガスにも効率が求められますし、建物にアスベストや鉛を使うのも規制されていますが、それは仕方ないことだと思います。人に迷惑をかけたり、物を傷つけたりしないために、我々の「権利」は小さくなるのです。

なお、EISA 2007に反対し、白熱電球規制を撤廃する議案への投票が米国議会で行われましたが、その結果は賛成193に対して反対233で、規制の撤廃には至りませんでした

[via AP、Photo:AISPIX/Shutterstock]

Sam Biddle(原文/miho)