君は合格? 米ギズ社員を対象にソーシャルメディア素行調査頼んだら僕だけ落ちた

君は合格? 米ギズ社員を対象にソーシャルメディア素行調査頼んだら僕だけ落ちた 1

次の就活ではソーシャルメディアの素行調査が必須になるかもしれませんよ。

...と言われても「なにそれ?」ですよね。最近の動きで、まだ誰も実態はよくわかってないので無理ないです。ゲロしてる写真とか、ウェブに残ってる恥ずかしい過去をシラミ潰しに洗う調査のことらしいのですが..。

でもこうして人づての話で怖がってても埒あかないですよね。本当のところが知りたい! そこで早速Gizmodo社員6人の素行調査を業者さんにお願いしてみました!

以下がその結果です。ここまでわかるなんてすごくもあり怖くもあり...。

 

  

と、紹介に移る前に調査の背景を簡単にご説明すると...アメリカではこの5月に米連邦取引委員会(FTC)が「Social Intelligence」という会社のインターネット&ソーシャルメディア履歴検査業務にGOサインを出し、マスコミで大きく取り上げられたんですねー。今回調査をお願いしてみたら、報道には重要な間違いが2つあることが分かりました。

まず最初の報道では「Social Intelligence社は個人のソーシャルデータを7年分保存する」ってことでパニックになったんですが、実は「7年分の履歴は見るけどデータは一切保存しない」んです。

あと2点目。「就職先に酔っ払った写真や恥ずかしい写真を出す」というのも、実際に調べるのは本当に5本指に収まるぐらい限られた範囲のものでした。つまり「攻撃性・暴力性のある行為や発言、違法行為、差別的行動(例:人種差別発言)、性的に露骨な行為」に引っかかるものだけです。また調査対象の人物が特定できる写真も雇用先には出てきません。つまり酔っ払って逆立ちして樽から一気飲みしてる写真とかも、ナチスのかぎ十字のTシャツ着たり、腰から下が裸でもない限り大丈夫。基本、雇用主を法的トラブルに巻き込む要注意人物かどうかを調べるだけなんですね。

さて本題に移ると...今回のGizmodo社員素行調査ではJoe Brown編集長以下6名の調査を依頼し、1名を除く5名が見事パスしました。採用予定の社員に問題が見つからなければ「合格」通知を出すだけで、付属の資料は作成されません。

僕は見事不合格...。不合格者についてはSocial Intelligenceも報告書を作って採用先に提出します。この素行調査報告が原因で不採用になった場合には、志願者も控えのコピーを請求することができます。僕の報告書には楽しいディテールてんこ盛りでしたよ...やれ「調査対象者はコカインとLSDの使用を認めている」だの「調査対象者はケタミン使用にも言及している」だの。もう二度と就職できないのかも...。

でも報告書は読んで面白かったので、この際プライバシーのことは置いといて全部オンラインに公開しちゃいますね。末尾でご覧になれます。以下の写しには赤で注釈を入れておきました。

1.素行調査にパスした採用志願者のリスト

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2.Social Intelligenceは履歴書に記載の住所・氏名・電話番号・メールを基に検索を行うので、採用志望用に捨てアドレスをつくると足がつかなかったりします。

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3.「違法と思われる行為」の証拠が見つかったのは、この2008年のブログ記事。

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4.アウトな記述(「コカインはめちゃ楽しい」)にハイライトが入ってますね。

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5.不適な物証が検出された場所のURLも提供してくれるので(例えば企業側は正規採用前に)簡単に削除できます。

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6.これもアウト(「彼からケタミンをもらった」)。

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7.肌の色がわからないよう、顔は隠してありますね。

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8.この黒で塗り潰されたところには最初、「ビール飲み過ぎ」と書いてありました。

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9.Social Intelligence、僕のFacebookアカウントも探したんだけど、非公開モードなので

情報は引き出せなかったみたいですね。

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さて、今回依頼してわかった調査の仕組みと今後こういった調査が必須になった場合(たぶんなる)の留意点をまとめておきましょう。

まず調査報告書に記載にならない内容は記載になる内容と同じぐらい興味深い、ということ。人種が特定できる内容は全部排除されてます、手まで! ホームページで「ビール飲み過ぎ」と書いたところも消されましたけど、これは報告趣旨と関係ないからです。

調査で引っかからなかった情報もあります。例えばJoe Brown編集長はFacebookアカウント持ってるんですが、彼の仕事関連の投稿に名前を出したくない近しい友だちのために(あとは友だちとして近寄ってくる広報を避けるため)別名で取ってるので。個人用メールアドレスを知ってたら簡単に見つけられるんですけどね。念のためそのアドレスもSocial Intelligenceに提供したんですがメインのプロフィールが見つかっただけで、関連アカウントまでは見つけられませんでしたね。

むしろ巨大な足あとをウェブに残すと見つかりにくい、というのもありますね。僕の弾かれちゃったところなんて氷山の一角ですよ!

Googleで検索して掘り下げていくとあの程度のはもっと見つかります...もっと酷いのも...このツイートみたいに...(モロ人種差別&ハイ発言。悪ふざけだけど)。

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もうひとつ面白かったのは...採用先が「これで検索してくれ」って渡した情報でしか調査は行わないんですね。大体は履歴書に記載の氏名・大学・メールアドレス・住所をそのまんまですから、つまるところ履歴書を提出する志願者本人が採用先に提供した情報がベースで素行調査は行われることになります。履歴書に記載する連絡先は、よくよく考えて記入しようね。

個人用メールアドレス、特に前々から使ってるアドレスは要注意ですよ。採用先に知られたくない自分のあらゆる種類のことが、それで引っかかりますから。メアドなんて無料で取れるので、就活用のアドレスを作って、履歴書にはそっちを記入しましょう。

セックス関連も要注意ですよ。Social Intelligenceがスキャンする中には「性的興奮を高めたり官能的満足を得る目的で出す性的に露骨なコンテンツ」もあって、写真・動画はもとより文章まで調査対象です。それに、どこまでがOKでどこからが露骨かの線引きも曖昧ですからね...。同社のMax Drucker CEOは「我々のチームも人間ですからね」、「何をもって露骨と言うのか、可能な限り最大限の努力を払って評定は行っていますが」と話してますよ。

公正を期するため露骨な物件の例をひとつ、CEO直々に僕に送ってきてくれたんですが、いやはやなんとも目ん玉漂白したくなるような酷いものでした。ですけど、ある場所(例:僕が生まれ育ったアラバマ)では性的に露骨でも、他の場所(例:僕が今住んでるサンフランシスコ)では露骨じゃない、という場合もありますからね。報告書にはFolsom Street Fairの写真は1枚もなかったし、 Bay to Breakersの男根写真もブログとFlickrの両方に掲載してたんですが記載されませんでした。あれが露骨表現だとは僕も思ってませんけど(サンフランシスコの公道で撮ったものだし)、こういう極度にNSFWなものはやっぱり採用先には見てもらいたくないですもんね。

ま~しかしこういうサービスに需要があるのも分かる気がしますよ。今は採用候補者をGoogle検索にかけなかったら馬鹿な会社と言われても仕方ない時代ですし。でも可能なら、利害関係のない外部の業者に全部スクレイプする素行調査を頼む方が、採用側も志願者もお互いメリットありますよね。

みんなオンライン情報をぞんざいに扱うのに慣れてしまってるのに、アメリカでは採用側から問いただすことは法的に禁じられているのです。Facebookのプロフィールには人種、性的指向、出生国、宗教など細々載ってますが、これはアメリカの採用審査では面接で聞くのもアウト。決して踏み込めない個人情報なんですね。

志願者は、個人生活のことがバイアスになって採用で不利になる事態は避けたいですよね。雇用側にしても、偶然そういうの見つけると、まったくどうでもいいことでも後で問題になることもありますから。

例えばこういうシナリオも考えなきゃいけないんですね。あなたがカリフォルニアの会社の採用担当だったとします。ある志願者のウェブの素行を調査したらTumblrに最近「妊娠しちゃった!」のアップデートが入ってました。いきなり産休! とは思ったものの、そこは企業人らしく問題にせず、別の理由で他の社員を採用します。一方、不採用通知を受け取った候補はサイト解析プログラムでIPアドレスからあなたがサイトに来たことを知り、「妊娠を理由に不採用にされた!」と思って...提訴。こうなるともう、どうしようもないですからね。

Social Intelligenceに頼めば妊娠中でもゲイでもイスラム教でも新婚でも、イスラムの妊婦と同性婚した新婚でも、法的に揉めそうなパートは報告書から外してくれます。採用先の目に触れるのは基本的に合否通知だけ。酔っ払っても妊娠しても(その両方が同時に起こっても)それで落第になることはないので志願者も安心してパーティ続けられる、というわけですね。

(こういうウェブ素行調査の業者さん、日本にもあります? 面接で聞いていいことと悪いことの線引きがアメリカほど厳密じゃないので日本は企業が自分でやっちゃうんでしょうかね...?)

Mat Honan(原文/satomi)