ネットの回線工事の人ってなんでいつも遅れてくるの? (米国事情)

ネットの回線工事の人ってなんでいつも遅れてくるの? (米国事情) 1

意外にアナログなところが多いようで...。

日本でもネットの回線工事予約すると、アポの時間は「○時~○時の間」みたいに言われることがあります。でもアメリカでは、その幅が4時間くらいあるのが普通だったり、さらには結局来なかったりすることがあるようです。一体なぜなのか、米Gizmodoのホーナン記者が各事業者(米国のブロードバンドではケーブルのシェアが高いので、主にケーブルTV会社)に渾身の取材を行っています。

アポの時間に遅れてしまう背景は、どんなことになっているんでしょうか?

新しいコンピューターも買ったし、あとはケーブルを引くのみ! 回線工事のアポをとって、その日は終日休暇を取って待ちましょう! ...って、なんで丸1日つぶさなきゃいけないんでしょう?

残念ながら、ケーブルの工事ってそんな感じです。新規設置工事のアポは時間指定ができなくて、「○時~○時」みたいな数時間枠での指定しかできないんです。それって改善の余地はないのでしょうか? アポのスケジューリングと、それを管理する何らかのテクノロジーがあれば、何時間も待つ必要はなくなるんじゃないでしょうか?

いくつかのケーブル会社の幹部に対し、数時間枠でのアポがなぜ必要かを聞くと、みんな同じ回答をします。「工事担当者が現場に行ったときに、何があるかはわからないから」というものです。

その回答は、実際その通りなのかもしれません。でも、それなりに多くの現場経験を積んでいるはずの各社が、いまだに工事の所要時間を読むこともできないのでしょうか? 

たしかに、壁に穴を開けたり、ケーブルを通したりといった作業の過程で、想定外のこともあるのかもしれません。ユーザーの使っている機器が古かったりするのかもしれません。でもほとんどの場合、そういう条件はあらかじめ確認しておけるんじゃないでしょうか。その上で、万一工事担当者が現場を見て初めてわかる問題があったら、会社に連絡して、その後に入っているアポを他の担当者に振り分けてもらうとかすればいいんじゃないでしょうか。

そんなわけで今回、いくつかのケーブル会社に取材してみました。アポ取りのポリシーはどうなっているのか。現場にいる作業員の状況を管理する人はいるのか。新規設置工事の後に何回作業員を再派遣する必要があるのかといった質問をしたのです。

これらはごく普通の質問だと思いますが、なかなか回答が得られませんでした。TimeWarnerとCoxはポリシーについての回答を完全に拒否しました。Charterはメールに返信してくれませんでした(今は以前より時間の幅が短くなり、ディスパッチシステムに移行しつつあるようなのですが)。

たしかに、自らの足りないところについて好んで話そうとする人たちはあまりいないものです。だからこういう質問をしてくる存在自体、ケーブル会社にとってはうれしくないのでしょう。でも、企業が対顧客のポリシーの公開にここまで後ろ向きであること自体、何か良くない意味のあることだと思います。

また、数時間枠でのアポを取るのがケーブルTVだけではないことを考えると、この反応は驚きでもあります。たとえばDirecTVも4時間枠でのアポを取っています。だからケーブル業界にとっては、今回の取材はそのポリシーの妥当性を主張する良い機会だったはずです。幸い、いくつかの会社はその機会をとらえ、きちんと回答してくれました

回答してくれたすべての会社が数時間枠でアポを取っていましたが、その枠の長さは1時間~4時間とばらつきがありました。回答を拒否したTimeWarnerに関しては、ニューヨーク市内では新規設置の場合4時間枠でアポ取りしていると聞いています。Bloombergによれば、全米的には3時間枠にしているそうです。Cablevisionも3時間枠にしていますが、その日の最初のアポであれば、指定時刻に来てくれるということでした。

でも、新規事業者系のWOW!では、新規設置アポの80パーセントを1~2時間枠で設定しています。AT&T U-Verseでは2時間です。そして、一番がんばっているのはComcastでした。

実はComcastはアポの時間に関して非常に評判が悪いのですが、改善しようと努力しているんです。アポを時間枠で取ることは顧客にとって不快なことであり、突き詰めればコスト増にもつながっていると理解しているのです。僕らが質問した一部の企業は多かれ少なかれ時間枠でアポを取ること正当化しようとしたのですが、Comcastは枠でのアポ取りを将来的になくしていくと明言しました。彼らはすでに米国内の多くの地域で2時間枠を採用しており、さらに一部の地域では枠を1時間に縮めようとしています。来年末までには、すべての地域でのアポ時間枠は2時間以内になる予定です。

「ほとんどの顧客にとって、アポの枠が2時間以内であれば問題ないことがわかりました」とComcastのジェニ・モイヤーさん。「顧客はただその決めた時間枠内に来てほしい、1回できっちり仕事を終えてほしいと考えているのです。」

その通りです。

では、ComcastやU-Verseはアポの時間枠を小さくするためにどんな手を打っているのでしょう? 作業進捗状況を管理し、必要に応じて作業員の割り振りを機動的に行う、ディスパッチシステムです。

通常、作業員には日々決められるアポのスケジュールがあり、ひとりひとりにアポのリストが与えられています。ある現場で作業が遅れると、その後に予定されていた他の仕事はすべて遅れてしまいます。たとえばCharterでは数年前技術者がどの現場にいるのか把握していなかったばかりか、顧客に対してうその到着予定時刻を伝えていたことが暴露され、大問題になりました。

一方、Comcastでは機動的なディスパッチを行っていて、作業の優先順位づけをしています。作業員がアポの現場に到着してから、そこでの作業にかかる予想時間を報告します。作業が進行するにつれて、もし遅れが出てきた場合は会社側でスケジュールを機動的に調整します。人的問題を技術的に解決しているんです。

作業員にラップトップとハンドヘルド端末を渡したことが、アポの時間枠を狭めるのに役立っています」とComcastのモイヤーさんは言っています。

でも、一口にディスパッチと言っても、いろいろなやり方があります。Cablevisionもディスパッチシステムを使っていますが、クリティカルなものに関してだけです。その場合、アポのすっぽかしとか遅刻は減らせるでしょうが、時間枠を狭めるのには必ずしも役立たないようです。良いディスパッチシステムがなければ、事態はどんどん望まない方に行ってしまう可能性があります。

でも少なくとも、改善への第一歩ではあるんじゃないでしょうか。

ケーブル会社のみなさん。ときには作業が想定より長くかかってしまうことがあるのは理解できます。現場に着いたら、お客さんが骨董品みたいなAVシステムを使っていたりとか、回線の問題があったりするのもわかります。そうした問題に対処しつつも、我々の時間にも配慮してくれることを願います。作業員のスケジュールをディスパッチシステムなどできちんと管理して機動的に対応してくれること、もしアポに遅れそうなら電話一本入れてくれること、遅れたときには何らかの埋め合わせをしてくれることを、願っています。

Mat Honan(原文/miho)