ナチュラルキラー細胞ががん細胞を攻撃する高解像度映像、イギリスの大学が撮影に成功(動画あり)

ナチュラルキラー細胞ががん細胞を攻撃する高解像度映像、イギリスの大学が撮影に成功(動画あり) 1

みんなの体の中にいる細胞です。

上の画像左に写る白いぼわっとしたものはナチュラルキラー(Natural Killer、NK)細胞と呼ばれるリンパ球の一種です。この画像は右側にあるがん細胞を攻撃しているところなんですが、この種の画像としては今までで最高の解像度なんだそうです。動画も以下にあります。

これらはインペリアル・カレッジ・ロンドンのダニエル・デイヴィス教授率いる研究チームによって撮影されたものです。彼らがここで、物理学者と同大学の光通信学グループの支援を受けて開発された全く新しい技術を使っています。それは、ものすごく小さなものをつまめる光ピンセットと、超高解像度の顕微鏡が合体したものです。

従来こうした3D画像を撮るには、顕微鏡を使って2D画像をスライス状に撮影し、それらを積み上げることで3Dにする方法がとられていました。ただ、その方法では時間がかかるうえに、仕上がりの詳細さや解像度もプアだという課題がありました。今回開発された光ピンセットを使う方法では、こうした課題を解決できると物理学のポール・フレンチ教授は言っています。

光ピンセットを使うと、生きている細胞界面(細胞同士が触れている面)を撮りやすい方向に動かせるので、細胞界面の画像を大量に連続して撮れるようになります。これによって、生きた細胞同士の間で起こる分子レベルのダイナミックなプロセスが直接観察可能になったのです。

デイヴィス教授によれば、これまで見られなかったものが見えるようになったことにより、白血球がどのようにその攻撃対象を認識し、攻撃するかをはっきり観察できるようになったそうです。これによって科学者たちは人体で起こる細胞への攻撃プロセスへの理解を従来よりずっと深められるようになります。つまりさまざまな病気、たとえばがんに対する理解や、将来的には病気の治療方法にも影響してくると思われます。

NK細胞はウイルスや腫瘍などの悪性組織に対する免疫反応において重要です。また骨髄移植の後で、移植を受けた人の体が移植された組織を受け入れるか拒絶するかを決めるときにも一定の役割を果たしている可能性があります。(略)将来、NK細胞がいつ何を殺すかに影響を与える薬剤が、たとえば腫瘍を殺す治療のためなどに使われるかもしれません。また、移植の際の拒絶反応や一部の自己免疫疾患において、NK細胞による望ましくない破壊活動を防ぐのに有効かもしれません。

細胞が体を守ってくれるようにうまくコントロールできるようになれば、がんの治療にも役立つんですね。今回できた撮影技術でこうした人体内の細胞レベルでの理解がもっと進んでいくと、いろんな病気の治療に貢献できそうです。

[Imperial College]

Jesus Diaz(原文/miho)