【Giz Explains】iPhone 4Sのアンテナが「スマート」になったって、どういうこと?

2011.10.12 20:00
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アップルいわく、iPhone 4S世界中どこでも、素晴らしい感度で使えるそうです。

その秘密はアンテナにあるようです。というのも、アップルのマーケティング担当上級副社長のフィル・シラーは、iPhone 4Sが「受発信のためにふたつのアンテナをインテリジェントにスイッチする」とプレゼンしていたんです。すごそう! ですが、なんだかわかったようなわからないような...。もっと具体的に、アンテナはどんな風に動くんでしょうか?


薄くて小さなデバイス複数種類の信号を受発信させて、なおかつ信号同士の干渉を防ぐには、かなりの工夫が必要です。iPhone 4のアンテナ問題でわかったように、最高のエンジニアとデザイナーをもってしても、完ぺきなアンテナ周りを実現できるとは限らないんです。

アンテナ関連ではいろんな技があるので、大事なのはそれらを最適に組み合わせることになります。が、場合によっては、新たな技術を作り出すことも必要になります。

「アップルが『インテリジェントにスイッチする』と言っているのは、具体的にはスイッチングまたは選択的処理のテクニックです。ふたつあるアンテナのうち、より感度が良い方を使うんです。」ミシガン州ポーティジでiPhoneやiPodの修理を手がけているRapid Repairの共同創業者、アーロン・ヴロンコ氏が説明してくれました。

が、それだけでは課題は解決できなさそうです。たとえば携帯電話の端末は小さいので、そこにふたつのアンテナを収めるということは、アンテナ同士の距離がとても近くなります。そして近くにあるアンテナは、お互いに干渉しやすくなってしまうのです。これを回避する方法のひとつとして、ふたつのアンテナを端末の両端に配置するやり方があります。これは「空間ダイバーシティ」と呼ばれる手法です。

AT&TのiPhone 4では、ふたつのアンテナが両方とも端末の下部に配置されていました。なので、もしそのアンテナ部分付近を両方同時に持ってしまうと、信号がうまく受信できなくなり、アンテナ問題が発生していたのです。

一方Verizonは、Verizon版iPhone 4を販売するにあたってアンテナを端末の上部と下部に分けるよう要望していました。そうすれば、ユーザーがたとえば端末の下部を持つ場合には、上部にある方のアンテナが使われるというわけです。

それでも、この小さな端末の中でアンテナの位置を離すだけでは干渉を防ぎきれません。干渉を防ぐには、少なくとも電波の波長ひとつ分のスペースが必要です。短い方の波長でも900MHzとかで、これは約33cmもあるんです。大昔の携帯電話だってそんな大きさはなく、ゴードン・ゲッコーが80年代に使っていたDynaTACでも全長9.8インチ(約25cm)でした。なので、別のアプローチも使われます。たとえば「偏波」、つまりアンテナの角度をそれぞれ変えるというものです。または「パターン・ダイバーシティ」、これはアンテナの放射パターンを変えることです。

ここでまたVerizonのiPhone 4の話になりますが、Verizon版は本当に感度が良くなったとはいえ、それは受信だけでした。発信に関しては従来通りだったんです。

「iPhone 4Sでは、空間ダイバーシティが受信・発信の両方に実装されたようです」と言うのは、アンテナのデザインおよびインテグレーションのコンサルティングを行っているAntennaSysのCEO、スペンサー・ウェブ氏です。もしその通りなら追加の改善点なのですが、それでもアンテナ専門家にとっては物足りないようです。

「私としては、このデザインに関して特別な魔法があるとは思えません」とウェブ氏は言います。

ウェブ氏がより興味を持っているのは、アップルと他の携帯電話メーカーが無線周波エミッションに関するFCC(連邦通信委員会)の要求をどうやってクリアしたかという点です。上述したようなアンテナのスイッチングには多くのエネルギーが使われますし、ハンドヘルド端末はすべて一定の(ウェブ氏によると、非常に限られた)レベルの熱しか人体に伝えてはならず、しかも端末にはGPSとWi-Fiのアンテナも詰め込まなきゃいけないんです。そうしたエミッションを抑えながらもアンテナの信号を処理するために、アップルは独自のアルゴリズムを編み出したのではないかとウェブ氏は考えています。

さらにiPhone 4Sのアンテナに関しては、「ワールドフォン」という側面があります。米国のユーザーであれば、従来は「AT&Tは電波感度が悪いがGSMだから海外旅行向き」、「VerizonのCDMAだと受信感度が改善するけど米国外では使えない」と言うトレードオフがあったのですが、そういった悩みもなくなります。前出のヴロンコ氏は、この「ワールドフォン」化の背景には新たなプロセッサーがあるのではと推測しています。彼は10月14日にiPhone 4Sを手に入れたら、ぜひ解体して中身を確認しようと楽しみにしています。

「ワールドフォン実現に向けてのこれまでの最大の課題はコストと、必要な機能を持ったベースバンドプロセッサを入手できるかどうかという点でした。」とヴロンコ氏。「ベースバンドプロセッサは、携帯タワーとの間で無線信号を送受信するものです。」

通常、CDMAとGSMではそれぞれ別のチップが必要で、ひとつの電話に両方入れるとかさばるし、価格も上がってしまうのが問題でした。ヴロンコ氏いわく、アップルはBroadcomとかMarvellといった会社に新しいプロセッサーを作らせたのではないかと思われます。「これまでにもそういった例はありますが、多くはありません。」とヴロンコ氏。「本当の意味でのワールドフォンは多くはないんです、高価になりますから。」

iPhone 4S、アンテナの感度はiPhone 4よりよくなっているんでしょうか? 本当に世界中で感度良く使えるんでしょうか? 早く実際のところを確かめてみたいですね。


Kristen Philipkoski(原文/miho)

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