iCloudレビュー:(今のところ)すごく便利だけど感動するほどすごくない

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「Cloud(クラウド)」は今や魔法の言葉。

そして「i(アイ)」は、ここ10年間テクノロジー業界の黄金の接頭辞です。そこに「iCloud」という聖なる言葉が組み合わさり、コンピューターの未来がそこにあるかのような、まさに黄金の魔法のような響きに聞こえます。

でもiCloud、今のところは実際はどう? うん、すごく便利! でもそれだけなんですよね。

まず...

「すべてをクラウド上で」実現する事はコンピューターの未来の姿だと思います。

すべてのデジタルデータがクラウド上に置かれて、どこからでも、どんなデバイスからでもアクセス可能で、フォルダ整理や保存、バックアップの心配から一切解放されます。

アップルが「クラウド」に飛び込んできたのは本当に歓迎することだし、アップルの手がけるクラウドは、魔法のように素晴らしいものになって欲しいと願っています。

実際使ってみて

iCloudは、突如アップルから閃光のように現れた「It just works.(とにかく使える)」サービスだけではありません。実際はかつてのMobileMeから引き継がれているものが多々あります。(もちろん)無料で、すでに持っている(はずの)Apple IDからiCloudをスタート、サインアップはとっても簡単です。

そして次は「設定」の嵐。iPhoneから同期したいもの(カレンダーや連絡先や写真など)を決め、さらに同じ事をコンピューターからも行う必要があります。そしてデータの同期・移行をの設定をしていきます。iOSとウェブサイト上の間で行っていくシステム環境設定は、自分のクラウド環境をコントロールするのに「すべてお任せ!」という状態には程遠いです。

その設定は「エレガント」とは言い難い、でも一度始めたら、メンテナンスも監視も一切必要としません。さらに別の一面としては、MobileMeでは、データの変更や更新の設定をきめ細かくコントロールして見ることができたのですが、それは完全にiCloudでは消えてしまいました。細かい設定を見たくても見えなくなってしまった感じです。

良いところ

宣伝文句通りiCloudはバックアップの心配から開放してくれます。

連絡先やカレンダーの予定、Eメールやアプリのデータ、その他すべてのiOSデバイスの中の膨大なデータを、安全な「空の上」のデータセンターに置く事ができます。

ガジェットの大惨事(iPhoneをトイレに落としちゃったとか、iPadを盗まれてしまった等)が起こってしまったとしても、いつでもどこでも「失った恋人」の完全なクローンとして、簡単にコンピューターから生き返らせることができます。

これまで使っていたiPhone 4の設定をiPhone 4Sへ完璧に、そして簡単に引き継ぐことが出来るのも、iCloudのおかけです。持っているすべてのデバイスに完全にクローンできるのは本当に素晴らしいし、iPhoneをUSBでコンピューターにつないで同期しとかなくちゃ...なんて、もう二度と思う必要が無くなって、アップルはこういった意味での「安らぎ」を与えてくれた感じですね。

さらに、iCloud.comから誰かの連絡先を削除すると、MacのアドレスブックとiPhoneの連絡先からもその誰かの連絡先がリアルタイムで消去されている様子を見るのは、純粋に面白くてニヤってしますよ。

さらに友達のiPhoneをちょっと借りてSiriからアドレスブックの名前を勝手に変更しちゃうととか、(かなり迷惑な)いたずらだって出来そうです。

すべてが完全にシームレスというわけではありませんが、iCloudはデータをかき集めてまとめておいてくれる。そしてそれはユーザーが必要としていたものです。iCloudはストレージを5GB以上必要としない限り、無料です。

微妙なところ

今のところでいうと、iCloudはいくつかの大事なポイントが欠けています。

なんで、これまで使い続けていたカレンダーを新しいiCloudカレンダーに移行する必要があるのか? なんで、iPhoneやiPadでPagesのドキュメントを編集する必要があるのか、なんでMacにあるドキュメントをピックアップできないのか? さらにフォトストリーム。

なんで、30日以内に撮影した写真しか同期しくれないのか? (なんで気に入っている写真をiCloudにシェアできないんだろう...)もし1年以上使ってきたiPhoneを失くした場合、数週間前の写真よりももっと昔の写真を無くすほうがショックは大きいと思うんですけどね。

さらに、フォトストリームから特定の写真を削除できないのはなんで? ちょっとスキャンダラスで危険な写真を撮ってしまって、うっかり同期しないように気をつけないとね...。

またMobileMeから移行してきた人にとっては致命的な点があります。MobileMeでは出来たMacとの同期という機能が無くなってしまっています。iDiskの代替手段は無く、アップルはDropboxのようなものを提供する予定はあるのでしょうか?(今のところ無さそうです)さらにSnow Leopardのサポートも今のところありません。

いろんな意味で、iCloudはちょっと貧弱。次世代コンピューターの始まりと捉えるなら、あと一歩足りない感じ。しかしながら(何度も言いますが)、そうはいってもこれはとても便利なサービスであることは間違いありません。

使うべき?

便利、そして無料なのだから、もちろん答えは「イエス」。コンピューターの未来を明るく照らす程のものでは無いにしろ、iCloudは素晴らしい無料のバックアップサービスです。

ただし日本ではiTunesの同期もできないのは非常に残念なところですが。すごく使えるサービスだけど、今のところ、自分のすべてのデータをiCloudで管理するにはまだまだですね。

mayumine(SAM BIDDLE 米版