ジェフ・ベゾスは次のスティーブ・ジョブズ

ジェフ・ベゾスは次のスティーブ・ジョブズ 1

ジェフ・ベゾスのKindle Fire発表ステージよかったですね。面白くて、記憶の襞に残るし、何よりも説得力があって、本当に売り名人。スティーブ・ジョブズの再来と思ったのはギズだけではないと思いますよ。

ステージを自分のペースで仕切るベゾスは、まるでサバンナに君臨するライオン

ウィットに富む洗練された語り口で、無料のTシャツ投げるみたいに無造作に洞察の爆弾を投げてきます。

ライバル(Hi, Apple!)をこき下ろすにしても狭量に思われる一歩手前で抑えるし、壇上で不測の事態が起こらぬよう(Hi, Microsoft!)すべて秒単位でリハーサル済みです。

あとステージに出っ放しじゃなく、言うべきこと言ってしまうとサッと消えちゃうのも新鮮でした。みんな飽きて靴脱いでブラブラやり出すまでドローン(無人偵察機)みたいにずっとステージ徘徊しても逆効果(Hi, Google!)なことが、よくわかってるんですね。

 

情報が事前にリークせぬようガードする手回しも良かったです。まあ、発表前にTechCrunchにはFireのスクープが出たし、eインク新端末発売の予想もありましたけど、まさかKindleに全く新しいファミリーが生まれるとは誰も思ってなかったんじゃないですかね。増してやそのハイエンド新タブレがたったの200ドルなんて...200ドル!

なもんだから発表終わった時には報道陣も購買左右するオピニオンリーダーもみな雷撃たれたようになってましたね。ジョブズのプレゼン後みたいに感覚が痺れて、すっかりベゾスの迫力に呑まれてしまってたんです。

なにしろベゾスは情熱が凄まじい。それは目で分かります。あの狂気と紙一重な熱が漲る目。彼の場合、相手を口先で騙してるんじゃなく、本当に信じてるんですよね。どんぴしゃなタイミングでどんぴしゃな製品を用意した、これしかない、そう本気で信じてるから、聞いてる方もそう思ってしまうんです。

セールスマンシップだけじゃないですよ。ここで書きたいのは「ジェフ・ベゾスは次のロン・ポピールだ」という話じゃないし。ベゾスは他の面でもアップル前CEOっぽいのです。

まず第1に創業者兼CEOだ、ということ。アマゾンは彼のものなのです。もちろん上場会社だから株主のものだけど、彼のビジョンの通りに進む、彼の心に従う、という意味で。アマゾンはジェフ・ベゾスなのです。彼なしでは、漂流してしまうでしょう。

第2にベゾスは勝負に出るタイミングを知っています。行く手を塞ぐステータス・クオ(現状)が邪魔と判断すればアマゾンはどんな分野にだって進出していく。あれだけの転回力を備えた大企業は滅多にないです。あまりにも新規ベンチャー参入の備えができているので、もともと一介のネット書店だったとは思えないほど。僕は前々から言ってるんですが、ベゾスって一般に思われてる以上に無謀な野心家なんですね。ジョブズ同様、自分から喜んでリスクをとるタイプの人です。

アマゾンは小売業から一転して、ウェブサービス全般を扱う会社になりました。データ保存しなきゃダメ?―AmazonのS3でできるよ。コンピュータ処理やってくれるホストが欲しい?―Amazon EC2試したら? 今ではNetflix、Reddit、Foursquareはじめ本当にたくさんのウェブがアマゾンのサービスを活用しています。

で、Kindleですよ。eブック市場の爆発的成長をただジッと待つベゾスではありませんよね。彼は自分から仕掛けていきました。ハード、ソフト、コンテンツの三位一体のエコシステムを土台から築いていったのです(What's up, iTunes?)

このエコシステム構築に関してはアマゾンの方がアップルより実は早業な面も。iPod発表の日、アップルはiPodにCDを何枚もつけて配りました。ほかに楽曲を予め端末に搭載し尚且つ合法に売る方法がなかったからです。iTunes Storeのオンライン販売開始は、それから実に2年半近く経ってからでした。

一方のKindleは、発表の初日からオンラインで本が買えましたからね。

しかもベゾスは発表する端末が毎回グレイトなんです。そりゃ初代Kindleは今の基準で見るとモサッとして高価でしたけどね。そんなこと言ったら初代iPodだって、ねぇ...。

「いやいや、ジョブズはアップルだけやってたわけじゃない。NeXTだってピクサーだってある。彼はコンピュータグラフィックス産業にも革命を起こした」...だよね。

まーしかしジェフ・ベゾスも2番目の会社は起業済みですからねー。そのうち月まで飛ぶんじゃないかな。

ジェフ・ベゾスは次のスティーブ・ジョブズ 2
Image Credit: Daily Mail

MAT HONAN(原文/satomi)