Oracleのラリー・エリソンのボートは風より速い

Oracleのラリー・エリソンのボートは風より速い 1

オラクル創業者ラリー・エリソンCEOはボートも趣味の延長超越してて、氏のチームの「USA-17」はなんと卓越風より速いんです、僅差じゃなく...2.5倍のぶっち切りで。

USA-17は、昨年BMWオラクルレーシングが第33回アメリカスカップ優勝を手にした時に出走したスループリグのレースセーリング用トリマラン(艇体が3つのカタマラン)です。水線は90フィート(27.4m)四方...ちょうど野球の内野ぐらいのサイズ。17トン分の水を押しのけて浮かびます。

デザインしたのはVPLP Yacht Design社。USA-17の素材は主に合成カーボンファイバーなので、これだけのサイズには不釣合いなほど超軽量かつ高速で、昨年のアメリカズカップでは5~10ノットの送り風でなんと19ノットという高記録を残しています。

  

船体は超軽量ハニカムの芯の周りを、厚さ1mmのカーボンエポキシ樹脂でラミネート加工したものを、大型オーブンの真空室で摂氏80度で8時間かけて焼いたもので造られてます。こうして手間暇かけて作るから異様に強く、硬く、軽い(これが一番重要)というわけ。急カーブを切ると船体に5トン分のトルク(回転力)がかかるので、そういう船体じゃないととてもじゃないけど持ち堪えられないんですね。

あと、ボンボン飛んでも困るので波を切って前に進むデザインになってます。USA-17の舳先はとても狭くて船尾ほど浮力がないので、波をプカプカ越えることはできなくて嫌でも切って前に進むしかない! その方がボンボン飛ぶより運航もスムーズだし、水の抵抗も低減できるのです。

USA-17の推進力の源は、高さ223フィート(68m)、重量7700ポンド(3493kg)の主翼。ここに重量3.5トンのカーボンファイバーとケブラー繊維のマストを張って風を拾います。なんと自由の女神より高く、地上に存するどの飛行機の翼よりも大きいんですよ!

ボートの翼の構造は飛行機の翼と同じです。唯一の違いは、垂直ではなく水平な推進力を生む、というところ。

上昇の力は翼のカーブのかかり加減で決まります。翼の角度はマストの回転で制御。後ろの方には2階建てビルほどの高さの翼が9個ついており、こちらは角度を別々に制御可能です。これらを総合してカーブを決めるんですね。

進路がずれそうになると、後ろの翼が飛行機の翼みたいに各々わかれてパタパタパタパタ羽ばたく(フラップする)ので、従来のウィングマスト&セイルの組み合わせより強い推進力が得られます。さらにこうしたフラップを調整すれば、マストの土台の方の翼を持ち上げる力を最大にしつつ、マストの上の方の翼にかかる力は減らすことができるので、傾く力(転覆の原因)を加えることなく大きなパワーを生むことができるんでございますよ。

因みに、一番大きな帆(メインセール)、前帆(ヘッドセール)、 ジェネカーを全部合わせると2万2000平方フィート(2044平方メートル)近い膨大な面積に!

これだけ大きいと壊れるパーツも相当な数になりますよね。訓練・レース中もボートにかかる圧力と重さを常時監視できるよう、センサは船体・マスト・帆の至るところに計250台も取り付けてあって、そこからクルーの手首のPDAにリアルタイムでデータが送られてくるんですってよ。ひゃー。

[New York Times - America's Cup - Wikipedia - Tom Speer]

ANDREW TARANTOLA(原文/satomi)