MobileMeからiCloudへ移行するとどうなる? その良し悪しと移行ステップを徹底解説!

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アップルはどこへ向かっていくのでしょうか?

iOS 5の公開に合わせて、とうとう始まったアップルの新クラウドサービス「iCloud」ですけど、これまで有料の「MobileMe」クラウドサービスを使い続けてきたユーザーにとっては、移行の選択を迫られる局面に入ったことを意味しますよね。

もちろん、すぐにMobileMeが打ち切られて使えなくなってしまうというわけではなく、来年の6月いっぱいまでは、引き続きMobileMeの全サービスの無料延長提供が保証されています。ただ、アップルはその先にはMobileMeの完全終了をアナウンスしているため、長期的に見るならば、やはりMobileMeユーザーはiCloudなり他の代替サービスなりに移行していかなければならないでしょうね。

どうしてこういうまどろっこしい歯切れの悪い言い方になっているかと申しますと、どうやらMobileMeからiCloudへと移行するのは、そんなにすべてがスムーズで簡単ではないようなのです。なんだか思ったより複雑で、中には移行に失敗してデータが消えちゃったり、予想外に使えなくなってしまったものがあったりもして、ちょっと困っちゃっているユーザーだって少なくないのかもしれませんよ。よくよく準備を整えてから、いざ移行への手続きに入るのが無難でしょうし、まずは関係する情報をまとめておさらいしておくことにいたしましょう...

  

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次々と変遷するアップル提供のクラウドサービスの流れの中で、MobileMeからiCloudへと移行して最も大きく変わるのは、これまでの年間利用料金9800円の有料サービスとしてデビューしたMobileMeとは異なり、iCloudの基本サービスは完全無料となっているポイントではないでしょうか。

おおっ、ということは、要はこれまで高い年会費を払わないと使えなかった高度なサービスが、いきなり無料になっちゃいましたよって話で最高だよね! そう手放しで喜んでしまいたいところではあるのですが、必ずしもまったく同じ有料サービスが無料提供スタイルに変更されたという意味ではないようなのです。

例えば、Macユーザーにとっては、iCloudの最低利用条件といたしまして、Mac OS X 10.7のLionとiOS 5の組み合わせを用意しないと十分には使えないようになってしまっています。まぁ、iOS 5に関しましては、iPhone 3GS、iPhone 4、iPhone 4S、第3世代と第4世代のiPod touch、iPadまたはiPad 2が対応デバイスとなりますので、まだ最初に日本で発売されたiPhone 3Gを使い続けているんだよねっていうユーザー以外は、ほぼ問題なく対応できると思うんですけど、Macのプラットフォームとしまして、Mac OS X 10.5のLeopardやMac OS X 10.6のSnow Leopardでは使えないというのは、結構やっぱり痛いポイントではないかなぁと感じてしまいますでしょうかね。

一方、Windowsユーザーにとっては、Windows VistaもしくはWindows 7がiCloudの最低利用条件と指定されており、これまたハードルが上がりましてWindows XPユーザーには使えなくなることを意味しています。また、Windowsユーザーには、Microsoft Outlookを少なくとも2007年版のバージョン以降にアップグレードすることが求められていますよ。iCloudコントロールパネルをWindowsにインストールして、iCloudが使えるようになるみたいですね。

他の利用条件といたしましては、iTunes 10.5へとアップグレードしておくことが求められています。iPhoto 9.2以降の最新バージョン、Aperture 3.2以降の最新バージョンも、ソフトウェアアップデートでバージョンアップを完了させておくか、Mac App Storeから最新版をダウンロードして用意しておくことにいたしましょう。

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ちなみにiCloudの基本となるストレージ容量は5GBが無料で用意されていますけど、これまで有料でMobileMeを使っていたユーザーが移行した時の特典といたしまして、自動で20GBが追加されて25GBのストレージ容量が最初から利用可能になっていますよ。

おおっ、ということは、特に何もしなくても、これまでMobileMeで利用していた全データを丸ごとiCloudへ移しちゃっても大丈夫ってことだよね...と思いたいところではあるのですが、これまた必ずしもそういう意味ではありません。ですから、とにかくまずはMobileMeで使っている全データをローカルにバックアップしておくことをお勧めいたしますよ。

このバックアップに関しましては、とにかく口をすっぱくして繰り返し絶対に実施が必要だと多くの移行ユーザーが感想を寄せてくれていますので、必ず面倒に思えたとしても行なっておいてくださいね。あわわ、どういうわけか手違いで、すべてのアドレス帳に登録されていた連絡先データがブッ飛んでしまったなんて悲惨な目に遭ったユーザーまでいらっしゃるみたいですよ。悪いことは言いません。転ばぬ先の杖で、移行前には忘れずにMobileMe上の全データを、万が一の時のために、どこかへ大切にバックアップしておくことにいたしましょう!

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さてさて、これまでMobileMeを使ってきたユーザーにとって最も気になるのは、要はiCloudへ移行しちゃうと何が使えなくなってしまうのかというポイントに尽きると思います。そして、ここがなんとも悩ましく思えてしまうユーザーは多いでしょうかね。

まず、最もこれは痛いよなって感じる打ち切られてしまう機能は「iDisk」ではないでしょうか。ここにありとあらゆるデータをアップしておいて、いろんな場所からシームレスにアクセスしては多種多彩なファイルを参照していたという使い方のユーザーにとって、これに完全に対応してくれる同等の機能がiCloudでは用意されていないというのは最大のショックに思えるでしょうね。

ですから、iDiskを重宝していたMobileMeユーザーは、何らかの代替サービスを他社で見つけるしかないのではないかと思われます。まぁ、有名どころはDropBoxなんでしょうけど、基本で用意される無料ストレージは2GBしかないというのが残念なポイントです。とはいえ、物は考えようでもありまして、これまで毎年の更新時に1万円近いお金をMobileMeに支払ってきたのであれば、ほぼ同額の年間99ドルをDropBoxに支払うことで50GBまでクラウドストレージ容量をアップできますから、そういう意味では同料金でiDiskの倍以上の容量が手に入っちゃうと割り切って、こちらへ鞍替えしてしまうのもアリかもしれませんよね。

あとこれまでMobileMeで「iWebへの公開」機能を利用してきたユーザーの皆さまにとっても、残念ながら、これに相当する機能はiCloudではまったく用意されておりません。ただ、こちらも代わりになる他社のウェブホスティングサービスさえ見つけることができれば、便利な移行ツールが用意されているので、それはうれしいところでしょうかね。FTPやSFTPによるアップロードを選択することで、あとはほぼ自動的に他社サービスへのサイトの移行が完了すると思いますよ。

それから、オンラインで写真アルバムを公開できる「MobileMeギャラリー」も、iCloudでは使えなくなってしまう機能になっています。こちらは面倒な作業になりそうですが、すべてFlickrやPicasaなどに写真をアップロードし直して移行するしかないでしょうかね。

さらに注意が必要なのは、「シンクサービス」として、MacのDashboardウィジェット、キーチェーン、Dockの項目やシステム環境設定などを複数のマシンで同期するためにMobileMeを使ってこられたユーザーは、iCloudのサービスへと移行したその日から一切のシンクサービスが使えなくなってしまいますので、先に利用を終えたことを確認後に移行手続きに入らないといけませんよ。

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ただ、ここまで上に紹介してきた各機能は特に使っていないか、すでに何とか他社の代替サービスを見つけて移行を終えているというユーザーにとっては、無料の新サービスとしてデビューしたiCloudに移行するとうれしいメリットのほうが多くなる可能性はありますね。MacやWindowsで対応する最新プラットフォームのユーザーであることが求められはしますけど...

例えば、MobileMeの「メール」機能は、ほぼそのままiCloudのメールにも引き継がれています。これまで「○○@mac.com」や「○○@me.com」などのメールアドレスを利用してきたユーザーも、そのまま基本的にはドメインネームを変えたりすることなく同じメールアドレスを使い続けることができますよ。「連絡先(コンタクト)」や「カレンダー」機能に関しましても、入力データが更新されると同時に自動的に他のデバイスでも最新情報がプッシュで同期される便利さはそのままですね。Safariの「ブックマーク」の同期機能、iPhoneやiPadの「メモ帳」アプリで作成したメモがMacでデフォルトのメールアカウントを通じて同期される機能なんかも健在ですよ。Windowsユーザーには使えない機能ですが、外出先などから自宅のMacへとアクセスし、簡単に遠隔操作ができる「どこでもMy Mac」機能も、MobileMeで人気のサービスだっただけに、しっかりとiCloudへも引き継がれていますね。

また、MobileMeにはなかったiCloudの新機能といたしましては、iPhotoと連携する「フォトストリーム」が挙げられています。iPhoneやiPad 2で撮影した過去30日以内の写真が、自動的にiPhotoのフォトストリームギャラリーへと表示されるようになるので、写真の管理には便利でしょうね。あとMacの文書作成ソフトウェアのPagesを使って作られたドキュメントを、他のPagesがインストールされているデバイスから自由にアクセスして閲覧編集可能な「Documents in the Cloud」機能も、一部のユーザーには重宝されることになるかもしれませんよね。

これまで無料で提供されていた「iPhoneを探す」機能には、いざという時に本当にお世話になったというユーザーも多いかもしれませんが、引き続きiCloudで利用可能となっています。このiPhoneを探すを使い続けるためだけであったとしても、iCloudの利用価値は非常に大きいのではないでしょうかね。同じくWi-Fiのアクセスポイントの位置情報などから、iPhoneを探す機能のような感覚で紛失してしまったMacを探し出してくれる「Find my Mac」機能なんかも、iCloudの強力なサービスとなりそうです。遠隔操作で行方不明になってしまったMacをロックしたり、いざという場合にはデータ消去まで実行できてしまいますよ。

あと目新しい機能としましては、主にiOS 5の新機能によるところが大きいのですが、iCloud内のみで「バックアップと復元」ができてしまう特徴が備わるようになりましたよ。これまで定期的にiTunesへ接続して、iPhoneやiPadのバックアップを行なってきたという人も、iOS 5の設定からiCloudへのバックアップをオンにすると、今後はいちいちiTunesに接続してバックアップを取る必要はなくなります。ただ、クラウド上でワイヤレスにバックアップが取れちゃうのは便利ではありますが、特にiPhoneやiPad 2で非常に多くの写真を撮影していますというユーザーにとっては、iCloud上の5GBの無料ストレージ容量の空きがすぐになくなってしまいそうなので要注意でしょうかね。

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ここまでMobileMeとiCloudを比較しながらまとめてきましたが、iCloudへの移行の良し悪しを十分におさらいできて、きちんとこれまでのクラウド上のデータのバックアップも取れていますよという段階になったら、いよいよ実際の移行の手続きへと進むことになります。

といいましても、必要情報を入力しさえすれば、実際のデータ移行作業はアップルのサーバーが実施してくれますので、そんなに難しいことはありません。新たにMacやWindows(iCloudコントロールパネルを先にインストールしておく必要がある)からiCloudを開いて、MobileMeアカウントをApple IDとして登録してしまえば、あとは自動で無事に全データがMobileMeからiCloudへと問題なく移行されるのを祈りながら待つだけでしょうかね。

その後はiOS 5の設定画面からApple IDを入力してiCloudの利用を開始すれば、実際に同期したい項目を選んでオンにするだけで、iCloudからデータがプッシュ配信されてくるようになりますよ。iPhotoユーザーの方は、左側に表示されるフォトストリームのオプションから設定を行なっておきましょう。これまでインターネット上では「MobileMe.com」を入力してアクセスするのが習慣になっていたかもしれませんが、これからは「iCloud.com」でございますよ~

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いかがでしたか? これまでのアップルの変遷するクラウドサービス提供の歴史を振り返ってみますと、まずは早くも10年以上前に「iTools」を立ち上げた後、2002年には「.Mac」をスタートさせていました。そして、日本ではiPhone 3Gの発売と同時に2008年からMobileMeの利用を始めたというユーザーも少なくないかもしれませんけど、今回のiCloudへと3年で移行のタイミングを迎えていますね。むむむ、ということは、もしかするとiCloudもそのうちリニューアルされて、またアップルから次世代のクラウドサービスが登場するのも時間の問題ではあるのかもしれませんよね。

まだ今回はMobileMeを来年の6月末まで使える状態が続くので、しばらくはiCloudと併走する感じにはなりますけど、もう思い切ってMobileMeの全データサービスの移行を終えて、ちょっとがんばってメンバーシップのキャンセルと返金手続きに挑んでみるというのもお勧めですよ! アップルもiCloudへの移行手続きを説明した公式ページ上にて「MobileMeのメンバーシップはいつでもキャンセルでき、料金を支払ったメンバーシップの未使用期間分に対する返金を受けることができます」との説明を載せてくれています。まだ少しでもMobileMeの有料利用期間が残っているという人には、返金で心ばかりの自分へのボーナスを受け取るチャンスがありますからね...

Roberto Baldwin(米版/湯木進悟)