なぜ今Megaupload摘発なのか?

なぜ今Megaupload摘発なのか? 1

米連邦政府が各国警察の協力を得てMegaupload.comを閉鎖しました。オンラインストレージ業界には他にもHulkShare、MediaFire、YouSendItなど不問に付されてる会社が沢山あります。どこもウェブ共有を繋ぐ場なのに、今日も何事もなかったかのように営業中です(翻訳段階)。

なぜMegaupload(メガアップロード)が閉鎖されたのに彼等は無事なのか? 

Megauploadは2005年からあるのに、なぜ今頃になって摘発なのか? 

ちょっと考えてみました。

なぜMegaUploadが狙われたのか?

他社はMegauploadほど手広くないし、もっと賢くやってるってこともありますけど、やはり一番の要因は、どこもあんな麻薬キングみたいなどんぶり勘定のザル経営じゃなかったという、これに尽きます。

司法省は起訴状にMegauploadの行状を72ページに渡って延々と並べ立て、「これはMegauploadならぬMega Conspiracyだ」と告発しました。訴状から浮き彫りになるのは絵に描いたような放漫経営と途方もない金が動いていた実態です。

前科者の巨漢ミリオネア、キム・ドットコムの指揮の下、経営陣は大陸を股にかけ楽曲・TV・映画等の違法ファイルを売りに荒稼ぎしていました。公然と。違法アップロード最多のユーザーには褒美を与え、儲けた金はサイトを通してロンダリング、バカなことに散財...当局はそのすべてを記録に残していたのです。

 

Megauploadに白羽の矢が立ったのは、無論その経営規模もあります。

「1日のビジター数5000万人、インターネットの全トラフィックの4%を遣うメガサイト」(訴状)ですから、嫌でも目につきますよね。他を狙っても良かったのだけど、やはり「広告収入で何百万ドル(何億円)と儲け、それで著作権保有者に5億ドル(386億円)の損害をもたらした」(同)Megauploadが一番目立った..と。この強制捜査前に米国映画協会(MPAA)が米法務省に出した被害額の見積もりは「かなり大げさな数だ」という報道もありますけどね...。

この経営ボリュームひとつとっても司法省知財タスクフォースの注意を引くのには十分だし、そうと狙いが定まれば、あとは早いです。連邦捜査局が怪しい行状をうんと集めりゃいいだけ。容疑固めに時間はかかりませんでした。

 MegaUploadは著作権違反のお宝をサイトにアップロードさせて広めることを意識的にやっていた、と訴状にはあります。サーバーに違法な動画・楽曲があることは知っていたのだけど、それを可能な限りダウンロードさせて広告収入を最大化したかった、だからユーザーに賄賂払って広めるお手伝いをさせていた、っていうんですね。

Megaupload.comへのリンクをネット中に広め、Mega Conspiracyのサーバーに人気コンテンツの在庫を確保できるよう、Mega Conspiracy側ではリンクサイトにリンクをはったユーザーに金銭的インセンティブを渡す「Uploader Rewards」というプログラムを有料プレミアム会員向けに行なっていた(訴状より)

このRewards(謝礼)は有料アカウントへのアップグレード(ダウンロード速度が高速化する)や現金で支払われていました。

 

MegaUploadのメガマネーは米・欧・ニュージーランにまたがるコード作成チームの働きのお陰で何百万ドル単位で香港、ヴァージニア、ジョージアの間を飛び交いました。その一部はMegauploadの事業拡大やスーパーユーザー(上客)に還元され、また資金の膨大なプールが資金洗浄に使われていた疑いもかかっています。

因みに創業者キム・ドットコムは2010年だけで4200万ドル(32億円) の稼ぎ。昨年秋にはニュージーランドに居住権をとって3000万ドル(23億円)の豪邸購入に認可をもらうため、50万ドル(3850万円)の私財を投じてオークランドの子供たちのために花火大会を開き、当局の心証を良くしました(贈賄と言えなくもない)。その放蕩ぶりはFBIでも有名。どうせ摘発するなら地味なHulkShare狙うより、地球を何周もマネーロンダリングして花火あげてるあいつ狙う方が世の中も納得してくれる...と思ったんでしょう。

なぜ今頃になって?

それはわかるのだけどMegauploadの暗躍、ドットコムの金満ライフは何年も前からのこと。なぜ今頃になって動き出したんでしょう?

その辺のことを司法省のIPタスクフォースに取材してみたのですが、まだ返事はいただけていません。やっぱりこのタイミングに関してはSOPAが無関係じゃないかもしれませんね...。CNETのMolly Wood記者はこう書いてます。

私が内部のソース複数から聞いた話では、今回のMegauploadの逮捕は偶然ではないみたいよ。彼等が言うには、連邦政府はSOPA/PIPAの敗北が明らかになって、ウェブで少なからぬ辱めを受けた後で喧嘩したくてウズウズしていた、らしい。サイバー摘発の正当性をアピールしたかったら、みんなに人気のネットのブギーマン、アノニマスにご登場願って、サイバーテロ派手に展開してもらうのが一番、でしょ?

当然、Megauploadの一斉摘発はアノニマスの注意を引き、当日のうちにDoJ.govが落ちRIAAが落ちてMPAA.orgが落ち米国特許庁、EM、FBIも続々ダウン...「アノニマス史上最大のDDoS報復攻撃」(ロシアンタイムズ)に発展。現在もCBSがダウン中(翻訳段階)。報復はいつ果てるともなく続いてます。

米捜査当局(特に知的所有権取締担当)はMegauploadのようなサイトを潰す権限の拡大を望んでいます。しかしネットの大がかりな反対運動で、それを実現するはずのSOPAの法案化の目処が立たなくなってきた...だからこうして一番目立つターゲットに狙いを定めて万人の見守る前で炎上陥落さした、と。SOPAの仇をMegauploadで討った、というんですね。

もしそれが本当なら米司法省は真逆の結果をもたらしたことになります。SOPA抜きでMegauploadを即死させることで、「あんな法案そもそも最初から要らなかったんじゃないの?」という反対派の主張に大きな好材料を与えてしまったのですから...。

ウィキペディアが24時間SOPA抗議ストライキした翌日にMegaUploadが閉鎖となり、アノニマスの報復でFBI等が続々ダウン...と、先週はまさに著作権戦争の1週間となったわけですが、著作権違反キングへの核爆弾投下を大々的にやったことで「これより強い爆弾は要らない」という世論に図らずも加勢してしまったかたちです。

Original photo: Amy Walters/Shutterstock

SAM BIDDLE(原文/satomi)