フェイスブックの大型IPOで一般投資家は儲かるの?

フェイスブックの大型IPOで一般投資家は儲かるの? 1

フェイスブックが新規株式公開(IPO)を申請したニュースで巷はもちきり!

グーグルの調達額約19億ドルを余裕で上回る約50億ドル(約3800億円)の調達...となれば、「どれいっちょワシも株買おうかな」と意気込んじゃいますよねー。

でもフェイスブック株って一般投資家はあんまり儲からないって話も...理由をご説明しましょう。

IPOって何?

IPOは「Initial Public Offering」の略。 会社が株式市場に出る、デビューしますよ、って意味です。なぜIPOするのか? そりゃもちろん、ものすごく速く、ものすごく沢山のお金を集めるチャンスが欲しいから! 基本的にはこれに尽きます。

今回の場合、フェイスブックは50億ドル分の株を社外投資家に売って、集まったお金で事業拡張したりヨットを買う...というわけですね。

50億ドルっていうと途方も無い大金に見えるけど、実は前々から噂されてた調達額のざっと半分(直前の噂より前って意味ね)。上場後フェイスブックの評価額は1000億ドル(約7.6兆円)にも上る勢いって言われてますから...それを考えるとケチな額...。評価額750億ドル~1000億ドルにもなる企業が50億ドルを売りに出す..なんでそんなに少ないの? ...って思っちゃいますよね。

これはたぶん、あんまりIPOの調達計画を高く張り込んで集まらなかった場合メンツ丸潰れになっちゃうので、低~めに設定したんでしょね。お見合いで高望みし過ぎてもデートのお相手が見つからないのと一緒で。

 

フェイスブック株はいつ買える? 今日から?

いや、まだです。1日(米時間)はフェイスブックが米証券取引委員会(SEC)にIPOに向け目論見書を提出しただけですよ。

この目論見書(S-1フォーム、S-1書類)には、これまで謎だったフェイスブックの財務状況、業績予想、今後の競争見通しが全部書かれているので金融関係者にとっては垂涎モノ...みんなSECのサイトに公開になるのを目にマッチ棒かって夜遅くまで待ってるんで、WSJが「もう寝ろ」と呼びかけたりして、サイトに出たら普段の100杯のトラフィックが殺到してSECのサーバが遅くなったり、大変な騒ぎとなりました。S-1の見どころはQUORAに速攻でまとめが出てます(社内資料&野次馬っぽくて面白い)。

あと、これまで見る人によって価値がガタガタに上下していたフェイスブックの評価額、これもIPOで明らかになります。フェイスブック自身が自社の価値をどう評価しているのか。というか、投資銀行(主幹事モルガンスタンレー +数社)がどう評価してるのか、ですかね。

ここで言ってる「価値」というのは、フェイスブックが銀行に貯め込んでる残高とか事業収入じゃないですよ。1000億ドルという途方も無い評価額―これは言うなれば当てずっぽう...実体のないものです。このまま成長していけばそのうちフェイスブックどれぐらいまで行くかな? ...という予想に基づく価値なのですね。因みにフェイスブックは株価収益率(P/E、和表記PER)が約100倍――儲けの割には評価が異様に高いのです。

目論見書の提出後は「沈黙期間(quiet period)」なるものがあり、SECがその間に内容の裏を取ります。なので1日に全書類提出したとすれば株式公開はその数ヶ月先。薫風かおる5月頃にはPOKEとかFBとかのティッカーシンボルつけてデビューとなります。

つまり公開になったらフェイスブック株買えるのね?

いやごめん、これもたぶんない。50億ドルの大半はもう行き先が決まっているかもです。

これは忘れがちなことだけど、フェイスブック株はもう沢山存在するんですね。社員の持ち株とかは随分前からセカンダリー・マーケット(未公開株市場)で取引きされてます。

どういう人たちが持っているのか? これについては1年前にゴールドマン・サックスからリークしたフェイスブック株主の持株配分を、Learnvestが円グラフに直したものがございます。

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1日提出した目論見書にある数値(ここ)とは若干違います(マーク・ザッカーバーグは実は28.4%も抱え持ってることがわかった!)けど、この円グラフでわかるのは以下2点です。

1. 超リッチになるのは、この円グラフの中の面々

  この数字が出た当時の企業価値は500億ドルなので、今はその倍。上場になったら、この初期投資した人たちは投資が○○○○倍になって返ってくる! 刈り入れの時を迎えます。残りのその他大勢は「2004年のグーグルIPOみたいにフェイスブックも宇宙の果てまで飛び立っておくれ」と祈りつつヤマをはることに。(ただしグーグルはIPOまでの期間がフェイスブックより短かったという違いがあります。「IPO時1株85ドルだったのが現在580ドルで、時価総額は2000億ドルに迫る勢い―このグーグル株並みのパフォーマンスを確保しようとしたらフェイスブックは世界初の7兆ドル企業にならなきゃいけない」とロイターは書いてます)。

2. フェイスブックに賭けてやるぜ! と思っても前途には長い長い列

 IPOのプロセスは民主的ではありません。自社の価値がいくらで、何株を、何ドルでオファーするのか? それをフェイスブックが決めるお手伝いをする銀行は、なにも手数料だけが欲しくてそこにいるんじゃないのです(手数料も侮れない大金だけど)。 大手機関投資家 ―天下のフィデリティとバンガード― に最初の分け前をオファーする権利...それが欲しくて注目株には馳せ参じるんですね。フェイスブックほどの注目株は近年なかったですし。

つまりどういうことか?

APによると、大型IPOは通常ですと機関投資家がワッときて巷の投資家が手をつける前に最大9割持ってっちゃう! 巷の投資家の中でも僕・あなたよりずっと懐が豊かな人たちに回ってしまう可能性が高いんですね。

無論、株はいずれ売りに出されます。「こんくらい上がったら売り時だな」と大口投資家が判断した時点で売りに出されて、彼らはリッチになります。まあ...当たり前の話だけど...。

自分には関係ない話?

短期では、あんまり影響はないかもね。少なくとも金融という観点では、一般人にはあんまり関係ない話でしょう。ユーザー8億人がもっと沢山の株を買えるよう、フェイスブックがなにか型破りなことでもしない限り、普通の人にはあんまり株も回ってきませんし。大放出も考えられないことではないですが、やっとこうして何十億ドルという大金が手に入るゴールまで秒読み体制に入ったんです。今はひたすら波風立てず穏便に乗り切りたいところでしょう。

ただし長期では、フェイスブックの上場はかなり大きな影響を及ぼしていくでしょう。上場してない企業なら自分たちの好きなように経営できる贅沢もあります。短期の損得勘定より、もっと長期の戦略にフォーカスできる。でも上場企業となると3ヶ月に一度は株主のお金がなぜ増えた(減った)か四半期報告で説明しなきゃならないし、その種のプレッシャーがかかると成功の原点見失ってしまうんじゃ...という危惧もあるわけです。殊にフェイスブックはもっとユーザーから利益を絞り取れって投資家にやかましく言われそうだし。

フェイスブックの売上はものすごい額ですけど、それでも予想をかなり下回ってますから、急成長の方策が見つからなかった場合、地獄を見ることになります。マネタイズを優先してユーザーの情報に首突っ込み過ぎると、プライバシーやオープングラフの問題にまた油を注ぐ恐れもあるし、その辺の兼ね合いをどうするか...。

...とまあ遥か先を見越すと前途多難なわけですが、1日のS-1では2011年純利益が前年比65%増の10億ドルを記録するなど、結構な数字を出してます。5月には対パーム投資でヤマを外したU2のボノがガッポリ大儲けることは必定ですねー乾杯~♪ ...そういうの見てるうちにあなたの財布の紐も...防空頭巾被ってフェイスブック&モルスタの逆襲に備えよ!

BRIAN BARRETT(原文/satomi)