1世紀もの時を超えて...ゴッホの作品が新たに発見される

1世紀もの時を超えて...ゴッホの作品が新たに発見される 1

Still life with roses and field flowers(薔薇と野花の静物画)

それが、作者不詳だったこの絵画につけられた名前でした。9年間にもおよぶ調査の末、科学者たちはマクロスキャニングX線蛍光分光法という新しいテクノロジーを使って、ようやく本当の作者を知ることになります。

その名は、フィンセント・ファン・ゴッホ

この絵は、ゴッホにしては珍しい作品です。まず、9.3×31.4インチ(100×80cm)というサイズはオランダの画家にしては大きすぎること。そしてモチーフとなったも、それが描かれた当時のゴッホの絵画と比較するとかなり大きいことが挙げられます。専門家たちは、ゴッホがポスト印象派への関心を高めていたのではないかと考えています。

発端

「Still life with roses and field flowers(薔薇と野花の静物画)」にまつわる物語は、1885年11月までさかのぼります。ゴッホがちょうどベルギーのアントワープへ渡った頃ですね。彼はアントワープ・アカデミーに入り、そこで大きなカンバスを使うようにと言われていました。

その後、1月22日に弟テオへ宛てた手紙の中で「『a big thing with two naked torsos, two wrestlers(2つの裸のトルソー、二人のレスラーの一大事)』という作品を描いたよ。とても気に入ってるんだ」と記しています。

ゴッホは1886年2月、パリへ渡ります。それは弟と過ごすためだったのですが、いつもどおり金欠に陥り、古い絵画...つまりレスラーの上に静物画を描いていました(これまでも、彼はお金のないときには同じようにしていました)。

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この静物画はいくつかの個人所蔵を経て1974年に再度その姿を現します。ゴッホに関するコレクションで世界的にも有名なクレラー・ミューラー美術館は、なんとこの絵画が作者不詳であるにもかかわらずその所蔵を申し出たのです。

1998年になると、X線による調査で静物画の下からレスラーが姿を現します。「これはゴッホが弟への手紙で言及していた例の作品ではないか?」当時すでにそう確信していた人もいたそうですが、証拠としての決定打にはならず2003年まで公式には「作者不詳」のままにしていたそう。

しかしその9年後。デルフト工科大学、アントワープ大学、そしてドイツ電子シンクロトロン(DESY)から研究者を集めたチームがマクロスキャニングX線蛍光分光法を用い、本当にゴッホの作品であることがはじめて鑑定できたのです。

最初にレスラーの筆致や色彩を詳細に分析したところ、アントワープ・アカデミー時代のゴッホの絵画と完全に一致することが立証されました。花の絵画もサイズや構成は違うものの、同一の作者とみてよいだろうと結論づけられたようです。

この絵画は、クレラー・ミューラー美術館の所蔵するゴッホコレクションとともに恒久展示されるそう。ようやくいるべき場所に戻ってこれて、作品もゴッホもさぞかし喜んでいることでしょう。

それにしてもクレラー・ミューラー美術館、おそるべき審美眼ですね!

[KMM]

Jesus Diaz(米版/Rumi)