YouTubeで2億回再生。ソーシャルメディアで世界デビューに漕ぎつけたアーティスト「Karmin」の成功の裏を覗く!(動画あり)

2012.03.28 11:00
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YouTubeでバイラルヒットし、そこからメジャーデビュー... そんな夢みたいな話あるんですね。

今注目されているアメリカ出身の新人アーティスト、「Karmin(カーミン)」。彼らは素晴らしい歌唱力はもちろん、何とも興味深い経歴を持っているんです。検索に引っかかるよう、大物アーティストの曲を多数カバーし、そのビデオをYouTubeにアップロードし続けていたんですが、するとそれがバイラルヒットに繋がり、Sony Musicからデビューすることが決まったんですって。もちろん、カバーと言っても殆どがリメイクと呼べるほど、彼らのオリジナル色が強いものなんですよね。

今回、そんなKarminと彼らのマネージャーがギズの独占インタビューに応じてくれましたよ。YouTubeが1つの大きなメディアとして認知されている今、このようなプロモーションをとった裏にはどのような過程があったのでしょうか。サクセスストーリーの舞台裏を覗いてみましょう。まずはマネージャーさんに話を聞いてみましたよ。
 


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ギズモード(以下ギズ):それでは今日は宜しくお願いします。

ニルズ・ガムズ(Nils Gums 以後ニルズ):宜しくお願いします!

ギズ:もともとどのような経緯でKarminのマネージメントを担当することになったんですか?

ニルズ:もともとバークリー音楽大学のゴスペルクワイアでエイミーと出会って友達になって。そのあと私が先に卒業して、ユニバーサルミュージックのデジタルモバイル部門でYouTubeと密に仕事をしていました。その時私はYouTubeを使ってアーティストのプロモーションを行っていたんですが、エイミーとニックに、有名アーティストの曲をカバーしてYouTubeにアップロードすることを提案してみたんです。彼らの音楽性は素晴らしく、私はそれを信頼していましたし、自信もありましたからね。


YouTubeを使ったプロモーションが大成功


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ギズ:そのアイディアは以前から持っていたものなんですか?

ニルズ:前述したようにユニバーサルミュージック時代に多くのアーティストのプロモーションを手がけてきました。YouTubeを使ってね。ただ今回のKarminの場合、カバーなんですが、彼らのオリジナルサウンドがしっかりとベースになっています。

ギズ:それではカバーだけをYouTubeにアップしていたんですか?

ニルズ:オリジナルもアップしていましたよ。毎週カバー2曲とオリジナル1曲の動画を撮影して公開するという課題を与えました。ちゃんとオリジナルソングも作ることで、単なる「カバーをするアーティスト」ではないということを示し、そしてKarminに興味を持った人がKarminのオリジナルソングに出会えるチャンスを増やしていく、ということが必要でしたからね。

ギズ:YouTubeにカバーソングをアップしプロモーションすることを思いついたとき、勝算などはあったのですか。

ニルズ:もちろんその時にどうなっていくか確証はありませんでした。今までの経験からそれなりのビュー数を得ることができるとは思っていましたが、今回のように8カ月で2億ビューのようなバイラルヒットになるとは考えもしなかったです。

 ただ、今回のようにバイラルヒットした時の次のステップの準備もちゃんとしていて、例えば音源をダウンロードしてもらえるように配信する準備もしていたし、カバーの音源を無料で配信する、メーリングリストで情報発信など、ビジネス戦略をちゃんと構築していました。なので、一発屋ではなく次に繋がる展開ができたのではないかと思っています。



ギズ:こうやって2人が一躍有名になった今、マネージメントのタスクも以前と比べて急激に増えたのではないでしょうか。有名になった2人ももちろんそうですが、ニルズさん自身を取り巻く環境も変わったかと思います。実際に今どんな気持ちですか?

ニルズ:はじめは友達として、ただただ助けたいだけでした。マネージメントというよりはアーティストを育てる・広めることに特化していたように思います。実際にクリス・ブラウン(Chris Brown)のLook at Me Nowも私がカバーしてみたら? って提案したんです。提案というよりゴリ押しだったんですけどね(笑)。あの曲をケイティ・ペリー似の白人の女の子が1テイクで歌い上げれば、絶対話題になるという自信がありました。

ギズ:結果は大成功でしたね!

ニルズ:でも始め2人は結構躊躇していたんですよね。というのも放送禁止用語が多く使われていたので。そして、今回のようにバイラルヒットした今、凄く大きなビジネスの話も来るようになりました。有名なテレビ司会者、カニエ・ウェスト(Kanye West)やティンバーランド(Timberland)などの大物からもね。そこで今度はアーティストのマネージメントもしていこうと思うようになりました。



ギズ:次にどんな切り口でプロモーション活動をしていくか、アイディアはもうあるんですか?

ニルズYouTubeでカバーをアップするのはもう少しだけ続けたいと思っています。その後はこの戦略から離れ、Karminのオリジナルソングに移行していきます。今回もSonyのキャンペーンの一環である、MAKE TVの番組内でオリジナルソング「Crash Your Party」披露したりと、次のステップに繋がる大きな要素がありましたね。

 またTwitterでも今まではカバー曲のことについてのツイートがほとんどでしたが、最近はカバーソングについてではなく、オリジナルソングの話題が増えてきたりと、変化も出始めています。そこで、その辺りも見極めてソーシャルメディア上で新しい戦略を練っていければなと思っています。


今回のバイラルヒットを考察してみる


ギズ:アメリカにおいてYouTubeの影響力ってTV同等かそれ以上のものになっているんでしょうか?

20120319maneger33.jpgニルズ:確かにものによってはテレビよりも多くの人に見られているものもあります。

 Karminの場合、YouTubeでヒットしましたけど、ラジオで特別ヒットしたわけではありません。でも、学園祭でライブをする際に、ラジオでヒットしたものと同等のギャラを請求することができます。そう考えると、YouTubeの影響力が増してきているというのは正しいかもしれませんね。

<ギズ:クリス・ブラウンのLook at Me Nowって比較的都市部の人たちに支持される曲だと思いますが、今回の場合どのように広がっていったんでしょうか。都市部でまず火がつき、地方に広がったのか、それとも都市部・地方関係なく広がったんでしょうか?

ニルズ:あのカバービデオの初めの100から200ビューはテクノロジー系に精通している人のものでしたね。ブログなどでも取り上げて貰ったんです(ギズモード系のサイトですね!)。それからヒップホップ専門サイトで紹介されましたね。何せ白人の女の子がバスタ・ライムスのラップを1テイクで歌い上げていますからね。

 そこからマスメディアなどに広がっていきました。アップロードして1日経った段階では1万3000〜1万5000ビューぐらいでしたが、2日目には一気に100万ビューまで増えていましたね。普段クリス・ブラウンのような音楽を聴かない人にも、話題性で広がっていったというのも大きいと思います。実際にクリス・ブラウンからお礼も言われたんですよ!

ギズ:すごい、2日目には100万ビューですか...。大変貴重なお話、有り難うございました!


いかがでしたか? いかに彼らの戦略が計算し尽くされているのかがわかってもらえたのではないでしょうか。YouTubeで2億ビューという数字が出るとは予想していなかったとはいえ、そんな数字が出たときのための準備もしっかりしている辺りからみて、デビューに漕ぎ着けたのも、彼らにとっては当然の結果だったのかもしれませんね


自信があったからこそできたカバー


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ギズ:先ほどマネージャーのニルズさんにインタビューさせてもらったんですが、今からはKarminの2人に色々聞いていきますねー。宜しくお願いします!

Karmin:宜しくね!

ギズ:はじめにマネージャーのニルズさんからYouTubeにカバーソングをアップすることを聞かされたとき、何を感じましたか? 今だからこそ言えるエピソードなどはありますか?

ニック・ヌーナン(Nick Noonan 以後ニック):まず始めに。そのマネージャー、2日前に出会ったばっかりなんだ。だからプロフィールにあるみたいに、大学で出会ったというのも噓なんだ... って冗談だよ!(笑)

20120312karmin3.jpg何か新しいこと・戦略をやっていかなきゃっていうのはあったんだよね。カバーをしていくというのも1つの手だけど、一般的にカバーソングでヒットすると、「カバーのアーティスト」とカテゴライズされるよね。だからそれを恐れて多くのアーティストはあまりこの戦略はとらないと思うけど、僕たちはオリジナルソングの自信があったからできたんだ。

ギズ:抵抗などはなかったんですか?

ニックビートルズホイットニー・ヒューストンみたいな偉大なアーティストもいろんなカバー作品を出してるよね。僕たちもカバーに対して少し懐疑的な部分もあったんだけど、やっているうちにカバーなんだけど自分たちの「らしさ」が出てきて、それを表現する面白さみたいなものも感じるようになったね。ごめん、べらべらと喋っちゃった! 次の質問からもっと短くするね!

ギズ:時間はたっぷりあるんでいっぱい喋ってくださいね(笑)それでは次の質問に。ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)もデビューのきっかけはYouTubeに投稿したビデオと聞きましたが、そういうケースはアメリカでは増えてきているんでしょうか。またこれからどうなっていくと思いますか?

エイミー・ハイデマン(Amy Heidemann 以後エイミー):(ちょっと早口で)最近はすごい増えてると思う。でもYouTubeでヒットしても、そこからラジオで放送されたりデビューしたり、っていうケースは少ないと思うの。はい以上

ギズ:時間は気にしないでって言ったでしょ(笑)。では具体的にソーシャルメディアをどう活用したんでしょうか。

ニック:10年前まではファンと直接コミュニケーションをとることがあまりなかったと思う。でも今はそれができる。直接的にね。アーティストとして、ファンが何を考えてるか、何を求めているのかを取り入れていくのはとても大切なことだと思うし、大事にしていきたいよね。

エイミーTwitterは私がよくやってるわ。ファンから送られてくるスイートなメッセージや、可愛い画像つき(髪型とかシャツとか)のメッセージとか、ファンとすごく密接に繋がってる気がするの。1日あたり大体7回ぐらいツイートするかなぁ。もちろん近すぎる関係にはなってはだめなので、そこも考えてコミュニケーションするようにしているわ。


心に響く音楽を作りたい


ギズ:YouTubeには多数のカバー曲をアップされてますよね(総再生回数2億回以上!)。中でも話題を呼んだ、クリス・ブラウンのLook at Me Nowのカバーに出てくる高速ラップですが、だいぶ練習されたのでは?

エイミー:実は2日間しか時間がなかったの。で、放送禁止用語を違う言葉に書き換えたり、新しくメロディをつけてアレンジしたりしたから結構大変だったかも。ビデオの撮影中は(高速ラップパートの)それぞれのフレーズの頭文字を書いたカンペをカメラの上に置いたわ。今はもう覚えてるけどね!

ギズ:アメリカでもデビューされたばかりで、しかも日本ではまだデビューされていないですが、こうやって今回のSonyさんのmake.believe(メイク・ドット・ビリーブ)キャンペーンで起用されて地上波に出るってどんな気持ちですか?

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ニック:それって凄いことなんだよね。

エイミー:デビューする前からこうやってキャンペーンに起用してもらえるなんて、すごく光栄に思ってるわ。

ニック:はじめ日本の番組に出るって聞いたときは、日本のバラエティ番組みたいに裸にさせられたりするんじゃない? って話してたんだ(笑)。...冗談はさておき、全てが綿密に打ち合わされているんだなぁって強く思ったよ。スケジューリングもそうだし、リハーサルも何回も重ねてね。ちゃんとオーガナイズされていて、本当にエキスパートなんだって感じたよ。



ギズ:Karminにとって一番欠かせない音楽ツールはなんですか?(楽器でもソフトでもスピリッツでも何でもいいです)

ニック:難しい質問だね。えーと、一番大事なのは「心に響かせる」ことだね。アデル(Adele)やカニエ(Kanye West)の作品ってそうじゃない? 心に訴えかけるという感じが。キャッチーなビートやポップさももちろん大事だと思うんだけど、結局本質的に一番何が大事? ってなったら、やっぱり「心に響く音楽を作る」ってことだよね。

ギズ:そもそも急激に2人を取り巻く環境が変わったと思いますが、それによる心境の変化はありますか?

エイミー:1年前の私たちはボストンの小さなアパートにいたわ。でも今は日本にいるね!

ニック:寿司も日本の方が美味しいしね(笑)。全てがすごく早く過ぎたよ。変化を自覚する間もなくてね。Look at Me Nowを去年の4月12日にアップして、次の日には1000通ぐらいの問い合わせメールが来てた。そこから全部が早く進んでいった。毎日本当に感謝して生きてる。でも何だろ、環境が変わってまだ信じられないとか、変な感じはそんなにしないんだよね。すごく自然なんだ

ギズ:今後の大きな目標とかゴールって何でしょう?

ニック僕らが作れる最高の音楽を作り続けたいよね。

エイミー:本当にそうね。実はKarminの名前には「karma(カルマ、縁、宿命)」という言葉も込められているんだけど、私たちの音楽で世界を明るくしたいな。人々をハッピーにしたい!

ニック:そうだね、そして皆の心を動かしたい


キーボードってガジェット?


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ギズ:ちょっと違うジャンルの質問を...。ギズモード好きですか?(笑)

エイミーニック:...イエス(笑)

ギズ:何か言わせちゃった感じですけど...。どんなガジェットが好きですか?

20120312karmin4.jpgエイミー:うーん...、いっぱいあるからなぁ。何を一番使ってるっけ?

ニックガレージバンドでしょ、というかそもそもラップトップでしょ、ラップトップに入ってるパズルゲームも好きだしね。

エイミーソニーのタブレットもクールだよね。まだあんまり触れてないんだけどね。飛行機の中でいじり倒す予定(笑)! 他は何だろう... ヘッドフォンも大事だし... テレビはないし...

ギズ:僕も家にテレビないんですよー。

ニック:本当? テレビ要らないよねー(笑)

ギズ:何かしらの理由で自分が持ってるガジェット全部捨てないといけないとします。でも3つはキープすることができるとしたら何を選びます? 理由もお願いします!

ニックキーボードってガジェット?(ギズ:もちろん!) じゃ絶対キーボードは外せないね。あとはスマホとラップトップ。

エイミー:私はね、スマホとラップトップと、髪をセットするコテかな(笑)

ギズ:最後になったけど2人は婚約したんですよね? おめでとう!

エイミー:ありがとう!!

ニック:いや、婚約なんてしてないよ(笑)冗談冗談、ありがとう!

ギズ:今日はありがとうございました!


インタビューを終えて


さてインタビューはいかがでしたか? マネージャーのニルズさんの話は非常に興味深かったですね。常に先を読んで、行動していくというところが、今回のヒットの秘訣だったのではないでしょうか。

また終始冗談が行き交うなど、和やかなムードでしたねー。始まるまでずっとドキドキしてたんですが、ニルズさんの興味深い話と、Karminの2人のテンションのお陰で僕もなんだか楽しくなっちゃいましたよ。Karminの魅力ってもちろん音楽性やファンション性もそうなんですが、2人のステキなキャラクターなんでしょうね。インタビュー後の雑談中に、ニルズさんが3つの要素を持ったアーティストを探していた、と話してくれました。その3つは何かというと、

タレント性
頑張って働く意欲
人柄

だそうです。やっぱり成功するにはこの3つのどれかが欠けてもだめなんでしょうね。飾らなくて素朴で、明るくてエネルギッシュで。これからもそのキャラクターのままの2人で頑張っていって欲しいと思っています(そういえば、今回の初来日中に訪れたという浅草散策映像もとてもキュートでしたよ)。

これからも頑張ってね、応援してます!


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(河原田長臣)
 

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