羽ばたいて空を飛ぶ鳥人間はCG! ルーカスのプロ断言&本人白状(動画)

羽ばたいて空を飛ぶ鳥人間はCG! ルーカスのプロ断言&本人白状(動画) 1

バタバタ空飛ぶオランダの鳥人間の映像が本物かどうかで、世界中のネットがバタバタ大揺れです!

コレがその問題の映像:

HTCスマホとWiiリモコンで実現した翼って言うんだけど、これ本物? さっそくCGIのプロ集団「インダストリアル・ライト&マジック(ILM)」の技術ディレクター、ライアン・マーティン(Ryan Martin)さんと、Visual PlaygroundのCGIのブレインにご意見を伺ってみました。

するとマーティンさんからは「『The Avengers』の最後の仕上げに追われて超多忙」で回答が遅れてしまった、許してねって言葉と一緒に、社内の十数名の回答が送られてきました。うう、感謝感激。

  

IMLの所見

OK、ビジュアル的には目につく問題もないよね。というか、こんだけクオリティーが糞だと、見る前から予想はつく。ただ、最初に怪しいと思うのは、まさにそこで、これだけのもの造る金があるのに、まともなビデオ機材(三脚)も買えないなんてね。それに自分がバイラル目的でフェイク動画造る立場なら、CGの粗がごまかせるよう、動画のクオリティーは可能な限り粗悪にすると思うんだ。

もうひとつ僕がこの動画のビジュアルで一番気になったのは、飛行中の頭が安定してることだ。あの巨大な羽の変な器具つけてない状態でいいから、腕を上下にバタバタさせて、あれだけ頭を静止状態にキープできるか試してごらんよ。

とは思ったものの、これだけのものがフェイクっていうのも考えにくいし、他には特に目立つ問題も見当たらないので、全社に回覧してみんなの意見を聞いてみたよ。ここには超優秀な人が揃ってるからね。以下が集まった回答。

社員1 : 間違いない。フェイク

社員2(兼パイロット) : カメラ、すごく変だね。自分なら飛行機操縦してるとき、ずっと真っ直ぐ前を見てるなんてことない。人間が翼を固定した飛行体で自力で地面から飛び立とうと思ったら、昔から推進力は自転車で確保してきた。 人力ヘリコプターは地上約5インチ(12.7cm)に10秒なんとか浮ける。脚の方が腕よりずっとパワーはあるんだ。

物理学・生理学の観点だけで見ても、かなり胡散臭い。

社員3 : 同意見。あれは今日見た。ビジュアルで目立つ問題はないけど、物理的にどう考えても説明がつかない

社員4 : 物理の理屈も合わんし、キャムがグラグラしてて、焦点も合ってない(これで既にバレバレ)、体中が骨折しないようバタバタ必死に腕動かしてる男の割には頭は微動だにしない。こんなに安定した頭の男は見たことない。フェイク

社員5: この動画。

あと他にも何本かあるんで、見てごらん。

彼、飛行をモーターで補助してるって言ってるから、全部人力じゃないんだね。嘘なら、かなり手の込んだ嘘。何ヶ月も前から、こうして信頼築いて本番に臨んでるんだから。

社員6:答えは重さの比にある! 極薄の布でできた翼のあの表面積で時速1.5マイル(2.4km)の飛行を支えられると思うか?

社員7 : 「2011年12月6日。HTCフォンとWiiリモコンで正しい方向に翼を羽ばたかせるよう、何週間もかけてプログラミング作業中」(http://www.humanbirdwings.net/project-timeline/) 自分が持ってるWiiリモコンは突然警告もなしにシャットダウンするよ。でうせステマ。それじゃなかったらダーウィン賞ものだね。

社員8 : 自分はデイリーシティのフォート・ファンストン(Fort Funston)公園でグライダー離陸するのよく眺めてるんだけど、なんか変よね。

- 翼の動き、物理が嘘っぽい。羽ばたく動きが変。

- 翼の布がまるで服地のシミュレーションに思える。ゴワゴワして、分厚いベルベット地みたい。

- 翼の布地はCGIっぽい。

社員9 : GoProの映像見てごらん、ステディなんてもんじゃないよね。両腕パタパタしてあれだけ動かない首も珍しい。あれだけ高く飛んだら普通は眺めを見る。1インチも首回さないなんてことあり得る? フェイク

社員10: 動力源(バッテリーの在り処とか)が気になる。人の移動手段としては固定翼の飛行体が一番効率的に思える。上質な薄層の翼のフォルムを工夫して、低パワーのエンジンやモーターを取り付けたら良い結果が出せる。この彼の翼ではとてもじゃないが、180ポンド(81.6kg)の体重を空中に浮かせられるだけの航空力学は得られないよ。一番大きな鳥でも、翼幅23フィート(7m)で171ポンド(77.6kg)がやっと。鳥は飛ぶのに必要なパワーを出す胸筋、これがものすごく大きい。

社員11:(割愛)

というわけでサム、みんな白黒ハッキリさせないことには収まりがつかなくなって、とうとう偽物の証拠を掴んだよ。

その証拠は他の動画の中に見つかった。まさかこんなに手間取るとは誰も思ってなかったので、一同ビックリさ。彼らみんなを騙してるんだね。

この動画見てごらん。

1:45のところで小さな黒い四角が布地に出てくる...。

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そこからシーンカットしないでカメラが下向いて上がるよね。この上がったところ(左)で翼がCGに切り替わってんだ。何故わかるのかって? モデルの姿形が完璧じゃないだろ。

かなり良くできたフェイクだ。が、100%フェイクだ(強意は筆者)。

あと、ベテラン合成技師からもっと動かぬ証拠が出てきた。

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0:18のところで出る3人の影。これは男の体から影をつくって曲げて、翼に落ちる影らしくつくったものだ。本人の動きとは関係なく影がムーンウォークとかシャッフルしちまってるぜ。

それにしてもよくできてる。すごいよ。これで生計たててるんなら、これはこれで健全な創作だと心の底から思うよ。

ひゃーさすがですね! さて続いてVisual PlaygroundのCGIのブレインにも話を聞いてみました。こちらでも別のヒントが...。

Visual Playgroundの所見

Ok...問題の動画ではなく...ヒントは彼らのサイトにある...この動画:

翼の動きを模した試作機の3Dモデルのスクリーンショットが出てくるんだけど、ここで使ってるプログラムは「Maya」 という、主にCGアーティストが使う3Dプログラムだ。彼らはこれがエンジニアリングの動画だと言ってるけど、もしそうなら物理ベースのモデル作成に適した3Dモデリング用プログラムを使ってないとおかしいよね。

プログラムの上に呼び出したツールバーも「Cloth Simulation(布地シミュレーション)」...これは宙切る布の翼のエフェクトつくるときなんかに使うものだ...ふむ。100%動かぬ証拠ってわけじゃないけど、エンジニアリングモデルじゃなく、CGプログラムでアニメーションで作ったモデル開くってのも妙な話だよね。

CGI大御所の回答

CG業界15年、ILMやWeta Digitalなど大手で働いた経験者だけど、これは100%フェイク、間違いなくデジタル合成だね、いやー最高! 動画見た時は、あー誰かが時間かけて良質なCGをバイラル動画に取り込んだんだなーと思って嬉しかったよ。似た試みは他にいくらでもあるけど、これは群を抜いてすごい。

みんな騙されてるようなので、ここでは目の肥えたハリウッドのビジュアルエフェクト・アーティストがCGをどう見分けるか、紹介しようと思う。

先のILMのみなさんの指摘は正しい。これで問題の9割はカバーできてる。確かにCG入れるなら映像は粗悪な方がいいんだよね。揺れると沢山ミスが隠せるから。なので僕は揺れを取り払ってみた(動画上)。こうすると粗があぶり出されてくるんだ。

まず驚くのが、映像中の人間もデジタル合成だってことさ!  

みんな翼に気を取られるけど、走ってる人たちも別に撮って、映像に後で付け足したものだ。手間を省くためにね。人物を「Roto」(コマごとに人の形をトレースして後ろにCGオブジェクトを入れること)する代わりに、動画製作者はCGの翼のに後で付け足した方が簡単だと思ったんだろうね(実際簡単)。

スタビライズ後の映像では、背景に何もないシーンで俳優3人と翼にモーションブラー(被写体ぶれ)が出るところに注目されたい。これは「2D」のモーションブラー専用プラグインを使ったから、起こる現象だ。これはコンピュータがピクセルの変化をコマごとに計算し、変化が大きいほど沢山のピクセルをボカすもの。

問題は俳優の動きには、最初撮影した段階で既にモーションブラーが入ってるってことね。それを映像に組み入れる時、またまたモーションブラーが追加されてしまった。残りの映像は普通なのに、人物だけ異様にブレて見えるのは、そのため。製作者は右側のふたりが走ってスクリーンの外に消え、また戻るようにして、これを隠した。

この日撮ったのは人がいない野原で、人は右手から走ってスクリーンに入ってくる。中央の人物の地面に落ちる影をよく見てごらん。途中、脚の影しか映ってないところがあって、彼の動きに合わせてスライドしてる。脚と反対向きに影が落ちてるコマもある。スクリーン左手の人物は、この動画の90-92コマの間でデジタル合成から彼自身の映像に(シンプルフェードで)切り替わってる。この映像の残りのところは、CGアーティストが手前の人物をROTOした。度胸あるね。どう見てもCGアーティストの仕事だ。

よく出来てるCG作品だけど、達人シェフが料理から食材を嗅ぎ分けられるように、CGアーティストにはわかってしまうってことね。しっかしこうして見る人を欺く動画を量産するアーティストには頭が上がらない。特殊エフェクトのスタジオのいいPRだよね。なんで自分はそれ思いつかなかったんだ!

恐るべし、CGアーティスト! 尊敬度アップしまくりです。まあ、「普通足こぎでしょ」というのは訳者も思った。日本の鳥人間も足こぎですもんね。

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以上の翻訳終わったら、さっき本人も創作だって認めちゃったようです。なんだやっっぱり!

SAM BIDDLE(原文1原文2原文3/satomi)