コントロールを失う快楽の旅、ふたたび。― DJの再来

コントロールを失う快楽の旅、ふたたび。― DJの再来 1

MP3革命が大きな一歩を踏み出したとき、私たちは音楽に対して強大なコントロール力を獲得しました。小さなプレイヤーがあれば何千曲、何万曲と持ち歩くことができ、画面上でちょっと指をスワイプすればいつでも再生できる力です。

でも、いつも予想どおりの音楽が流れるのはつまらない。誰かが選んだ曲を聴きたい。...ほどなくして、そう気づいた人も少なくないのではないでしょうか?

だって意外なシチュエーションで昔の音楽が流れてドキドキしたり、新しい音楽と出会って興奮したり... そんな瞬間って忘れられないほど印象的だったりしますよね。そう、我々はもっと予測不能なドーパミンを出したいんですよ!

そんなわけで「クールな選曲をいかに実現するか?」というテーマは、デジタル音楽革命の第二段階で今まさに求められている課題となっています。

 

たとえば、PandoraやSpotON Radioは、自分の音楽の好み(Like/Dislikeボタン)をもとにバーチャルな放送局を生成。Songzaは、音楽エキスパートのキュレーターによるプレイリストを提供してくれます。Turntable.fmやSoundrop、Rolling.fmといったサービスは、オンラインの部屋にみんなで集まって選曲しあう楽しみをもたらしてくれました。そしてWahwah.fmを使えば、世界へのネット配信だけでなく、短波ラジオのように自分のiPhoneから近くにいる誰かのiPhoneに曲を放送することだってできるわけです。

手持ちの楽曲を活用するなら、iTunesのGenius機能もいいかもしれません。自分の全プレイリストから特徴の似た曲を探してプレイリストを自動生成するさまは、ある種のスマートシャッフル呼べそうですね。

3月にリリースされたiOS用アプリPlayGrit(有料:2ドル)もオシャレなインターフェースでスマートシャッフルを実装。このアプリでは、各楽曲がジャンルや再生回数、リリース日などをもとにさまざまな色のドットで表現されています。このドットを適当に線でつなぐとプレイリストが生成されるのですが、何が出てくるかはお楽しみ

その規則性がわかればある程度のコントロールはできるようですが、任意の曲を選べるレベルにはたどりつけないもよう。意図したようなそうでないような、意識と無意識の間でゆらぐプレイリストとの関係から、新たなときめきが得られるかもしれません。

コントロールを失う快楽の旅、ふたたび。― DJの再来 2

といっても選曲範囲が知っている曲になってしまうので、無限の可能性から新しい1曲と出会う喜びを見出すなら、前途した音楽サービスを使うことになるでしょうね。

私たち音楽ファンは、音楽のデジタル化によって強大なコントロール力を得て初めて、コントロールできない世界の魅力に気づき、ふたたび快楽を求めて旅立っていくようです。

結局、それを満たしてくれるのは人間のDJなのか、はたまた...?

Andy Cush(evolver.fm・米版 画像:Josh Itiola/Rumi)