ワシントン大、自閉症リスクを高める遺伝子突然変異を特定! 父親の高齢との関連も明らかに

2012.04.07 21:00
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アメリカの子どもの88人に1人が自閉スペクトル疾患

そんな恐ろしい最新推計が先週米疾病対策センター(CDC)から発表となり「原因は一体なんなのよ?」と騒がれていますが、そんな中、ワシントン大が自閉症に繋がる遺伝子突然変異を何種か突き止めたと発表しました!

アスペルガーなどの疾患スペクトルを持つ遺伝子成分が特定されたのは、これが初めて。研究ではさらに、親(特に父親)が高齢(35歳以上)だと発症率が上がることも判明しています。

成果は3つのチームごとに論文にまとめ、「Nature」掲載中。


遺伝子的研究のロードマップ


こういう遺伝子の突然変異は極めて稀なもので、実際の症例の中でもこれが原因のものは少数(研究でも数人しか見つかってない)なんですが、曲がりなりにも突き止められたことで自閉症の生物学的基礎研究に明瞭なロードマップができたことになりますね!

NYタイムズでは、フォローアップの研究で、稀少な突然変異の発見を重ねてゆけば、自閉症スペクトラム障害のうち最大20%までこれで説明がつくようになるかもしれない、と報じています。

まあ、そこまで楽観できないんじゃないの、という意見もありますが...。
 

 


「最高のスタートで驚嘆すべき内容だが、こういう稀な突然変異がなぜ起こるのか、その原因もわからないし、全人口に占める割合さえ分かっていないんですよ」と語るのは、ジョンズ・ホプキンス大学医学医学部遺伝子医学研究所のアラヴィンダ・チャクラヴァーティ(Aravinda Chakravarti)博士(博士は研究には関わっていない)。

「フォローアップする価値もない発見と言ってるんじゃなく、コツコツ地道な努力の要る難業になるね、と言いたいだけですけどね」


偶然では片付けられないほど稀


研究は3つのチームにわかれて行い、両親に自閉症の症状がないのに子どもに自閉症が出た家族の血液からDNAを抽出。そして、de novo突然変異と呼ばれる、親から子に遺伝では伝わらない、稀な遺伝子異常に注目してみたのです。

de novo突然変異は受胎のタイミングの辺りに起こり、一般的で、普通は無害とされます。

ところが今回の研究では自閉症の子に若干高い確率でこのde novo突然変異が起こっていることが分かったのです。

うちひとつのチームが自閉症の人200人と自閉症でない親・兄弟を対象に調査してみたら、血縁関係のない自閉症の子2人がどちらも体内の同じ遺伝子にde novo突然変異を抱えていたんです。チームでは、こうしたことが偶然起こる確率は気が遠くなるほど低く、この突然変異が自閉症発病と何らかの関連性を持ってる確率は逆に「99.9999%という感じだ」とのこと。

しかもこれと似た発見報告は、残る2つのチームからも上がっているんですね。


親の高齢化とも関係ある?


de novo変異と無関係じゃないのが、父親の年齢です。

あるチームで調べてみたら、de novo変異が起こる確率は母由来のDNAより父由来のDNAの方が4倍高かったんです! また、父親が高齢になればなるほど確率が高まることも分かりました。これは「自閉症が全米で増加しているのは高齢の父親が原因」という従来の研究を裏付ける結果です。

総じて影響は微々たるものだし、今回の発見をもとに治療法を開発するなんて先の先の話ですけどね...。世にあるほとんどは環境と遺伝の両輪だってことも忘れちゃいけませんし...。

2002年にはアメリカの8歳児1000人に6.4人が自閉スペクトル疾患(ASD)だったものが、2006年には9.0人になり、2008年(冒頭のCDC最新データ)には11.3人。2002年から2008年の間に78%も増えています。それに比べ科学は歩みがのろくてジリジリしますけど、ワシントン大の論文は少なくとも今後の研究の確かな足がかりとなってくれるのではないでしょうか。


[The New York Times, Nature]
Image: Shutterstock/Aaron Amat

KRISTEN PHILIPKOSKI(原文/satomi)
 

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