もしホワイトハウスの目の前に核爆弾が落ちたら? 米政府が調査結果を発表

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アメリカ政府は、ワシントンD.C.が10キロトンの核爆弾で攻撃されたらどうなるかをシミュレーション予測した調査レポート「国家首都圏:核テロ攻撃の余波に対する基本対応計画要素」を発表しました。

この調査では16番通りとK通りの交差点、つまりホワイトハウスの目の前が核攻撃の対象となることを想定し、時間経過とともにどのような影響が出てくるのかを予測。季節ごとの被害エリアや規模感、深刻度なども詳細に記載されています。

さて、行政所在地に着弾したら何が起こるのでしょうか? レポートでは、ワシントンD.C.の大部分が壊滅状態になると明記され、放射能による地獄絵図が詳細に描かれています。冷戦時代とは違い、首都全体を吹き飛ばして全市民を死に追いやる小型爆弾が想定されているのです。

 

3つの破壊レベル

核爆発による破壊レベルは3つのエリアに区分されます。

重度損害エリア(半径800m):建物はほとんど破壊され、その危険性と放射能によって最初に立入禁止区域となる。生存確率は低い。

中度損害エリア(半径800m〜1.6km):主要な建物は破壊されて瓦礫になり、電柱は倒れ、自動車もひっくり返る。また、火事など深刻な損害が至るところで見られる。早期の医療補助によって助かる命は多い。

軽度損害エリア(半径1.6〜4.2km):窓は割れるが市民のほとんどは軽傷で済み、緊急治療を行わなくても生存率は高い。

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連邦政府の物理的な存在は、ほとんど姿を消すといっていいでしょう。ホワイトハウス、財務省、古くからある行政建造物もあっさり消滅。国会議事堂は廃墟に。ナショナル・モールは焼け野原に。住宅エリアは広範囲に渡って爆発の衝撃波を受け、飛来した瓦礫が落ちてきます。

重度損害エリアは死刑宣告を受けるようなもので、軽度損害エリアも大変な状況ではあります。しかしこれは、爆弾による火災や核爆発の際に生じる火球、そして衝撃波が持つ破壊力を示したすぎません。死の灰が降るのはこれからなのです

 

死の灰

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政府調査によると、放射性物質の拡散パターンは季節によって異なるようです。4月ならワシントン郊外の高級住宅地ベセスダが莫大な放射性物質に襲われ、ほかの季節なら比較的貧しい地域や北バージニアが大気汚染に晒されます。

テロリストによって投下された核爆弾の爆発が比較的小規模なものだったとしても、死の灰は信じられないほどの破壊力を持っているのです。

着弾地点から1.6〜3.2kmの地域では、放射性降下物により1時間以内に吐き気や嘔吐の症状が見られる。

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オレンジ色のエリアでは、避難に間に合わなかった市民は300〜800R(約3〜8シーベルト)の照射線量を受ける。大部分がただちに健康被害を受けると見られ(例:4時間以内に吐き気や嘔吐の症状)、治療を受けないと死に至る場合もある。濃青エリアでは、すぐに避難しないと屋外では800R(約8シーベルト)以上の被爆を受けることになり、治療の有無に関わらず死亡する可能性が十二分にある。このエリアにおいて、避難を選択する余地はない。なぜなら死の灰が10分以内にやってきて、避難に間に合わないからだ

ワシントンやそこにいる人々は、すぐに焼かれなくてもその多くが死に至るということなのですね。

 

じゃあ何ができるのか?

じつをいうと、この報告書は身も蓋もない一文で結論づけられています。

簡易核兵器を含むテロ攻撃の規模は、すべての対応リソースを凌駕する。

本当の意味で核攻撃に対する準備はできません。攻撃の目的は特定の社会を解体することにあり、核攻撃は常にそれを遂行するだけなのです。「平和のための核」を強調していたアイゼンハワー時代の寝言を、政府がどれだけ強調したとしても。

DUCK and COVER:目も眩むような原因不明の閃光を感じたら窓に近寄らず、飛来したり落下してくる瓦礫で怪我をしないよう、少なくとも1分は物陰に隠れていましょう。

私たちは、凶悪なブリザードのような核攻撃に対処する能力をまだ持ちあわせていません。まるで高校の火事でも想定したかのような損害準備計画では、とても核攻撃を生き延びることはできないでしょう。

レポート全文(英語)は、下記のリンク先から読むことができます。

追記:単位表記を「10キロトン」に訂正しました。ご指摘ありがとうございました。

 

[FAS]

Sam Biddle(米版/Rumi)