グーグル Nexus Qレビュー:これ、誰が対象なんでしょう? (動画あり)


Qなだけに...クエスチョン。

グーグルがメディアストリーミングのための球型ハードウェア「Nexus Q」を発表しました。外見のインパクトもあいまってファーストインプレッションには期待もこもっていたのですが、発表直後の熱も冷めてきた今、大きな疑問がふたつ持ち上がってきました。どの程度ちゃんと使えるのかってことと、もっと大事なのは、誰に向けた製品なのかってことです。

以下、使いながら考察してみました。

  

どこがすごいの?

 

グーグルがこのような製品を発表したのはこれが初めてです。Nexus Qはマルチメディアハードウェアで、Androidユーザーの体験の幅を広げるために生まれました。クールな球体というだけでなく、簡単に映画や音楽、YouTubeビデオをテレビやホームステレオで楽しむことができます。Googleにとっては、ユーザーが競合(iTunesとか)でなくGoogle Playから楽曲などを購入してくれることもねらいです。

 

使ってみてどう?

 

Nexus QはたとえばHTCの(うまく行っていない)MediaLinkみたいな、電話経由でコンテンツをストリーミングするためのデバイス...ではありません。それはWi-Fi/イーサネットを通じてコンテンツをインターネットから直接引き出してくるもので、電話やタブレットはそのコントローラーとなります。

Nexus Qには、オーディオ愛好家向けの機能がいっぱいです。HDMIの他にOptical Audio OutがあってAVレシーバーに接続することができ、さらにビルトインアンプがあって、15ワットのスピーカーのペアを8Ωで駆動できます。Google I/OではTriad社のブックシェルフスピーカー(これもグーグルが販売、400ドル=約3万2000円)のペアをつないでいて、それは本当に良い音でした。

セットアップは、(理論上は)簡単です。電源を入れたら、マイクロHDMI端子からHDMIケーブルでTVに、またはお好みの方法でサウンドシステムにつなぎます。Nexus Qアプリをまだ電話にダウンロードしていない場合、NFC搭載スマホならNexus Qに電話をタップすると自動的にGoogle Playストアに行ってダウンロードできます。Gingerbread(Android 2.3)以上ならどんなAndroidスマートフォン(またはタブレット)でも使えるはずですが、プレリリース版では最新のNexus端末以外使えないようです。最初にNexus Qをセットアップするときは、Bluetoothをオンにしておく必要があります。Wi-Fiパスワードを携帯経由でNexus Qに入力して名前を付けたら完了。Google Play Movies&TV、Google Play Music、YouTubeからコンテンツをストリームできるようになります。

一番面白かったのは、音楽再生関連の機能です。聞きたい曲を再生開始すると、再生しながらプレイリストを生成してくれます。追加や削除、移動はすごく簡単にできます。それからクールなのは、複数の端末を同じNexus Qに接続して、みんなでプレイリストを追加していける機能です。スマートフォンとタブレットで試しましたが、追加したものはすぐに反映されます。パーティとかで楽しそうです。プレイリストを事前に作っておいたら、あとはみんなでキューに追加していくんです。球体に搭載された32個のLEDライトが、スクリーンの表示とリンクして光るんですが、これはテーマとして好みのものに変更できます。YouTubeビデオもTVの大きいスクリーンで見られるのは良いんですが、こっちは音楽みたいに再生しながらプレイリストを作ることはできません

 

良いところ

 

万人向けのデバイスじゃないですが、このデザインは面白いと思います。上の画像を見ると、映画『マトリックス』のセンチネルみたいです。また作りは非常にしっかりしています。セットアップも簡単です(ちゃんとできれば)。オーディオの質、画像の質(映画とかHDのYouTube動画)はともに素晴らしいです。音楽のビジュアライゼーションではWinampを思い出しました。さらにみんなで編集できるソーシャルプレイリストには、今後の可能性を強く感じました。

Google Play Musicにたくさん音楽をアップしていたり、購入していたりする人がいれば、そういう曲を家のオーディオで聞く手段としてすごく便利だと思います。さらにもしNexus Qを複数台を購入してグループ化して使うと、同じ音楽を違う部屋でシンクさせながら聞けて、限定的ながら安価なSonosシステムみたいになります。

 

良くないところ

 

まず、バグがあり過ぎました。ときどきスマートフォンやタブレットとリンクしたままになる問題が起こりました。Nexus Q 2台と電話1台、タブレット1台でテストしていたんですが、どの組み合わせで試しても同じ現象が再現しました。出荷状態にリセットして再セットアップしなきゃならない事態が、2台のNexus Qで1回以上ありました。

たとえば動画を一時停止した後、また再生しようとしても始まらないことがしょっちゅうありました。スマートフォンとペアしたりアンペアしたり、プラグを抜いたり、すごくイライラします。それから動画の中で見たいタイムスタンプに合わせると、再生が始まるまでにかなりの時間がかかります。Google Playが1080pでストリームできるようになったのはありがたいんですが、実際楽しむにはかなり太い帯域が必要です。で、帯域が足りないとき(テストした家の環境は10Mbpsでしたが、それでもかなり苦戦)は、動画が止まったり動いたり...の連続で、すごくストレスがたまりました。

音楽では、アルバムの中のひとつの曲をプレイリストに入れると、そのアルバム全体がプレイリストに追加されるんですが、必ずしもそうしたいとは限りません。なので、もし1曲だけプレイリストに入れたい場合は、無駄に入ってしまった他の曲を手動でひとつずつ消していく必要があります。それから、Now Playingのリストを表示させる手順が直感的じゃありません。

...と問題はいろいろあるものの、うまく動くときはちゃんと動きます。ただ、「これって誰が使うの?」という疑問は残ります。

まず、これはAndroidユーザーにしか使えません。iOS向けのNexus Qアプリがこれから出るという話もないですし、もしそんなアイデアがあっても時間がかかります。それから、Androidユーザーの中でもGoogleのエコシステムにかなりお金や手間をつぎ込んでいる人向けのものです。具体的には、Google Play Musicでたくさん音楽を買っているとか、Google Play Moviesで映画を買ったりレンタルしたりしたいといった人です。

それからNexus Qのハードウェアはオーディオファイルグレードの音を出せるし、Google Play Musicでは320kbpsがサポートされているのですが、ここからさらなる疑問が浮かびます。ハードコアなオーディオ愛好家なら、ロスレスのFLACフォーマットで音楽を聞きたいんじゃないでしょうか。そしてFLACファイルをGoogle Musicにアップロードすると、320kbpsのMP3ファイルに変換されてしまうんです。オーディオ愛好家でも320kbpsのMP3を聞く人はたくさんいますが、FLACファイルと同じ音質だと言う人はいないことでしょう。

そしてコンテンツのストリーム源はGoogle Play Music、Google Play Movies&TV、YouTubeというグーグル・エコシステム内の3つだけなのに価格は300ドル(約2万4000円)...と考えると、かなりニッチな代物と言わざるをえません。

 

買うべき?

 

正直、ノー、です。でももし320kbpsの音質が魅力とか、音楽は全部Google Playに入れてあるとか、家のネット環境がものすごく速いとか、300ドルなんて安いじゃん、というレアな人なら、満足できると思います。

そうじゃない多くの人にとっては、かっこいいノベルティアイテムという感じ(それも、バグが全部修正されれば...)でしょうか。ただ、300ドルのノベルティというのもなかなかありません。たとえばRokuボックスではいろんなソースからコンテンツをストリームできますが、100ドル(約8000円)以下で売っています。それに、超絶賛Nexus 7だって200ドル(約1万6000円)です。

もしGoogleがもっと機能を追加して、もっと価格を下げてくれたら、衝動買いできるガジェットになるかもしれません。でもそれまでは、パス...ですね。

 

Nexus Q スペック

OS:Android 2.3以上の端末に対応

スクリーン:なし。RGBのLEDライト32個を搭載。

プロセッサ:OMAP 4460デュアルコア ARM Cortex-A9

RAM:1GB

ストレージ:16GB

重量:約900g

価格:300ドル(約2万4000円)

ギズランク:2.5


 

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Video by Michael Hession

Brent Rose(原文/miho)