【ギズ徹底分析】iPad打倒に本腰を入れるマイクロソフト、その「Surface」に懸ける意気込みはタダモノでないと分かってきた...

2012.07.11 13:00
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今回のマイクロソフトの意気込みはハンパないっすよ!

いきなり大方が予想もしてなかった、あの「Windows 8」をベースに搭載する自社開発の新タブレット「Surface」をマイクロソフトが堂々発表してきたりしたので、きっと数多くのWindowsパソコンメーカーは今後の展開に戦々恐々としてもいるんでしょうけど、なんだかアップルの「iPad」を使ってると欲しくなってくるハードウェアキーボードとの融合も快適に実現しているみたいですし、日本国内市場も含めたユーザーサイドでは、いまかいまかとSurfaceの正式発売を待ち望んでいる人が多いのではないでしょうか。

それにしても、これまでずっと主にソフトウェアメーカーの立場から、WindowsをOSとしてハードウェアメーカーへと幅広く提供してきたマイクロソフト自らが、なんの前触れもなく自らハードウェアまで製造開発販売してしまうメーカーへと大変化を遂げるとは、一体どういう風の吹き回しなのでしょうかね? もしやアップルがiPadで収めている成功に目がくらみ、もうガムシャラに追撃体制を急ぐあまり、周囲まで驚く支離滅裂な戦略に出てきてしまった?

いえいえ、実はマイクロソフトがSurfaceで目指している世界は、これまでの同社の経営戦略にも着実に根ざしている、れっきとした成長ビジョンのもとに緻密に打ち出されてきた可能性が高いことが、よくよく分析を進めると判明してきますよ。そして、そこに現われているマイクロソフトの決意のほどは、なんだか今後のパソコン業界全体にまで多大のインパクトをもたらしそうな予感です。えっ、どういうことなの? ちょっと米GIZMODO編集チームが考察したSurfaceをめぐるマイクロソフト理論に注目してみましょう~
 


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アップルのスティーブ・ジョブズCEOが自信満々で、同社が独自に開発を完成させたiPadを正式にアナウンスし、全世界で一大ブームを巻き起こした発売から遅れること2年以上...しかしながら、ついにマイクロソフトも自社開発のタブレットの正式発表へとこぎつけてきましたよね。

いきなりの大発表でもあったので、ちょっと面食らってしまったという人も少なくなかったようですが、よくよく考えてみますと、もはやマイクロソフトがタブレット市場でiPadに勝利を収めるには、この「自社開発スタイル」というアプローチ以外はあり得なかったという現実も見えてきそうですよ。

例えば、もしもギズ読者の皆さまが、これからタブレット業界へと進出するチャンスがあったとして、いざどのようなビジネスモデルを展開しようかって考える時に、最もお手本にしたいのはどこでしょうか? ハイハイ、あまりにも答えは簡単ですよね。自らハードウェアを製造販売し、コンテンツ流通のカギも握って完全なるエコシステムを築き上げてしまっているアップルのはずです。この方式を採用したアップルは、おかげでガッポガッポと儲けまくっているわけですしね。

敢えてアップルを差し置いて、わざわざここでグーグル陣営の「Android」タブレットのようなビジネスモデルを目指したいって方は、一体どれほどいらっしゃるでしょうかね? タブレットに搭載可能なAndroidというOSを本当に幅広く世界中のメーカーへ提供してきましたけど、おかげで世間に登場したAndroidタブレットの種類は数知れず、雨後のタケノコのように各社から次々とAndroidタブレットが世に出はしましたが、肝心の収益モデルという面では、いまだに苦しんでいるところばかりのようです。これに痛い失敗を見たと考えたのか、とうとうグーグルも自社で直販型の「Nexus 7」を発売し、これからは自社開発タブレットで主導する路線へと大きく舵を切っていきそうですけどね~

別にAndroidの例など挙げられずとも、実はマイクロソフトは痛いほど分かっているはずなんですよね。モバイル分野では、すでに「Windows Mobile」におきまして、マイクロソフトはハードウェアメーカーに自由に任せる形で基本となるOSのみを提供し、その後はいろいろと細かいところまでは口を出さずに「あとは魅力的な新製品を出しまくってください」とハードウェアパートナーに頼り切る作戦でやって来たのですが、これが裏目に出たのか、いまではWindows Mobileは過去の遺物として消え去ってしまいました。今度こそはと「Windows Phone」では、ハードウェアメーカーに対して数多くのキープするべき基準を指し示し、マイクロソフトが主導するハードウェアパートナー陣営で勝負を挑む方針へと舵を切ったものの、なかなかマイクロソフトが望むような結果が、これまでのところは得られていないみたいですよね。

そうなると、もう残る道はただ1つしかありません。もはや他のハードウェアメーカーに頼りっ切りになるのではなく、商品デザインから開発まで、なにもかも自社で進めて、マイクロソフトのマイクロソフトによるマイクロソフトのためのトコトンまで納得がいく製品を発売しちゃったらいいではありませんか...


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ところで、今回のSurfaceのアナウンスこそ唐突な気もしましたけど、実はマイクロソフトは過去にも完全自社開発のタブレット「Courier」の発売を目指していたなんて噂が流れたのを覚えておられますでしょうかね? そう、もし本当にリリースへとこぎつけていられさえすれば、もしかすると打倒iPadの強力な一翼を担ったはずだとまで期待されつつ、いつの間にか日の目を見ることはなく、そのままお蔵入りになってしまったと惜しまれるプロジェクトの存在です。

確かにマイクロソフトには、ハードウェアメーカーとして輝かしい成功を収めるイメージは少ないかもしれませんよね。アップルが音楽プレイヤーで大成功を収めた「iPod」の牙城を崩すべく、自ら「Zune」でマルチメディアプレイヤー業界へと進出を試みたものの、華々しい成功からは程遠い状況ですよ。パソコン業界でのWindowsの成功は、完全にソフトウェアメーカーに徹したマイクロソフトを擁護して、次々とハードウェアメーカーが多彩なコンピューター新製品を発売し、それが一気に普及した結果であって、マイクロソフトが自ら製造開発したパソコンが大ヒットしたなんてことはありませんでしたから~

と思いきや、実は忘れてはならない大切な転換点があります。いまから10年以上前、世の中のゲーム業界といえば、完全に任天堂VSソニーの二強の争いでしたよね。当時、マイクロソフトをゲームのハードウェアメーカーと考える人なんていませんでした。でも、マイクロソフトは、いざ「パソコンの次にリビングで無視できない存在となるのはゲーム業界だ」と判断するやいなや、いきなり「Xbox」で殴り込みをかけてきたわけですね。

任天堂は「Wii」で大成功を収める一方、ソニーには強力な「プレイステーション」ブランドがあり、まさか新規参入のXboxを要するマイクロソフトが、そのままゲーム業界で影響力のある一角を担い、三強の争いの時代が来るとは、あまり多くの人は当初は予想していなかったかもしれません。しかしながら、やはり巨万の富を手にしたマイクロソフトにとっては、いざヤルと決意したのであれば、すぐに目ざましい結果は出ずとも、しばらくは損失をも耐え忍びつつ、ユーザーベースを拡大していくだけの体力が備わっているというメリットがありますよね。このパワーは決して侮られるべきものではなく、いつの間にか「Halo」のような大ヒット作を抱え、オンラインでの強みを発揮したXbox陣営は、とりわけ北米では最も売れ行きがいいコンソールゲーム機となっていきましたよ。


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さて、ここで再びタブレット業界へと目を向けた時、米GIZMODO編集チーム内では、なんともいまの状況が、Xboxによるマイクロソフトの成功を彷彿とさせるのではって意見が優勢になってきています。Xboxによる参入を考えるに至った当時、任天堂陣営にもソニー陣営にも、数々のヒット作とファンユーザー層が集まっており、後発のマイクロソフトには厳しかったはずですよね。同じく現在のタブレット業界も、アップルのiPad陣営とグーグルのAndroid陣営に二分され、それぞれにすでに数多くのファンユーザー層があるような感じです。

ところが、今回はマイクロソフトにとって非常に有利なのは、ほぼゲーム業界ではゼロに近いユーザー層からの獲得が目指されたのに対して、すでにWindowsで全世界に多大のユーザー層を抱える中、その同じユーザーを引き込むことさえできれば、Windows 8がベースとなるSurfaceで勝負を挑むマイクロソフトに、いきなり膨大な数の支持層が集まってくる可能性が高いという点でしょうかね。よく考えてみると、これまでWindowsパソコンではパートナーだったハードウェアメーカーの大半が、現在は忙しくAndroidタブレットの開発に携わっており、この現状からしても、意外とマイクロソフトがWindowsタブレットは自ら手がけていったほうがいい環境でもあるのかもしれません...

確かにXboxデビューの頃のように、決して万事が順風満帆に進むというわけではないのかもしれませんよね。しばらくは売れない時期を耐え忍ばないといけないことだって十分に予想されます。とはいえ、やはり巨額のマネーを抱えるマイクロソフトにとっては、最初は損失を忍ぶ時期があったとしても、長期的に見ると最終的に大きなゲインを呼び込むまでの助走期間に過ぎないと大きく構えて長期戦に出ることだって余裕の戦略のはずですよ。そして、そうするだけの決意と覚悟を定めてマイクロソフトがSurfaceの発表へと至ったのであれば...これはXboxの時とは比べ物にならない大成功をもたらすタブレット界の新星誕生を意味することになるのかも!

これから秋のWindows 8の発売にかけては、マイクロソフトの動向から本当に目が離せなくなってきそうですよ。あっ、マイクロソフトさん、お願いですから、Zuneみたいに日本市場はパスだなんてスタンスではなく、Surfaceの一刻も早い国内発売をボクらは大いに期待してますよ~


Brian Barrett(米版/湯木進悟)

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