いまいち感動しきれなかったあなたへ...グーグルが発売した「Nexus 7」タブレット、その超驚きの価格の秘密に迫る

2012.07.05 18:00
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本当にスゴいのはこれからだ!

次から次へと新発表の目白押しとなった先月のGoogle I/Oにおきまして、グーグルは期待に違わず、自ら直販で取り扱う「Nexus 7」の新タブレットの発売を発表してきました。早速これを手に取ってみたというユーザーの声を耳にしてはみても、なんだかアップルの「iPad」発表時に心の中へ湧き起こるようなワクドキ感を覚えることができなかったという方が結構おられたりするのではないでしょうかね?

もちろん噂通りに最新バージョンの「Jelly Bean」こと「Android 4.1」が搭載されたグーグル初のタブレットではあるのですが、より大きなバージョンアップとなる「Android 4.5」ですとか「Android 5」などなどの新OSがリリースされるほどの感動ではありませんでしたよね。おまけにNexus 7は、スペック的に世界を驚かせるようなパワフル性能を持ち合わせるでもなく、きっとこのマシンがタブレット業界でベンチマークスコアーのトップを飾るということもないでしょう。つまり、どことなくNexus 7は、アッとボクらの心を奪うような尖がったところにやや欠ける気がしてしまい、いまいち両手を挙げて大盛り上がりで登場を歓迎するほどには至らなかったという評価も少なくないようなんですよね~

そしてそれもそのはずで、当のグーグルのほうでも、真のNexus 7の魅力は別のところにしかないかもしれないことを認めてきているみたいです。アップルのiPadを追いかける立場にあるグーグルがNexus 7で仕掛けてきたこととは...まさかのライバルメーカーすべての度肝を抜いたNexus 7の激安販売価格のみが今回の驚きの的であり、これこそが実はグーグルの深謀遠慮が見え隠れする秘密ですよ。これから世の中のタブレット業界には、トンでもない大革命が起きていく可能性すらありますね。だって、グーグルの戦略は、まさに練りに練られた秘訣がベースになっていますから。

ある意味で捨て身の総攻撃に出たともいえるグーグルのNexus 7に隠された、今後の勢力図を大きく塗り替えかねない重大ポイントに迫ってみたいと思いますよ。きっと日本市場への登場も待ち遠しくってたまらなくなりますからねぇ。

 
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まだ日本国内での正式発売に関する見通しこそ示されてはいませんけど、Nexus 7の販売価格が200ドルになると明らかにされた時、思わず声を上げて驚いてしまった人は多かったようです。

 

そんなに安い値段でグーグルに儲けはあるの?

 
ここでNexus 7のタブレットとしての性能をおさらいしておきましょう。1280×800ピクセルの解像度で7インチサイズのタッチスクリーンディスプレイを装備したNexus 7には、最新バージョンのAndroid 4.1タブレットを快適に高速動作させられるのに十分なクアッドコアーの「Tegra 3」プロセッサー、1GBのRAM、1.2メガピクセルのフロントカメラ、HD動画だって9時間連続再生できてしまう大容量バッテリーが標準搭載されており、確かに業界最強というほどのパワフルスペックではないにしても、先に格安の価格設定でAndroidタブレットとしてはかつて最も売れたとも評されるアマゾンの「Kindle Fire」を凌駕しつつ、同じ値段のラインをキープしてきたのが絶妙でしょうね。つまり、これまでKindle Fireに飛びついていたであろう人でも、もうこれからは一斉にNexus 7へと殺到する大人気モデルになり得るというわけですよね。

ただ、いくらグーグルが直販体制でNexus 7を販売していくにしても、これだけの性能を備えたタブレットを、日本円にして1万円台の発売価格が期待される、わずか200ドルで売り出すことなんて本当に可能なんでしょうか?

「これは正直に認めざるを得ないことなのだが、たとえ他の流通網を一切使うことなく、グーグルの直販チャンネルとなる『Google Play』から購入されたとしても、Nexus 7を販売するだけではグーグルが手にする利益率はゼロである。」

実はすでにAndroidの生みの親としても知られるグーグルのアンディ・ルービン氏は、Nexus 7のリリース直後に、こんなふうに語ったとされており、Nexus 7が売れに売れまくったとしても、それだけではなんらグーグルが莫大な利益を手にすることにはならないことを認めてしまっているみたいですね。もしここにNexus 7の宣伝やマーケティング費用を考慮に入れるならば、明らかにNexus 7を売るグーグルは赤字を抱え込むしかないことになってしまいます。アップルを追いかけ、追いつき、追い越すためには、まさに自腹を切ってでもNexus 7を幅広く普及させていくしかないという戦略を地でいく覚悟がグーグルによって固められたことが見て取れるのではないでしょうか!

 
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グーグルは販売しても赤字にしかならないような破格の安値でNexus 7を売りまくってボランティアでもしようとしているのか? 思わずそんな疑問が口を突いて出てきそうですけど、当然ながらグーグルだって利益追求型の株式会社として、絶対に損にしかならないようなビジネスを展開することはありませんよね。たとえ販売時には赤字になろうとも、あとでガッポリと着実にユーザーから売上を回収できるような仕組みを、ちゃっかり上場企業として講じてくることに抜かりはありませんよ。

そのカラクリは簡単なもので、先に捨て身の戦略でKindle Fireを赤字覚悟で大盤振る舞いしておきながら、あとからユーザーに電子書籍を購入してもらっては利益を確保してきたアマゾンに、単にNexus 7の販売設定価格のみならず、その後のビジネスモデルまで完全にマネをしてきたとの批判を受けても仕方がないくらい酷似していますよ。

元々がハードウェアを販売する事業スタイルではないグーグルには、ユーザーに検索なりコンテンツなりを使ってもらえばもらうほど売上がアップしていくビジネスモデルが出来上がってしまっています。おまけにKindle FireでもNexus 7でも共通しているのは、アップルのiPadとは異なる7インチのタブレットサイズですね。コンパクトに持ち運びしやすい新たなサイズで格安モデルを出すだけで、なんだか必ずしもiPadと同じ製品カテゴリーには入らないようにも見えそうな新製品が、かなりお得に安くで買えるってイメージを人々の思考パターンへと埋め込み、そのまま購入してくれたユーザーを相手に売上を延々と積み重ね続けられるではあ~りませんか。

 
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ここまでグーグルのNexus 7による大胆捨て身な販売戦略を説明してきたところで、この作戦がトンでもない側面をはらんでいることにも気づかれたのではないでしょうかね。つまり、もはや世の中のタブレットはアップルVSアマゾンVSグーグルという三強の争いに絞られてしまうのではないかってところです。もうデルやHP、レノボ、ソニーに東芝、AcerやASUSなどなどのメーカーが単体ブランドでタブレットを売り出そうにも、後ほどコンテンツ販売で回収するタイプの捨て身な赤字価格による安いタブレットを販売できてしまう先の三強には、これからどんなに頑張ったって勝てっこありませんよ。あのスマートフォンでは大成功な「GALAXY」シリーズを送り出してきたサムスンにさえ、今後はタブレットの世界で勝ち目はないってことでしょうかね。悲しきかな、グーグルが直接販売するNexus 7の誕生は、多彩なAndroidタブレットの乱立時代に終止符を打ってしまうほどの多大のインパクトがあったのかもしれません...

また、さすがにアップルのiPadとの正面対決では勝算が薄いなとの考えもあってか、まずは別サイズの7インチで勝負を挑んできたアマゾンのKindle FireとグーグルのNexus 7の存在からは、次なる課題が早くも見えてきているとも言えるでしょうかね。

 

10インチクラスのタブレットでiPadを打ち負かす勝者は半永久的に現われないのかも...

 
売れれば売れるほど本体販売のみでは赤字になってしまうKindle FireならびにNexus 7とは異なり、実はiPadには、あくまでも概算ですが、1台売れるごとに200ドル以上の利益がアップルの懐へと舞い込んでくる仕組みが講じられていると言われていますよ。でも、実はアップルにだって本当は捨て身の赤字価格でiPadを販売したとしても、あとから十分に利益を回収できる「iTunes」によるビジネスモデルがガッチリと講じられています。いまの勝ちっぷりでは想像することすら難しいですが、たとえこの先、アマゾンやグーグルが10インチサイズでiPadに真っ向勝負を挑む激安タブレットを投入してきたとしても、アップルにだってiPadを大胆値下げする対抗戦略を講じることが可能で、そうされるとよほどのiPadに勝る何かがない限りは、ほぼ確実にアマゾンとグーグルの勝ち目はゼロに近いでしょうかね~

なんだかアマゾンやグーグルの捨て身の販売戦略を考察すればするほど、売れるごとにガッポリと儲けまくっているアップルのiPadの強さが際立つようです。もはやここに大きな一石を投じるのは、あの「Windows 8」でカウンターアタックを打ち出すマイクロソフトの「Surface」による健闘を祈るのみ? そんな展開になってきているのを痛感させられちゃうのかもね。日本メーカーには非常に厳しい先行きでもありますけど、これからのユーザーにとって最高の夢は、Nexus 7やSurfaceが日本国内で普通に選択肢として買えちゃう世の中になることでもあったりするのではないかなぁ。

 
Brian Barrett(米版/湯木進悟)
 

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