ニコンのプライドをかけた1200-1700mmの超望遠ミサイル級レンズのお話

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1990年当時、世界最長の焦点距離を誇った600万円(発売当時)のニコンの超望遠レンズのお話。

まるでミサイルランチャーみたいなこの化物レンズは、1200-1700mm f/5.6-8P IF-ED、レンズ構成は13群18枚、最大径×最大長は237×888mmに、重さは16キロ...! 上の写真は130メートル先の二人の女性を、焦点距離50mmレンズで撮影した写真(左上)、焦点距離1200mmで撮影した写真と(左下)、焦点距離1700mmで撮影した写真です。130メートルも離れると、50mmのレンズだと当然ながら何も見えないですよね...。

これ、何のために開発されたのかわかりますか?

それは夏の日本の熱い風物詩、甲子園のためだったのです!

Nikonの開発ストーリーによると、

甲子園にはセンターバックスクリーン横に、130メートル以上遠方の本塁上を撮影するための報道専用の撮影席がある。この位置から、投手、捕手、打者を画面内に収めるためには焦点距離1200mm、画面を縦位置にして打者を画面にとらえるためには焦点距離1700mmが必要となる。つまり、「1200-1700mm」は、甲子園のこの撮影席から撮影するために開発されたのである。

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1980年代、ニコンのライバル社には1200mm f/5.6の超望遠レンズがあった。新聞各社は甲子園での取材に、このレンズを使用するためカメラをライバル社の機種に切り替える動きを見せた。

1989(平成元)年5月、ニコンは甲子園向けの超望遠レンズの開発を急遽、開始。しかも、新聞各社の強い要望に応えて翌1990(平成2)年3月に試作機を完成させることとした。

 

 

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当時は35mm判カメラ用ズームレンズとして世界最長の1200-1700mmと最長の焦点距離を誇りました。ニコンの言葉で言うと「報道のニコンというプライドとブランドを守りぬいた」のがこのレンズ。しかしながら、デジタル一眼レフカメラの登場よってこれらのレンズはほとんど使われなくなったそうで、その理由は、デジタル画像は撮影後のトリミングが容易であること、デジタル一眼レフカメラの高感度性能が優れているからだそうです。

[Nikon via Photography Bay, Nikon|知られざるニコンの歴史]

mayumine(Jesus Diaz 米版