「神の粒子」、実はニセモノだったかも...と研究者ら

「神の粒子」、実はニセモノだったかも...と研究者ら 1

ニセモノというか、実はふたつの粒子だった?

先週、CERNヒッグス粒子と思われる素粒子を発見、と発表したときは世界中が大盛り上がりでした。万物の質量の源にして宇宙をひとつにまとめると言われるヒッグス粒子ですが、別の研究者の主張によれば、CERNが発見した粒子は実はニセモノ、かもしれません。

 

その主張をしているのは、イリノイ州にあるアルゴンヌ国立研究所の研究者、イアン・ロウ氏、ジョセフ・リケン氏、そしてゲーブ・ショーネシー氏です。彼らはCERNが大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を使って収集したデータを分析し、その結果「ヒッグス粒子の存在の証拠とされていた現象は、ふたつ、または3つのニセモノ粒子(imposter)を想定した場合でも説明可能である」という結論に至りました。以下は彼らがこちらで公開した論文の抄録からの抜粋です。

あわせてヒッグス粒子のように振る舞うふたつまたは3つの粒子を想定すると、新たに観測されたスカラー共鳴におけるイベント率は(ヒッグス粒子を想定した場合と)同等に説明できる。

専門用語だらけですが、要は「『ヒッグス粒子があった』とも言えるけど、同じくらいの確かさで、『別の粒子ふたつか3つで、ヒッグス粒子っぽく振る舞うやつらがいた』とも言える」ということのようです。ただ彼らは、「標準モデルのヒッグス粒子の方が、全体的には若干良く説明できる」とも言っています。

このような異論が出ることは想定内で、CERNの研究者たちも「99.9999パーセント」の確率で存在するとは言ったものの、「存在する」と言い切ってはおらず、「さらなる分析が必要」としていたのです。

カリフォルニア大学サンタバーバラ校の物理学教授で、LHCのコンパクト・ミューオン・ソレノイド(CMS)実験の代表者でもあるジョー・インカンデラ氏も、ヒッグス粒子があるとは断言したがりませんでした。

これはたしかに、新たな粒子ではあります。これが何らかの粒子で、しかも今まで発見された中でもっとも重い粒子だということはわかっています。結果から読み取れることは非常に顕著ですが、だからこそ我々は研究全体、そしてクロスチェックを極めて慎重に行う必要があります。

インカンデラ氏がこのように抑制した言い方なのは、ヒッグス粒子が本質的にすごく捉えにくい存在だからです。ヒッグス粒子を発生させられるのはごく短い時間だけで、すぐに崩壊して別の粒子になってしまうので、粒子そのものは見たりつかまえたりすることはできません。代わりに、光子のペアやZボソンといった「痕跡」から存在したことを推定することしかできません。しかもその痕跡は、これまでにCERNが集めたデータの中では一様ではなく、それが推定のハードルをさらに上げています。さらにその痕跡が、別の新たな粒子を想定することでも説明できてしまうとなると、推定は難しくなります。

そんなわけでロウ氏らも、「ヒッグス粒子を発見」という結論を出すにはまだ時期尚早で、さらに正確な測定が必要だと言っています。結局、謎解きはまだ始まったばかりということのようです。

[Arxiv via Technology Review]

Jesus Diaz(原文/miho)