映画「アベンジャーズ」大ヒットの秘訣は作品への愛。ジョス・ウェドン監督来日インタビュー
SF要素多いけど、実はサイエンスが苦手!?
ついに日本上陸したこの夏最強の映画「アベンジャーズ」。最強のヒーローたちが集結する本作ですが、すでに世界興行収入では「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」を超え世界第3位。そのうえは「アバター」と「タイタニック」だけという絶好調なヒットを世界中で飛ばしています。僕も早速観ましたが、海外での前評判通りの快作でした。もうほんとにヒーロー達がカッコイイ。憧れる。
ギズモードでもこれまで「アベンジャーズ」のネタをいくつか紹介してきましたが、今回はジャパン・プレミアのために来日したジョス・ウェドン監督にインタビューをすることができました。最強のヒーロー達が集結する本作の製作の裏側や続編についてたっぷり訊いてきましたよ。どうぞ!
Gizmodo(以下、G):世界でいま最も観られているという「アベンジャーズ」ですが、大成功おめでとうございます。製作中はアベンジャーズがまさかここまで成功するとは考えていましたか?
ジョス・ウェドン監督(以下、W):ありがとう。正直なところ、誰もこんなことになるとは思っていなかったよ。映画を作るときは「すべて正しくやっている、これは凄いことになる」と不安をかき消すために自分に言い聞かせるけど、本当にこれはみんなの予想を超えたヒットだったよ。
G:これらのヒーローにあまり馴染みがない日本の方々にはどのようなところを見てもらいたいですか?
W:まず言えるのは、これはとてもスケールが大きな映画だということ。でも、僕にとってはとても小さくもあるんだ。キャラクター達が中心の映画だからね。ヒーロー達はマーベルが作ったもので、昔からコミックに登場していて僕も大好きだ。でもこの映画はそれらのヒーローを知らない人、過去のマーベル映画を観たことがない人のためにも作りたかった。はじめは衝突しながらも、最後には協力しなければいけない人々の物語なんだ。
マーベルの世界が舞台で、そこで起きる俳優たちの化学反応がこの映画で僕が一番気に入っているところだね。だからこれまでマーベルやヒーロー達のファンじゃなかった人を招き入れる意味も込めて作ったんだ。
G:あくまで仮定ですが、将来の作品で日本を舞台したいとは思いますか?
W:ああ、もしできたら超クールだね! 物語の設定がアメリカのクリーブランドでも、撮影は日本でしたいくらいだよ。
G:近年の社会不安などを考えた時、「アベンジャーズ」のようなヒーローが活躍する映画は来るべくして来たと思いますか?
W:人々がひねくれた世の中に疲れているという一面ももちろんあると思うんだ。ヒーローもののコミックや映画はタフで皮肉になることで現実の悪いことを包含してきた。「ヒーローは何も救わない」というメッセージでね。
でも僕は昔ながらのメッセージと美学をもって「いや違う、みんなが力をあわせる事がヒロイズムなんだ」と言いたかったんだ。こういう事がいまの世の中に足りないのかもしれない、少なくともアメリカでは。だって、何かのために団結するということ自体がジョークとして扱われるからね。みんなそれを求めているんだと思う。
G:映画を作っている時もそういうことを意識したんでしょうか?
W:もちろん考えたけど、2年後に公開される作品の脚本に時事的な内容を盛り込むのは難しいよ。僕が作りたかったのは、子供の時に観たようなオールドファッションな映画だったんだ。別に昔がそこまで良かったわけじゃないけど、今の映画で失われているものもあると思う。文化的にも個人主義が強くなったことで、映画は非人間的なもの、爆発の連続になってしまったんだ。
だから過去を振り返って、ノスタルジア以上のもの、僕が子供だった時の価値観のエッセンスを捉えたかった。それは普遍的なものだと思うから。
G:子供の時に観た映画とのことですが、例えばどんな作品でしょうか?
W:「スター・ウォーズ」や「インディー・ジョーンズ」、「ジョーズ」といったブロックバスター(大ヒット)の概念を生み出した作品たちだね。時間をかけて作られていて、忘れられないキャラクターたちばかりだった。今つくられている映画とはとても違うものだったよ。僕はそういうものが恋しいんだ。
G:「アベンジャーズ」にはたくさんのヒーローが登場しますが、全員にちゃんとスポットライトがあてられていましたね。やはり脚本を書くのは大変でしたか?
W:ああ、この映画の脚本を書くのはかなり大変だったよ。まるで宿題だね。映画に何もしないキャラクターは入れたくないし、この俳優たちをキャスティングして何もさせないのはもってのほか。だから構成を考えるのは本当に数学的なパズルみたいだった。
でも一度みんなの居場所がわかったら、そこからキャラクターたちにふさわしいセリフや行動を与えるのはとても簡単だった。だって僕もこのキャラたちが大好きだからね。
G:この映画をつくるうえでどの様なリサーチを行いましたか。
W:ものすごい量の科学的なリサーチを行ったよ。スタッフに「科学っぽく聞こえることを探してきて」ってね。僕は大学でも英語専攻だったし、作品にはとても感情的な面からアプローチするんだ。実際に脚本には「サイエンス、サイエンス、サイエンス」というセリフを最初書いて、後でそれっぽい文言に修正したこともあったよ。でも僕らが作品の中で扱ったもので現実的な応用や理論が存在しないものはなかったのは幸運だったね。
G:「アベンジャーズ」は2Dで撮影されて、ポストプロダクションで3Dに変換されましたね。この方法を選んだ理由はなんですか?
W:マーベルの映画のエンドロールの後にはいつも追加のシーンがあるんだけど、「マイティ・ソー」のは実は僕が脚本を書いて監督したんだ。そのときに3D機材で撮影したんだけど、壊れるし、時間がかかるし、とても大きくて重かった。
でも現在の3D変換技術は凄いもので、マーベルにもこだわりがある。3Dを意識して、空間を感じながら撮影するのは僕にとってとても簡単なだった。カメラに向かって何かが飛んでくるだけだと観ていて疲れるしね。だから2Dでも3Dでもうまくいく必要があった。自分の目と意識がそのように働くので、2Dからの変換は難しくなかったよ。
G:「アベンジャーズ2(仮)」でも監督を続投されることが最近発表されましたが、次回作ではより大きなイベント、大きなチーム、大きな悪役を期待して良いのでしょうか?
W:そうらしいね。普通は続編だから大きくするんだろうけど、僕は逆に小さくしたいと考えている。そう言うと「じゃあ、映画のボリュームが減るの?」と逆に聞き返す人もいるけどそうじゃない。
もちろん新しいキャラクターも加わるけど、現時点ではこの素晴らしいキャストに出会ったばかり。彼らがお互いどのような相乗効果を発揮するかはまだ僕も模索し始めたばかりなんだ。僕はいつもスケールの大きさではなく、どれだけ作品に愛情を注いだかが大切だと言ってきた。映画そのものは壮大なスケールでも、よりパーソナルにすることもできる。すでにこれだけのものを与えられているから、足し算をする必要はないんだ。問題はいかに深く掘り下げられるかだね。
G:マーベルのTVシリーズの制作にも協力するそうですね。
W:そうなんだ。これについて話せることはないんだけど、ひとつ言えるとすれば、「アベンジャーズ」が公開されたことでマーベルはエンターテイメント業界で新たな意味を持つようになった。単なるブランドではなく、ある種の考え方となって人々に受けられている。とてもエキサイティングなことだよ。
G:では、今後制作される他のマーベル映画にはどの程度関わっいくのでしょうか?
W:とても深く関わっていくよ。僕の契約は単に「アベンジャーズ2」を作るだけじゃなくて、世界観全体をコンサルティングするためものなんだ。なのでTVシリーズにも関わっていく。ケヴィン(・ファイギ[プロデューサー])とこれから公開される全ての映画について話している。そのどれもが素晴らしい作品となるよう、そして「アベンジャーズ2」につながるように協力しているんだ。
G:統一性をもたせるということですね。
W:そう。でも、それぞれのフランチャイズに独自のアイデンティティがあるべきだから、全てを同じようにはしちゃいけない。だから作品が一定のパターンにはまらないよう注意しつつ、期待に応えられるものにしなければいけないんだ。当然それぞれの作品に「アベンジャーズ」にはないものがなければいけない。統合された世界を構築してくのはとても楽しいけど、同時にすべての作品をユニークにして、みんなが集まった時に刺激的なものにしなきゃね。
G:では「アベンジャーズ2」にはこれから公開されるすべての映画やTV番組の要素が入るということですか?
W:えーっと...(「アベンジャーズ」のポスターを指差して)こいつらは登場するよ。それ以外については、キャラクターたちの葛藤が新鮮なものか、彼らの問題がユニークで現実的なものかによるね。
キャラクターそれぞれの物語の中での彼らの立ち位置はわかっているけど、同時に「アベンジャーズ」シリーズはそれとは別のところに存在しないといけない。「アベンジャーズ」を観た人が、その間の映画を観ずに「アベンジャーズ2」を観ることができる必要があるからね。
単に他の作品からなにかを持ってきて僕の映画に入れるのは、自らの意図に反するだけじゃなく、ひとりよがりな事だと思う。どんな映画であっても、このキャラクターたちとのたった一度きりのチャンスとしてアプローチするべきなんだ。
G:本日は貴重なお時間ありがとうございました。
この夏最強のヒーローたちが集結する「アベンジャーズ」は絶賛公開中。兄弟メディアのKotaku JAPANでもウェドン監督とのインタビューを掲載しているのでそちらもどうぞ!
また以前の「アベンジャーズ」特集記事、アイアンマンのスーツ着脱シーンを手がけた日本人スタッフ・山口圭二さんのインタビュー記事もあわせてどうぞ。
(ニール太平)
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