次世代飛行機はこんな形? X-48Cが処女飛行に成功(動画あり)

次世代飛行機はこんな形? X-48Cが処女飛行に成功(動画あり) 1

海のエイが空を泳ぐよう...

翼と胴体の切れ目がないブレンデッド・ウィング・ボディ(Blended Wing Body:BWB)。民間の旅行者にはまだピンとこないデザイン(フォーカスグループには円形劇場風の座席が不評だった)ですが、軍用にはかなり期待が持たれています。

巨額の開発費を投じる前にとりあえず下調べしようってことで、NASAが作ったのが以下の写真の1:8.5スケールのRCデモ機「X-48B」。今月7日カリフォルニア州モハヴェ砂漠のエドワーズ空軍基地上空を処女飛行に成功した「X-48C」の前身ですね。

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普通のラジコンとは全く別物! ボーイング研究部門のファントムワークス空軍研究所の共同デザインで、翼幅は20フィート(6m)。ブレンデッド・ウィング・ボディの構造・空気力学・操作性の特徴を忠実に踏まえています。

重量500ポンド(227kg)。JetCat P200ターボジェットエンジン3基搭載。最大時速136マイル(219km)、最大高度1万フィート(3km)、最長飛行時間40分。

民間の航空会社には不人気ですが、ブレンデッド・ウィング・ボディは既存の航空機より優れた点も。特に多目的・長距離・高容量の輸送機として期待が持たれてるんです。

形状がフラットでボディが翼の一部として機能するので、空気抵抗が減り、そのぶん飛行距離が伸び、燃料がセーブされ、騒音が減り、積載量が上がり、製造・メンテのコストが下がる...とまあ、いいことずくめ。

X-48の試作機は、1990年代後半にマクドネル・ダグラス社のエンジニアが企画したのが最初です。マクドネル・ダグラスとボーイング合併後は、NASAラングレー研究所と共同でX-48プログラムの前身となる翼幅17フィート(5.2m)のプロペラ駆動の無人機を製作し、そちらは1997年に短期間だけ飛ばしました。

ところが2004年に35フィート(10.7m)のBWBモデル「X-48A」を飛ばしたのを潮に、ボーイングは開発プロジェクトを中止にしてしまいます。

通常この手のR&Dプロジェクトはいったん中止になると復活はないものですが、2007年ボーイングは小型&堅牢な改良型「X-48B」を軸に再開。英国でクランフィールド・エアロスペース社が2機製造し、同年7月にNASAドライデン飛行研究センターでテスト飛行したときには高度7500フィート(2286m) まで到達、滞空時間30分を記録しました。

ボーイングでプロジェクトのチーフエンジニアを務めるノーマン・プリンセン(Norman Princen)氏は当時こう語っていました。「先の風洞テストと次の飛行テストではBWBの低速飛行制御、特に離着陸時の制御の特徴を調べることに重点を置いています」、「これらの特徴を我々のモデルでいかに正確に予測できるかが、今後このコンセプトの開発を続ける上で重要なのです」。2年近くに渡ってテスト飛行を92回行い、2010年3月、ボーイングとNASAはX-48B初期テストを終了。

その後もボーイングはX-48の性能改善を続けてきました。上の動画の新型「X-48C」はその最新型で、デザインはボーイング、製造は英クランフィールド・エアロスペース。

シャーシ(胴体)はX-48Bのものをそのまま使ってます。X-48Cはハイブリッド・ウィング・ボディ(Hybrid Wing Body:HWB)採用で、X-48Bよりさらに静か。Bと違うのは、上向きのウィングレット(小さな翼)を外の翼端からエンジンの隣に移動したお陰で安定性も向上した点と、さらに推進エンジン3基をもっと小さな89ポンド(40kg)の推進エンジン2基に交換した点など。

X-48Cは「ハイブリッド・ウィング・ボディ(HWB)」の低騒音版の低速安定性と制御力を調べるため作られたモデルです。今から20年後の航空デザインを考えるNASAの「環境的責任 航空プロジェクト(Environmentally Responsible Aviation project)」の一環で研究開発を進めている航空デザイン。今の赤ちゃんが大人になる頃には、こういうエイみたいなのが音もなく空を行き来してるのかもしれませんね。

NASA[Defense Systems - Wikipedia - NASA - Boeing]

Andrew Tarantola(米版/satomi)