岩を精査して分かった。35億年前から地球上に生命は存在した

岩を精査して分かった。35億年前から地球上に生命は存在した 1

地球ができたのは46億年前と考えられています。

では、地球上に生命が生まれたのはいつなのでしょうか? 生命活動の結果であるストロマトライト(藍藻類と堆積物が層になっている岩石)が27億年前にできているので、27億年前には生命は存在したようです。また2006年には、オーストリアの Strelley Pool断層にある岩が35億年前に生命活動の結果できたものであるという論文がでています。今回、その論文を裏付ける研究が発表されました。

研究には硫黄の同位体の測定が使われました。同位体とは、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子のことです。安定な物と不安定な物がありますが、安定同位体は基本的に一定の割合で存在します。しかし、細胞活動の際にはより軽い原子が優先して使われる傾向にあるので、非生物性のものと生物性のものでは同位体の割合が違うということがおきます。

硫黄には4つの安定な同位体があります(不安定なものも含めると25もあるのですが)。32Sが天然存在比94.9%と最も多く、次に33S、34Sが測定できる位の量あります。残るのは36Sですが、天然存在比は0.02%しかありません。バクテリアは硫黄を硫化水素(H2S)という形で利用しますが、32Sを1番好みます。結果として、32Sの最大70%がH2Sとなってバクテリアに使用されます。

しかし、同位体の割合が変わるような原因というのは生命活動以外にもあるので、岩全体で同位体の割合を調べても何も言う事ができません。生物の存在を証明するためには岩全体で見るのではなく、岩の内部で同位体の割合にばらつきがあるということを示す方が有効です。同位体の割合のばらつき方によって、この層はただ外の環境が捉えられたもの、この層は生命活動の結果である、とかそういうことを言うことができるのです。つまり、層ごとに同位体の割合を調べる必要があります。

論文の執筆者は、岩を薄くスライスして、表面の硫黄の同位体の割合を調べました。そして層により34Sの存在比が変化していることが分かりました。存在比のレンジは−17.4%から36.6%と50%以上になっており、このレンジの広さは岩の中に生物由来のものがあることを示しています。

論文執筆者は、これは岩の中に生命体自体があるということを証明するものではないが、その時代に生命体がいたということを示す証拠にはなるのではないかと書いています。また、それほどに早い段階で私たちが現在も行っているような、軽い原子を利用するという代謝の工夫が行われていたことも示しているとしています。

この研究により、複雑な生命活動が行われ始めたといわれる時期が3.5億年早まりました。これは、後期重爆撃期から3.8億年しか経っていないということも示しています。また多細胞生物が出現したと時期とはおよそ20億年の開きができたことになります。その超えがたい壁を超えるにはそれだけの大変な年月が必要だったようです。

正直、複雑な生命活動が行われ始めたといわれる時期が3.5億年早まりました、って言われても全然ピンとこないのですが、3.5億年差って結構なんでしょうね。3.5億年前が地球がどんなだったかを考えると、あーすごい研究なんだなってちょっと分かるような気がしてきます。

[Ars Technica]

mio(米版