アップル、サムスンからCPU設計のトップエンジニアを引き抜く

アップル、サムスンからCPU設計のトップエンジニアを引き抜く 1

アップルがその独自チップ強化に向けてさらなる一歩を踏み出したようです。ウォールストリート・ジャーナルによると、アップルはサムスンから熟練エンジニアのジム・マーガード(Jim Mergard)氏を引き抜いたのです。

これには、いくつか大きな意味があります。まず、アップルの独自チップ設計への深いコミットメントを意味するものになります。iPhone 5A6チップは独自カスタムコアを使った最初のチップでした。A4、A5、A5Xと、アップルはカスタマイズしたチップを使ってはいましたが、それらはみんなCortex-A8やA9といったARMアーキテクチャ上に構築されたものでした。つまりこれまでは出来合いのものの一部をいじっただけだったんですが、A6ではARMのリファレンスデザインを使いつつ、一から独自に作ったんです。それはチップデザインにおいては大きな違いで、このことによってA6のパフォーマンスとバッテリーライフが一度に改善したんです。

 

 

マーガード氏は、AMDでSoCチップやローエンドPC向けAMDチップの設計を長く手がけた後でサムスンに入った人物です。ウォールストリート・ジャーナルでは、AMDの元役員のパトリック・ムーアヘッド(Patrick Moorhead)氏が「アップルはMac用SoCチップを作る方向に向かっているのではないか」とコメントしています。中でもMacBook Air用チップを独自に作るのが一番ありえそうです。または、A6用に作ったカスタムコアをさらに改善して、他社からキャッチアップされないようにするためかもしれません。

サムスンもそんな競合のひとつになります。なるべく優秀な人材を求めようとした努力の結果なのでしょうが、サムスンから引き抜くことにはアップルにとって特別な意味があったことでしょう。図らずもそのタイミングは、サムスンがチップデザインに注力すると表明した矢先のことでした。

ひとりのエンジニアの居場所が変わったからといって、すぐに何かが変わるわけではなさそうです。でもこれから、次世代またはその次の世代に、アップルがそのチップを他のものから差別化するにつれて、この引き抜きの意味の大きさが見えてくるのでしょうね。

[Wall Street Journal via Cult of Mac]

Kyle Wagner(原文/miho)