アップルの背中はもう見えない。「トップを行く者」から「後を追う者」になったのだ

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アップルは、もうトップを走っていないのか。

iPad miniに、新iMacにMac mini等、新しい商品を発表したばかりのアップル。イベント冒頭では、iPhone 5やiOS 6の栄光っぷりが大々的に語られていました。トップを走り続けるかのようなアップルに、米Gizがするどく意見しています。「アップルはもうトップではない。後を追う者になったのだ」と。米Giz読者に大反響だった辛口記事、紹介しますね。

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アップルはiPad miniなんて作りたくなかった。小型タブレットが成功した世間に押されただけなのだ。アップルが渋々動く姿はすでに多く見られている。現に、今年にはいって後追いで何かを行なうのはこれが最初ではない。

リリースの度に、アップルはもうペースカー的な存在ではなくなってしまったということがわかってくる。アップルは、トップを走る者から、後を追う者になってしまったのかもしれない。

iPad miniは、そのサイズからも値段からも、昨年のアマゾンKindle Fire、そして今年夏のNexus 7への対抗馬だと伺える。そもそも、iPhone 5発売前は、アップルはユーザーは大きなディスプレイを欲していると言っていたではないか。地図の問題もある。アップルの地図に対する計算ミスで、ユーザーは不便を強いられ、アップルがグーグルとの7年間の差を埋めるのを待たなくてはいけない。

2012年のアップルの姿を、1998年から2010年のそれと比較してみるといい。アップルは市場に反応したことなどない。市場を作り出していたのだ。iPad登場前に、世間はここまでタブレットを欲してだろうか? iPhone登場前に、誰がスマートフォンというものに光をあてただろうか? そして、これらの端末は10年間分の技術を形作った。アップルストアという形、誰がこのようなスタイルを考えついただろうか? 未だに完全に真似ができているものすらいないではないか。

例え同じ様な動きを繰り返している時期ですら、常に前に進み続けていたのがアップルだ。iPod以前にもMP3プレイヤーは存在していた。しかし、ユーザーにここまで愛され、デザインに優れたものはなかった。初代MacBook Airは、ただの高額で薄いだけのマシンだった。が、2010年には手が届く切れ味のいいマシンへと変化をとげている。他社のウルトラブックは、最近やっと追いついてきたところだ。遡れば、初代iMac。初代iMac登場前にあんなデザインのものがあっただろうか。今後もないと言ってもいいくらいである。

アップルは、「Retina」をただのバズワードから業界スタンダードにまで変化させた会社である。アップルは、人々がその存在自体を知る前から、それを欲しがるということを知っている会社である。

アップルは、長きにわたって大きな成功を収めてきた。そして、その成功が企業を拡大し、その拡大が動きの遅さへと繋がって行ったのだろう。「何を急ぐ必要がある? iPhoneは3.5インチスクリーンで十分売れている。」「何を不満に思う? Kindle Fireのその安価さにレベルを合わせる必要はない。」株主や役員はそう応えるだろう。有り余るキャッシュがある今、次を考えるのは難しいだろう。次はどうする、次は何をする?

そして、市場シェアが下がりだして初めて気づくのだ。人々はより大きな電話を買っているぞ、より小さなタブレットを買っているぞ、そしてそれを友人に勧めているぞ、と。市場のニーズに対して反応するという、今までになかったポジションに自分がいることに気づくのだ。今まででは考えられなかった、他社の動きに合わせて動くのは簡単なことではないだろう。アップルのここ最近の動きはまさにこれだ。他社が数ヶ月前、または昨年だしたプロダクトに追いつくための何かを作っている。

もちろん、人々が欲するものをアップルが作ることは何も悪いことではない。むしろ作らない方がおかしい。確かに、まだ革新的なプロダクトはアップルからリリースされ続けている。薄いiMacしかり、RetinaのMacBook Proしかり。しかし、アップルという会社から出されるものが、他社の進歩の影にはいってきているのも事実だろう。10年前、アップルは考えもしなかったものをリリースしていたのに、だ。道を作り人々を進ませてきたかつてのアップルは変わった。今は、人々が道を曲がれば自分も曲がるようになったのだ。

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なかなか辛口な意見です。が、わからないでもないです。アップルの発表会で驚くことはなくなった、全て予想通りだという意見がありましたが、今回のはそれと近い意見ですよね。

それも全てアップルへの愛故えに、なのですが。今まであんなに輝いていたじゃないか、背中がもっと大きく見えたはずなのにというこの気持ち。これを受け止めるのは、トップを走るものに課せられた運命なのでしょう。人は何事にも慣れてしまいます。いつも100点を取っていれば、そのうち100点は当たり前になり、人々はもっと上を期待し始めます。

本記事は、米Giz読者の間でも大きく話題になり様々な意見がコメント欄で交わされていました。

「では、他にリーダーとなりうる企業はあるのか? それとも企業ではなく、リーダーとなるプロダクトという端末レベルの話になるのか?」

「アップルが市場を作り、他社が似たものを作る。勝ち目はないから、似たものでサイズ違いをつくりニッチなところで売る。他社の多種多様なサイズが出そろったところで、上と下の両方を抑えたサイズの端末をだす。これは、アップルの昔ながらのやり方で、何も変わってないと思うけど。」

「アップルのやり方なのか、スティーブのやり方なのか、だよな。」

「ラップトップ市場では最強だけど、確かに電話はいまひとつ。」

「アップルが市場を0から作ったわけではない。前からあったものを取り、それをもっとよりよく活かすのが上手いのがアップルだ。」

人々の期待はアップルの宿命。ここまで人を熱くさせる企業なら、順位は問題ないのではとも思います。しかし、革新という点では、トップと2位以下の間には大きな壁があるのは確かです。先頭を走るもの以外は、2位でも3位でもない、全て後を追うものになりますから。

そうこ(Brian Barrett 米版