これまで持った中で最高最悪なラップトップ、それはRetina MacBook Pro

これまで持った中で最高最悪なラップトップ、それはRetina MacBook Pro 1

何ヶ月か前、人生変わる出来事がありました。iPad買ったんです。

「人生変わる」と書くと大げさだけど、それまでアップルは全部パスのアンチだったんですね。Linux信者でAndroidファン。使うマシンはWindowsだけ。Winは必要に迫られてっていうのもあるけど、MacBookなんて使ってるとこ人に見られたら終わりだと思っていたから。そんな調子なのでiPad買ったのもテストで使うretina端末が必要だったから。少なくとも最初の目的はそれでした。

ところが買ってみたら、意外といいんですね。すっかり気に入ってしまいました。毎日画面見て暮らす身としては、あの画面にまず驚きました。これまで見た中で最も美しい画面のひとつ。テキストもクッキリ鮮明で、ちっこい字を読んでも目が疲れない。これラップトップでも使いたいなって思ったんです―。

(本稿は、最近アップルに宗旨替えした開発者兼デザイナーのマシュー・マクミリオンさんがティム・クック&アップル宛てに書いた公開書簡。ジーニアスに散々振り回された体験を綴っています。最後にはハッピーエンド?が待ってますよ)

その頃メインで使ってたマシンはDell XPS 17。僕の誇り、楽しみ。デカいけどパワフルで、結構なお金(2000ドル近く)はたいてRAM16GB、SSD、当時最速のi7まで全部揃えたやつです。あのビースト(タフマシン)は僕の人生そのもの。朝から晩まで、毎日使っていました。

もちろん欠点もゼロじゃなくて、一番目立つのは画面です。それまで見た中で最悪な画面。荒くてどんよりザラザラしてて、梱包・発送の前に誰かがサンドペーパーでこすったんじゃ...と疑ってしまうほど。初めて箱から出して電源入れた時の気持ちの盛り下がりは今も忘れません。完璧にこだわる性格なのは自分でもわかってるけど、2000ドルでこれはないよって思いました。

で、デルに電話して、海外技術サポートと格闘1時間。「コンピュータ再起動してください」という人、「それ普通です」という人。紋切型の電話サポートを我慢して、なんとか上のDell XPS推奨のサポートまで話を通してもらいました。すると...これは今でも一語一句覚えてんですけど、彼はこう言ったんです。「あの画面に欠陥などあるわけありません」、「ですがお客様の期待に満たないのでしたら、こちらでなんとか対処します」

デルすげーと思ったのは、この神対応ですね。すぐ別の画面がオーバーナイトで送られてきたんです。翌日デル公認技師が勤務先に来て、ものの15分で、それまで見た中で最高に美しい画面に交換。燦然と輝いて触られるの待ってるディスプレイを見て、こっちはもう「ワオー」のため息ですよ。「デルの技術サポートってこんなこともできるわけ~?」。感動でした。

 

僕の会社の共同創設者の中に、生まれてずっとMacしか使ったことないようなMac使いがいます。僕がアップルの悪口言っても何もあんまり言い返さなくて、でも「あー僕が宗旨替えするの我慢して待ってるだけなんだなー」というのは言われなくても分かるんですよね。実は自分だって乗り換えたかった。OS Xはウェブ開発ツールがいいの沢山あって、羨ましかった。Linuxもいいんだけど、問題なく動かすにはPhotoshopとかIllustratorが要るし。今は自分の会社をやってるんで1日何時間もOSいじってる暇ないので、何も考えなくても動くマシンが理想です。MacBook ProとOS Xはかなり魅力だったけど、我慢しなきゃいけなかったんです。でもそれを知ってか知らずかアップルは僕の一番弱いところに直球投げてきました。

MacBook Pro Retinaディスプレイモデル発売。

これで陥落。あとは周囲に言わせると雪崩れのようなもんで、MacBook買ったら次はTime Capsule、周辺機器ぜんぶ、iPhone、Thunderboltディスプレイ...という下方スパイラル。夢中で買って、たちまちOS Xの虜になりました。必要なものは全部揃えて、最高の動作環境にしました。Androidはカスタマイゼーションとかギークなことイロイロできたんだけど、携帯・タブレットに必要なものを早く揃えたかったので、それも自分からギブアップして。近くのアップルストアの人とも顔なじみになって、会社の名前まで覚えてもらって、Thunderbolt Display買う時には法人ディスカウントもしてもらいました。それやこれやで、デルの神対応のこともすっかり忘れてたんです。新MacBookで問題が起きるまでは。そうです、あの残像の不具合。

問題が起こってるのはもちろん僕ひとりじゃありませんでした。アップルのフォーラムには、ゴースト問題に関しこんなでかいスレが立ち上がってます。返品可能な最初の14日の間に気づいた僕はまだラッキーな方でした。

3500ドル近く払ってこれかよ。納得いかないので、早速最寄りのアップルストアに持っていって、ジーニアスバーに座って、対応がくるのを辛抱強く待ちました。ちょっと期待してたんです。アップルの対応はとても親切だって前に人から聞いてたので、やっと自分の目で確かめられるなって思って。

その時はまだ発覚から時間が経っていませんでした。一部のブログで紹介されて、先述のスレッドが立った後で。僕らも参加したスレッドのやり取りでは、「怪しいのはLG製スクリーン」というところまで問題は絞り込めました。サムスン製スクリーンの人には出てない問題だったんです。

窓口で対応してくれたジーニアスは、そんな問題は聞いたことないって言ってたんですが、その場でやってみたら問題は簡単に再現できたんですね。すると彼は「仕様の範囲内のことだ」と言ったんですが、なんせ14日の返品期限前だったので僕は新品に交換してもらえたんですね。まあ、あと1日しか残ってませんでしたが。rMBP(Retina MBP)はサムスン製が当たるかどうか分かんないので、Retinaは次のモデルまでいいやと思って、標準のMacBook Proにしました。その日の午後は出張に出ちゃうので、とにかく使える端末が必要だったんです。

これまで持った中で最高最悪なラップトップ、それはRetina MacBook Pro 2

週末は惨めでした。豪華な画面が恋しくて恋しくて。画面上のものは全部ファジー。目もショボショボに疲れて。こんなのもう懲り懲りだ。そう思って日曜の午後早く出張から戻ってすぐアップルストアに直行したんです。店に入ると一直線でMacBook突き返してRetina抱えて店を出ました。家に帰るとちょっと開けるの怖いぐらいだったけど、なんとか起動してTime Capsuleから修復してログイン。ターミナル開けて重要なコマンドぶちこんでディスプレイのモデルを真っ先に確認しました。

サムスン製

ひゃービンゴ、大当たり! 僕は喜びのあまり椅子から飛び上がりそうになりました。スレに報告する時は、なんだか僕だけサムスン製で悪いね...と一抹の後ろめたさを感じたぐらいです。でも僕はハッピーでした。自慢のマシン。最高のマシン。やるべきことはやった、という気持ちでしたね。画面は尋常じゃなく綺麗で、これまで持ったラップトップで最高です。アップルあんたの勝ちだよ。人生最高の1ヶ月でした。

ところがやがて、画面に小さな白い斑点が現れることに気づいたんです。「mura」って呼ばれてるやつ。これが発狂寸前なぐらい目障りなんです。キラキラしてるんで仕事の邪魔になるなる。「ディスプレイのエンジニアリングのブレイクスルー」、「アップルのディスプレイの最高傑作」がこれ。これだったらデルの方がまだいい。

その頃にはもう14日の返品期限は過ぎてましたけど、Apple Care(1年の製品保証)買ってたので、セーフだって思って、地元のアップルストアにアポ取って行きました。問題を説明してジーニアス(最初のMacBookの問題で対応した人と同一人物)に斑点見せたら...

「見えない」って言うんですよ。ハッタリで言ってんだろと思って、同じところをまた指さしたら、なんだかワケのわからない御託を並べ始めたんです。「あのねえ」と声を荒げて、「スクリーンは1台1台全部違うんですよ」

そりゃそうだ。で、これは欠陥品なんだよね。というわけで10分ぐらいかけて、一生懸命ウンと言わせようとしたんだけど、肩すくめるばかり。しまいには残像の問題は画面じゃなく僕の目の問題だとまで言われて、結局、交換してもらえませんでした。

「じゃあ、助けてもらえないんですね」と僕。

「交換はムリですよ」と即答する彼。

怒りで顔が紅潮する僕。

「じゃあなんのために余分なお金払ってApple Care買ったの?」

「だから最初の2台は交換してあげたじゃない、違いますか?」

絶句。あれだけアップルのエコシステムにお金注ぎ込んで、こんな対応されるとは...。そんな大したお金じゃないのはわかってます。でも僕の会社は小さいなりにこの数ヶ月かで2万ドル近く払ってるんです、もっとまともな対応ってもんがあるでしょう。もちろん怒ったけど、それより傷つく気持ちの方が大きかったです。泣き寝入りする以外ないなんて信じられませんでした。呆然として、そこに座ってたのが30秒か30分かも覚えてませんが、MacBookを鞄に押し込んで「どうも」と言ってトボトボ店を出ました。

それが3日前のことです。あれから時間をおいて考えをまとめて、気持ちも少し落ち着いてきました。僕は怒ってますけど、理不尽なこと言ってるわけではありません。MacBookは好きだし、今まで持ったラップトップで最高だという気持ちに変わりはありません。しかし、アップルの対応には腹が立ちます。これが新しい最先端のテクノロジーなことは我々も理解してるし、問題があることもわかるんです。我々はただ人間扱いしてもらいたいだけ。

高望みはしません。タダでなんかくれって言ってるわけでもありません。僕は「これまで持った中で最高のラップトップのひとつ」から「これまで持った中で最高のラップトップ」になってもらいたいだけです。お金を払う客は客として扱い、「これからもお金を払う客」でいさせてもらいたいだけ。ベストと言うなら、それを実証してください。デルにできてアップルにできないことはない。

スティーブなら対応してますよ。

後日談~You win, Apple

(書簡公開後の)この1週間で僕は以下のことを学びました。1)自分の行動・発言の中身に関係なく、ネットでは嫌う人は嫌う。褒めてくれる人もいるけど、大体の人はウジウジ嫌味なバカ、という反応。2)ウジウジ嫌味なバカをやることで道がひらけることもある。

あの後アップルが問題に対処してくれたんです。僕の書簡を読んだアップル法人エグゼクティブ関係担当ザイナブさん(異様にナイス)から連絡がきて、アップルのエンジニアに繋いでくれたんです。で、交換対象品であることに同意し、rMBPの画面交換手続きをしてくれました。翌日にはrMBPも無傷な(サムスン製の)スクリーンに復活しました。感動。

アップルは信用できるかって? もちろんNO。グーグル、マイクロソフト、デル、サムスンなど他の大手と似たり寄ったりです。強く押せば、アップルは対応してくれます。でもだからってMacBook Pro Retinaの抱える大きな問題が消えるわけではありませんからね。利幅も大事だけど、大体のユーザーは気づかないだろうって期待して平均以下のディスプレイ仕入れるのは罰当たりなことだと思います。みんなそういうことやってるんだろうし、石ころ投げたところで巨獣が倒れるってものでもないけど、時々こうやって注意を喚起するのは良いことだと思います。

結果オーライで、僕は満足してます。払ったなりのものはもらえたし、何か必要な時にはアップルが来てくれるんだなって前より自信がつきました。MacBookはこれが初めてだけど、これで最後ということはないと思います。

Matthew McMillion】プロのデベロッパー兼フルタイムのナード。パートで怒りの手紙も書く。Twitterは@MLMcMillion

Teardown image credit: iFixit

Matthew McMillion原文/satomi)