あのSony Nexusの偽写真は僕が作りました

2012年10月15日月曜日は平穏でした。ソーシャルウェブは前の晩のレッドブル後援の成層圏ジャンプの話でまだ盛り上がってて、RedditのAMA(何でも聞いてね)のコーナーは俳優レイン・ウィルソン(Rainn Wilson)の回で、特に事件らしい事件もなくて。でも一部の人はリークした新製品の裏取りで検索に忙しかったのではないでしょうか。

そう、あのSony Nexus Xの画像を捏造したのは僕です。

本当にすみませんでした。でも、あの経験でわかったこともあるので、フェイクを作った経緯・動機と併せてここでシェアしたいと思います。

まずは偽情報が広まるまでの経緯を図で振り返ってみましょう。

経緯

121017sonyNexus.jpg

動機

やってみようと思い立ったのは10月13日土曜日のことでした。最初はあんまり深い考えもなくて、単に3Dモデリングのモチーフとして面白かったってことですね。あと、SONYデザインのNexusならこんなのが理想だし、あり得ない話でもないな、というイメージが半分出来上がっていたというのもあります。悪意はありません。スキル磨きたい、というだけで。

LG Nexus 4の噂を参考にしながら、ネタ元でどれぐらいPRしたらこの種のリークに報道機関が飛びつくのか、考えてみました。Nexus発売の時期には未確認の「タレコミ」が相当数くるはず。僕が知りたかったのは...

・どの段階でGOを出すのか?

・原稿公開前に本物か偽物かの裏取りはするのか? 

・ネタ元のネタ元のネタ元まで遡って、大本の人間に直接取材するのか?

フェイクは来ては去り来ては去り...毎度のことだけど、外で見てる僕らには報道の舞台裏を見る機会は滅多にありませんからね。

2つ目の動機は、Sony Nexusのことをみんなに真面目に考えてもらいたかった、ということです。SONYのようなメーカーが出す最高のNexus体験を求める声が市場にどれだけあるか、それをグーグルSONYに見てもらいたかったんです。pogoピンや交換可能なバッテリーといったディテールを盛り込んだのも、消費者待望の機能だという反応を引き出すため。アルミのトリムとバッテリードアはJpegの圧縮で画像が荒くなってたので、あまり話題にされませんでしたが、あれもNexusユーザーにとっては大事なポイントだと思うのです。LG Nexus 4は偽クロムと聞いて萎えました。ブラッシュドアルミならともかくプラスチックにクロームメッキ貼り付けても...オエーという感じです。

結果

Picasaに偽写真をアップロドードして48時間で僕は本当に沢山のことを学ばせてもらいました。ハイテク報道のこと、起業のこと、イノベーションのこと、哲学のことなどなど。

ハイテク報道は動きが早くて、雪崩れのようです。誰が最初に広めたのかはよくわからないんですが、XperiaBlogに出て15分で記事が何ダース分も出ました。未確認情報と念押しする媒体も多かったんですが、どことは書かないけど大手ブログの中には「SONY NEXUS Xのリーク画像」と飛ばし記事出しちゃってるところも複数ありました。あちゃー。

Picasaアルバムの持ち主は僕なんだから僕にひとこと訊けば済む話なのに、誰も取材してこないのには驚きましたね。 マジで誰も僕(ハンドルはMutul Yeter。誤字ってます)にはコメントしてここなかったんです。いやあ、僕が記者だったら何はさておきリーク画像投稿した本人に当たりますよ。本人認めるわけないだろって思うけど、もしかしてそれで偽物ってわかったかもしれないじゃないですか。

悪い話ばかりじゃありません。中にはAndroid Policeみたいに信じられないぐらい細かく検証して偽物と判定下した神ブログもありました。普段からそういう冷静なところが好きなんですが、さすがです。

そんなこんなで「Sony Nexus X」関連ニュースは現在1000件。科学的根拠は全くないのだけど、仮に取材・執筆・編集・公開まで平均15分で終わらせたとすると、僕はここに居ながらにして日曜の午後ちょちょっと手を動かしただけで、15000分(250時間)相当の人的資本を動かした計算になります。

これ読んで討論に加わって偽物と暴いた読者(たぶんみんな勤務中)まで含めたら、もっとすごい数になります。Redditで1ページ目に出たのが人生のハイライトで海外知名度ゼロの僕がですよ。努力らしい努力もしないで家でヌクヌクしていながらにして、ものの24時間でロシア人、日本人、ウズベキスタン人、イタリア人にまで影響与えてしまってるこの状況。 これでスゲーッて思わない人はあれだ、音楽にときめく気持ちもとっくの昔に忘れちゃった人だね。

(後略。人間は予測不能なもの。ネットはまだ始まったばかりで誰も予想できないんだから、起業家もVPも開発者も希望捨てないでがんばろうねって締めてます)

*本稿はTi Kawamotoさんから許可を得て再掲しました。

Ti Kawamoto原文/satomi)