ついにSurfaceにタッチ! そのとき、MSのデザイナーが語り出した...

ついにSurfaceにタッチ! そのとき、MSのデザイナーが語り出した... 1

これ行けるかも...!

マイクロソフトのSurfaceは10月26日、正式発売されます。僕らは今回マイクロソフトの極秘研究所に足を踏み入れることを許可され、発売間近のSurfaceを見たり、短時間ながら使ったりもできました。で、Surfaceは「買い」でしょうか? 答えは「かなりその可能性が高い」です。

少なくとも、マイクロソフトはそう叫んでいます。

注意:Surfaceの発売日と価格だけわかればOKという方にはここでお知らせです。10月16日から販売予約が始まっていて、32GBモデルが499ドル(約4万円)です。ただしそのモデルには誰もが欲しくなるタッチキーボードカバーが付属してないので、それを付けると599ドル(約4万8000円)です。64GBモデルが699ドル(約5万6000円)でキーボード付きです。マイクロソフトが自社ストアで販売してます(記事翻訳時点で日本からは買えませんが...)。

その日僕らは、マイクロソフト本社のあるワシントン州レッドモンドの何の変哲もないショッピングモールにいました。そこにマイクロソフトの極秘店舗があったんです。誰も入れないようにロープが張られており、警備員がガードしていました。僕らのスマートフォンは、店舗に入る前に回収されました。

その店舗は、Surfaceを販売するためのマイクロソフトストアのプロトタイプ、「ストア・ゼロ」でした。フェイクのストアですが、考えていることはリアルです。そこでは何もかもSurfaceで、いたるところにSurfaceという言葉があり、店内の半分はSurfaceのサンプルで埋まっています。背後の巨大なスクリーンではSurfaceの初広告のプレビューが流れていました。映画『Step Up 2』や『G.I. Joe』シリーズの一作品も手がけたジョン・M・チュ監督によるその広告では、登場人物たちがSurfaceを持って踊ったり回ったり逆さまになったり、まるで『グリーン・デスティニー』と『glee』が合体したみたいでした。

マイクロソフトはSurfaceを、まるで親が出来のいい子供のことを語るように表現します。実際、作った人の中にはSurfaceを複数の場面で「ベイビー」と呼んでいる人もいます。

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広告に描かれていないのは、実際Surfaceをどう使うかってこと、そしてなぜそれを使う必要があるかってことです。これはちょっと謎です。というのは、マイクロソフトは今回、Surfaceについてどれだけ考え抜いたかってことを僕らに説明するためにわざわざツアーまでしてくれたんです。そしてそんな彼らの努力を疑う理由もありません。マイクロソフトはかつてないほどの熱心さと配慮をSurfaceに注ぎ込んでいて、それはアップルがiPhone 5のデザインに傾けた努力に匹敵すると言っていいと思います。

たとえばスクリーンサイズに関しても悩みに悩み、Windows 8のマルチタスキングを使うのに理想のプロポーションになるまで1インチの間を行ったり来たりしました。そこでは独自の技術が使われていて、解像度が低くても全体ではiPadのRetinaディスプレイより高画質であるとされています。実際見た印象も良かったです。またSurfaceでは、本とかその背表紙のような感触の実現が追求されました。キックスタンドは、プロジェクトリーダーいわく、閉じたときのクリック音が完ぺきになるよう注意深く作られています。このクリック音に関しては、売りたいがための余計なこだわりとも感じられましたが、いろいろ聞くうちに、マイクロソフトは真に美しくて完ぺきなものを追求したんだなって思えてきました。

Surfaceには、そのクリック音を出すためだけのカスタムデザインのヒンジが付いています。

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アップルのジョナサン・アイヴに相当する人物率いる工業デザインチームが、マイクロソフトの創造神話を語ってくれました。Surfaceのストーリーは彼らいわくWindows 7が完成するより前、「iPadがまったく存在しなかった」頃までさかのぼります。Surfaceとはその形態にかかわらず、マイクロソフト的なもの、コンピューター的なものの当然の進化形だ、と彼らは言います。

彼らによれば、Surfaceはゲームとか映画を飛行機内で見るための手段ではなく、何かを作り出すためのものです。実生活で使う何か、たとえばメール、小論文、プレゼンテーションなどです。お金や進級や満足感につながる何かです。広告に描かれたようなセクシーな存在とかダンスとかじゃなく、陳腐な言い方をすると「生産性」です。創造であって、消費ではありません。

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言い換えれば、「iPadなんかダメダメ、僕はこれで書評を書いているんだ」とか、「Kindle Fire HD? 私は本を書いてるんだよ、読むんじゃなくて。」っていうことです。少なくとも、マイクロソフトはそんな構図を作り出そうとしています。

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すごいのは、それが虚勢じゃないってことです。SurfaceはWindowsを搭載していて、それはこの2012年においてセクシーなことではないけれど、その分重要なことでもあります。Windows 8のタブレット版であるWindows RTだって、デスクトップで使い慣れた道具はほぼすべて備えていて、それらをMetro UIで、タッチで使えます。なのでTwitterフィードや地図を、スワイプで流れるように使えたりします。Surfaceのタッチディスプレイは、僕が使ったものの中でももっとも反応が良く、しかもデスクトップのキーボードの感覚でタイピングも可能なんです。

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そう、僕らはついにTouch Coverにも、手を触れることができたんです(研究所の監視付きではありましたが)。感圧式キーボードとトラックパッドが極薄のシートに収まっていて、使いにくい感じはまったくありませんでした。ただ、多少の慣れは必要です。ミスタイプも多くなりましたし、最初に使ったときはちょっと心もとない感じがしました。でも、10分程度で自分の脳がそれに順応しつつあるのを感じられ、ボタンを押し込む感覚がないことにも慣れて、字が表示されるのを見て指が動くようになってきました。

また、文字を間違って入力するようなことは決してありませんでした。たとえばうっかりキーボードに手首を置いてしまっても、「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」とかタイプされるようなことは起こりませんでした。ちゃんと意識してタイプしているときだけ検知するようなアルゴリズムになっているんです。

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マイクロソフトいわく、Surfaceでフルスピードでタイプできるようになるには約5日かかるそうです。僕自身は使った時間が短すぎて「5日」が妥当かどうかはっきりは言えないんですが、実際はその2倍程度じゃないでしょうか。

いずれにしてもちゃんとタイプできるってことは、今はiPadで「k thx(OK、サンクス)」ってメールする程度で済ませているのに、Surfaceを使うともっと仕事ができてしまいそうだってことです。そう思うとむしろげんなりする面もあるんですが、Surfaceの目的はまさにここにあります。であれば、5日か10日かわかりませんが、その程度の労力であれば、かける価値がありそうです。

残念ながら写真撮影は許可されなかったので、以下にデザイン上の興味深いポイントを列挙します。

  • 現在のSurfaceのデザインのインスピレーション源は、当初はMoleskineのノートで、その後はスパイラル式ノートに変わりました。
  • 工業デザインチームが外部からの訪問を受け入れたのは今回が初めてだそうで、最初はすごく警戒している風でした。まるでヤリや矢を時計とかに交換した未開民族みたいに見えました。彼らはくらくらするようなプロトタイプのスケッチと異様に複雑なダイアグラムにどっぷり浸かっていて、Surfaceにかける愛情ははっきりと伝わってきました。
  • リーダーいわく、彼らは現在のSurfaceにいたるまでに300ほどのモデルを作ったそうです。ボツになったモデルは今もSurfaceのデザインスタジオに山積みになって置いてあるそうです。
  • ボツのモデルの中にはかなりひどいデザインのものもあって、たとえば背面がクロームトリムで覆われていたりするそうです。
  • 現在のモデルはきわめて美しいです。僕が持った中で一番さりげなくてパワフルで、愛すべきガジェットのデザインです。
  • キーボードをタッチしたときの音も、悩み抜かれています。タッチの感触とともにまさにこれという音になるように作られ、実際そうなっています。キーボードはスマートで、トラックパッド部分がSpaceバーとして使われたときもちゃんと検知できるように作られています。
  • キーボードのボタンレイアウトを検討する際には、キーボードを紙にプリントアウトしたものと、フォーカス・グループで集めた人の手形を使って、誰もがすぐに使える最適なレイアウトにするよう作られたそうです。
  • Surfaceに使われている独自のマグネシウム合金はすごく頑丈です。マイクロソフトのチームリーダーが、Surfaceにスケートボードのホイールを付けたものに乗って滑ってみせたんですが、ほとんどしなりませんでした。
  • カスタムメードのポリウレタン製Touch Coverは洗えます。グレーヴィー・ソースをこぼしても、シンクで洗えばOKです。
  • マイクロソフトは面取りにものすごくこだわっていました。Surfaceの上端の面取りを0.3㎜から0.5㎜にしたという判断について、デザインチームが数分かけて説明してくれました。さらにSurfaceが最初に発表されたときのステージも面取りしたんだそうです。ステージを面取りしたとか、どれだけクレイジーなんだと思うにつけ、マイクロソフトがSurfaceにかける愛情のほどが伝わってきます。そもそも面取りって何なんだって検索したくなった方、それは全然変じゃありません。

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とりあえず、以上が僕らが今知りうるすべてです。Surfaceは美しく、素晴らしいデザインです。でもマイクロソフトは不安でもあるようで、聞いてもないのにiPadと比べたり、先回りして擁護したりするような発言が何度となくありました。マイクロソフトでは「Surfaceは独自のカテゴリに属する」と主張しているんですが...。でも、全デバイスが独自カテゴリになってしまうくらい細分化しない限り、Surfaceも「タブレット」というカテゴリにくくられてしまいます。

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マイクロソフトは、優れたコンピューターをデザインすべき宿命を負っています。その役員たちは僕らを文字通り会場に閉じ込めて、SurfaceのTouch Coverのヒンジ部分を揺さぶって、いかに頑丈かを見せつけました。僕らの見たSurfaceはしっかりとして、力強い真摯さが感じられました。彼らはSurfaceでの成功を求めて、僕たちプレス陣やユーザーにブレーキなしで突っ込んでくるかのようです。

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そんな入れ込み方がクレイジー過ぎる気もしますが、Surfaceには優れたデバイスになりうる根拠がいくつもあります。もしマイクロソフトがSurfaceの存在をきちんと知らしめて十分な台数売れれば、それは爆発的なガジェットのひとつになることでしょう。もちろんSurfaceが我々の大きな期待に応えてくれればの話ですが、僕はきっと応えてくれると思います。

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Sam Biddle(原文/miho)