Windows Phone 8レビュー:完ぺきじゃないけど、良い子に育ってます

2012.10.31 13:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

121031_wp8review1.jpg


Windows Phone 8(以下WP8)、前より改善されました。2010年より、2011年より、良くなってきてます。今まではAndroidやiOSの完成度からするとベータ版のようにすら感じられましたが...。

WP8はついに大人になったんでしょうか? うーん、ある意味イエスです。

WP8って何がすごいの?


Windows Phoneは、iOS・Androidの二強体制を崩しうる唯一の代替プラットフォームです。2010年、Windows Mobileとの互換性を捨ててゼロから大胆に再構築されましたが、不完全さも残っていました。ところどころうまく動かなかったり、欠けている機能があったりといった欠点が、時間とともに目立ってきていました。

WP8へのアップデートによって、そういった細かなすべてが修正された...はずです。

また、WP8はマイクロソフトという企業にとっても重要な存在です。PC、タブレット、電話、そしてゲーム機も、ひとつ屋根の下でシームレスになるのです。Windows Phoneの普及は、そんなマイクロソフトのエコシステムを成功させるために不可欠な要素です。でもこれまで、その成功に手が届くどころか、近づいてすらいませんでした。


デザイン


WP8は、見た目はまあ、Windows Phoneです。他のプラットフォームでおなじみのアプリアイコンがなく、代わりにライブタイルがあります。タイルには天気、スポーツのスコア、ツイートなどの情報がリアルタイムに表示されます。アプリアイコンとウィジェットの中間のような感じです。マイクロソフトはこのインターフェースをMetro(今はModern UIと言ってますが)と称し、Windows Phoneから採用していったのです。

で、WP8で目新しいものはなんでしょう? それは、カスタマイゼーションです。スタート画面が刷新され、ライブタイルは情報更新機能を持ったまま小さくできます。これは小さな違いですが、よりコントロールできるようになるのはいつだってウェルカムです。他にも、押したキーがただグレーじゃなく自分のアクセントカラーで目立つようになるとかがありますが、気に入ったのはホームスクリーン右側にあったむだなスペースがなくなって、タイルが端から端までになっていることです。


使ってみてどう?


マイクロソフトもグーグルもアップルも、新OSの新機能ばかり推す傾向があります。でも実際大事なのは、日々コアに使う機能です。たとえば通知を見るとか、お気に入りのWebサイトを見るとか、道案内がどれくらい簡単に見れるかといったことです。そんな基本的な使用感に関しては、WP8はほとんど従来のWindows Phoneとほぼ変わりません

一番大きな変化は、上にも書いたようにスタートスクリーンのタイルサイズを小さくできることです。これによってつまらない機能(たとえばメール、メッセージ、電話とか)は小さくしてしまって、もっと見た目的に面白いものを大きく表示できます。基本的な考え方は従来通り、ライブタイルにアップデート情報が表示され、タップするとメッセージが見れる、といった感じです。細かい変更のようですが、小さなスクリーンに表示できる情報量は飛躍的にアップします。


121031_wp8review2.jpg


アプリの立ち上がりは、はっきりわかるくらい早くなりました。これはハードウェア標準の改善によるものです。たとえば僕らがテストしたデバイスはデュアルコアでしたが、WP8では64コア(!)までサポートしています。

アプリに関しては、主要なところではPocketとか、Instapaper、Instagramといったものがまだありませんが、それ以外のアプリはそろってきました。ただ、今あるものがもっとうまく動いてくれればな...とは少し思います。サードパーティアプリの質は改善してきてます。WP8用に開発・デザインされたものもありますが、FacebookとかTwitterはちょっと改良された程度です。ただ、WP8の純正アプリほどスムースに動くものはなく、それは課題として残っています。

全体的に、パフォーマンスは早いです。また、FacebookとかTwitterの通知をMeアプリでまとめて見られるとか、コミュニケーション履歴全体を友だち一人ひとり別に参照できるとかは、WP8が初めてではないですが、やはり良いものです。


ライブタイル vs ウィジェット vs アイコン


121031_wp8review3.jpg


Windows Phoneで最初に目に付くのは、特にWP8の場合、ホームスクリーンです。明らかに「違い」を感じます。機能的でモダンで、動的です。iOSやAndroidとは、情報の整理の仕方が根本的に違います。

ホームスクリーンが進化するのは、Windows Phoneアプリの質向上にとって全体的にプラスです。Windows Phone 7とか7.5では、良いアプリがありませんでした。もちろん、Marketplace全体で見ればそれなりに良いものもありましたが、実際使いたくなるようなものは多くありませんでした。それはハードウェアのせいでもあり、エコシステムのせいでもありました。ただ大事なのは、それらの問題はだいたい修正されているってこと、そしてスタートスクリーンにはそんなアプリを載せるスペースが増えているってことです。結果はもちろんプラスなんですが、そこから新たな問題も生まれてきます。

WP8は、これまでのWindows Phoneと同じく、アプリのナビゲーションの際にアルファベット順に並んだ縦スクロールを使っています。スタートスクリーンから矢印をたどって行くと、ダウンロードしたアプリがAngry BirdsからYouTubeまでずらりと並んで表示されます。アプリが少ないときはいいのですが、WPのエコシステムが成長するにつれ、Windows 8のセマンティックズームなり、フォルダなりにしていく必要が出てきそうです。

ライブタイルは通知センターの考え方に代わるもので、重要な設定とか通知を1ヵ所でまとめて見たり変えたりできるのがすごく便利です。ただ、どんな操作をしているときにもそれが可能だと良いんですが、スタートスクリーンにまとまっているために、今使っているアプリをいったんやめてスタートスクリーンに切り替える必要があります。なので、いちいちアプリ画面から出なくてはいけないのがちょっと煩雑にも感じます。


好きなところ


パフォーマンス、です。WP7も7.5も、ハードウェアのスペックがすごく限られていました。シングルコアのプロセッサに、RAMは512MB、800×480のディスプレイ。なので、アプリにしても機能にしても、新しいものを使うのには不十分でした。たとえばHTC 8Xは341ppiのディスプレイですし、Lumia 920は326ppiです。どちらも、従来のWindows Phone端末には許されなかったほど輝いています。Windows Phoneはようやく、ハードウェアの制約なしで戦えるようになったんです

Xbox Musicもかなり気に入りました。マイクロソフトの新しいストリーミングサービスがフルに使えるんですが、ポイントは、自分のストリーミングライブラリとローカルのライブラリが同じアプリの中にあるってことです。Storeからは、PCにも電話にも曲を追加することができます。サードパーティのRdioとかSpotifyを使う必要はないんです。


121031_wp8review4.jpg


他に気に入った点はこれまでのWindows Phoneと同じですが、Windows Phoneを使っている人とか、ちゃんと検討した人がほとんどいないので、おさらいしておきます。

WP8はすごく堅牢で、クラッシュしたり、遅くなったりすることもほとんどありません。数日間のテスト中、ちょっと引っかかったのは1回だけでした。日常的にフリーズしているiOS 6とかAndroidと比べるとかなりの差があります。

WP8には、細かいけれど気の利いているところもあります。ロックスクリーンでの通知は非常に良いですし、何かがあるとトースト通知が出て、使いそうなアイコンが5つ表示されます。電話やメールなど、どのアプリをどこに配置するかを選べて、それらのアップデートはつねに同じ場所に表示されます。便利です。


好きじゃないところ


好きじゃないところは、従来のWindows Phoneへの不満を一回り小さくしたような感じです。これは想定どおりですが、心配なのはWindow Phoneとして「未来はここにある」的に発表した機能が、実際は「まあ、こんなもんか」バージョンになっていることです。

たとえばFacebookチャットとSMSの統合がWindows Phone 7.5でアナウンスされたときは、すごい! と感じたものです。あらゆるモバイルプラットフォームが、統合コミュニケーションハブの構築を目指しているからです。でも今、WP8になってもその機能は不完全です。受信メッセージはちゃんと届くのですが、電話からの送信メッセージしか電話には表示されません。Webとかチャットクライアントからのメッセージが電話に届かないんです。これはWindows Phone 7.5でもあった問題ですし、他のチャットクライアント(たとえばOS XのMessages)でも起こっています。ただ、AndroidとiOSのFacebookメッセンジャーアプリはしっかりしていて、同様の問題はありません。

これ自体はそんなに大問題ではありません。ただこれは、Windows Phone 7で革新的とされた機能がすでに他のプラットフォームに追い越されている一例なんです。Windows Phoneは「iOSやAndroidほど成熟してはいないが、それを補うだけの革新的な機能がある」ってことが重要でした。でもこの種の問題はおそらくすぐには改善されません。

Isis(米国の大手携帯キャリアが共同で開始したモバイル決済サービス)のNFC決済は、来年までは搭載されないことでしょう。Google Talkとチャットの統合も、近い将来に行う予定はないとマイクロソフト自身が言っています。Foursquareに関しても同様でしょう。つまりこれらの目新しい機能において、Windows PhoneはiOSやAndroidと大体同じです。同じなんだから別にいいじゃんとも言えるでしょうが、これだけ水を開けられている戦いなので、出し抜くための何かが必要なんじゃないでしょうか。


121031_wp8review5.jpg


設定メニューがないのは問題です。たとえば画面の縦横方向をロックしたり、明るさ調整したりといったちょっとしたことも簡単にはできません。もっと言えば、純正アプリの簡単な機能だって、実行が難しいかほとんど不可能です。個々のコメントがスレッドになっていたり、ツイートのチェーンを全部読み込んだりなんて無理です。...という具合に、これまでのWindows Phoneと同様、細かい不満が募っていきます。


その他、テストメモ

  • 多くのサードパーティアプリの中には、いまだにひどいものが相当数あります。警告なしで終了したり、上下のナビゲーションができなかったりします。他のプラットフォームでもアプリを提供している企業のアプリでもです。
  • 地図は提供元がBingからNokiaに変わりましたが、正確です。ナビゲーション先を間違うこともありません。世界中どこの地域でもオフラインバージョンをダウンロードでき、インターネット接続なしで使えます。ただ、Nokiaの公共交通案内とターン・バイ・ターン・ナビゲーション機能はNokia端末での独占提供になっているので、Lumia以外のWindows Phoneには当分載らないでしょう。
  • カメラのコントロール機能は良さげです。解像度、ホワイトバランス、露出、コントラスト、彩度、シャープネス、ISO。でもHTC 8Xでは低光度でのパフォーマンスがイマイチでした。iPhoneのような夜間モードもあるんですが、十分使えるようになるには時間がかかりそうです。
  • WP8とコンピューターを同期するためのソフトは前よりは良くなっています。以前はただZuneクライアントと生煮えのMacクライアントで、インストールしたコンピューターをだめにしてくれていました。今はWindows 8のMetroアプリのおかげでファイル・ディレクトリにアクセスできるようになり、メディアの追加がすごくシンプルになりました。たとえばAdd photosをクリックして、どの写真を追加するか選ぶだけです。古いWindows Phone 7のMacクライアントの再構築バージョンもありますが、これはまあまあといったところです。
  • キッズコーナーは、マイクロソフトが標榜するのとだいたい同じように動いています。セカンダリのスタートスクリーンにいろんなものをピンできるので、子供に電話を渡して何か見せていても、そのまま電話の中のいろんなメッセージやら画像やらを全部見られる心配がありません。
  • さらにおまけで、ポッドキャストの購読機能もちゃんと動くようになりました。長い間これはほとんどジョーク機能で、ボタンを押しても何も起こらなかったんです。今は他のポッドキャストを扱うソフトウェアと同じように反応してくれます。
  • Local Scoutはまだまだです。去年は閉店されたお店やレストランを紹介してくれていました。新機能だった当時は仕方ないですが、今でもそれは変わっていません。ホームレス用シェルターのBowery Missionが「バー&パブ」、「ビール醸造所&パブ」として出てきます。米Gizmodoオフィスの近くのローカルイベントとして、2011年のニューイヤー・イヴパーティ2件を紹介してくれたりしました。


121031_wp8review6.jpg


  • Rooms(マイクロソフトのグループチャットとイベント予定機能)についても書きたいんですが、できません。というのは、友だち数人に招待状を送ったんですが、誰も僕のRoomに来てくれないんです。もし来てくれてたら、カレンダーのイベントとかメモを共有できたんですが、MSNチャットのプロトコルを使うWindows Phone専用のグループチャットには入れなかったはずです。ある見方をすれば、これはiMessageの改良版だとも言えますが、メッセージシステムの良し悪しは結局ユーザー数で決まってしまうので...。

  • Bing検索のリンクをクリックすると、PC版Webサイトを読み込む場合がありますが、検索経由でない場合はモバイルサイトを読み込みます。これは良くないですね。

  • NFC以外では、Wallet機能も電話を使った決済のデータを保存するには良さそうな方法です。クレジットカード、PayPal、その他マイクロソフトアカウントで使える支払いタイプと同期します。ただ、何度やってもDeals(割引)機能を使うことができませんでした。これは米国内でヨーロッパ仕様の端末を使っていたせいかもしれません。


121031_wp8review7.jpg


  • Skypeの通話とメッセージ機能が統合したものが実際動くのを見られました。SkypeコンタクトがPeopleアプリに直接入っています。自分自身で試すことはできませんでしたが、僕らが見たところでは、Skypeアカウントを同期させてVoIP経由で他の人から電話を受けることはできて、通話品質も使える程度になっていました。

  • Internet Explorer 10はWindows 8版はかなりよくできてます。でもスマートフォンバージョンは、Windows RTとWindows 8以上に違いがあって、フル機能ではありません。

  • 動的なロックスクリーンは、細かいながら気に入りました。BingとかFacebokから新しい写真を毎日拾ってくる(Facebookのどこから写真を持ってくるか設定可能)ので、ロックスクリーンがいつでも新鮮です。

  • マイクロソフトはData Senseという新機能も発表しました。これは携帯電話ネットワークを使っているときはWebのページを圧縮してくれるもので、データ利用料を抑えるために通信量をセーブしたい人向けの機能です。これは僕らは試せませんでした。


買うべき?


まあ、買ってもいいかもしれません。先代と比べると、WP8はある程度ちゃんとできています。でも、前より速く走れればオリンピックに出られるかというと、そうではありません。Android Jelly BeanとiOS 6だって去年より良くなっているんです。

もし電話を主にコミュニケーションデバイスとして使っていて、でも通知で邪魔されるのはなるべく減らしたいなら、Windows Phoneをチェックする価値はありそうです。ハードウェアも良いですし、WP8は基本的なことをちゃんとやっています。大抵の人にとっては、実はもう十分だと思います。

ただ、成熟したエコシステムの恩恵を十分に受けたい人、InstagramとかReederといったスタートアップによるアプリ(彼らのほとんどはWindows Phoneアプリを最初には作りません)を使いたい人、不便なところをつぶして、こなれたプラットフォームを使いたいという人にとっては...Windows Phoneはまだまだです。いつかはそんな日もくるかもしれませんが、今回はまだそこまで行っていないようです。


Kyle Wagner(原文/miho)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Microsoft Windows 8 Pro 発売記念優待版 (XP・Vista・7からのアップグレード専用:2013年1月31日まで)
  • マイクロソフト