12年間植物状態だった男性と脳スキャンで対話することに成功

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植物状態とされている患者さんの、5人に1人は意識がある可能性

12年間意識のない状態だと思われていた植物状態の男性が、脳スキャンを使ったやりとりで、実はずっと意識があり、痛みを感じてはいないことを医者に告げた、という内容の研究報告が、英国の神経科医エイドリアン・オーウェン(Adrian Owen)教授によってされました。重症の脳損傷を受けた患者が臨床的に意味の通った情報を医師に提供できたのは今回が初めてとのこと。

カナダのスコット・ルートリー(Scott Routley)さんは12年前の自動車事故で脳に重度のダメージを受けて以降、自発的に動くことができなくなり、表情を見せることもなく、目でじっと何かを見つめたり物の動きを追うことさえもできなくなってしまいました。医者からは植物状態であると診断され、スコットさんは自分及び周辺の環境を認識できていない状態だと考えられていました。

しかし、今回MRIを用いて脳をスキャンしながらコミュニケーションをする実験を行った所、彼の脳活動のパターンから、明らかに質問に対し意識的に答えているという事がわかりました。(患者に「テニスをしているところ」と「家の中を歩き回っているところ」をイメージさせ、それぞれで異なる脳血流のパターンをYesとNoとして質問に答えてもらうという実験だったとのこと)

もちろんさらに詳しく検証する必要がありますが、植物状態とされている患者の、ほぼ5人に1人には意識がある可能性があると、オーウェン教授は指摘します。実際の所「植物状態の患者に意識があった」という事例は過去にもあります。ベルギーのロム・ホーベン(Rom Houben)氏は23年間植物状態と診断され周囲の人々に意識がないと思われていたけれど、脳スキャンによって意識があることが判明。理学療法が施されたことで、コンピュータを使ったコミュニケーションが可能になり

叫んでも叫んでも声が出ないのです。夢を見るしかありませんでした

と語っています(GIGAZINEの記事から引用)。

脳スキャンやBCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェイス)などの技術が向上し、より安価になれば、こういった孤独な状態にある患者さんが周囲と意思疎通できる機会も一般的になるかもしれません。早くそうなってほしいです。

Ashley事件から生命倫理を考える

, slashdot.jp , Allen School , GIGAZINE

(西條鉄太郎)